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山麓の都市のアウトドアゲストハウス構想(妄想)

3年くらい前に、「松本駅あたりに登山者の“ベースキャンプ”な施設を作りたい。」というブログ記事を書いたら一部の方々からではあるが、一定のリアクションをいただいた。


今回はその続き。

山岳観光都市への期待

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前回は主に長野県松本市における山岳観光資源の活用のための拠点の必要性について書いたが、今回はエリアや視点を少し変えてみたい。

まず、なぜこのような構想を思いつくに至ったのかを、あらためて書いていきたい。

僕は学生の頃から登山のために長野や山梨などいわゆる日本アルプスがある都道府県にはよく行っていた。そこでいつも思っていた登山装備の人間は下界(街)では浮いた存在であり、何事をするにも配慮と試行錯誤が必要だった。

これが新宿とかなら仕方がないが、山麓の都市に着いたなら、登山口についたような感覚になりたい。素晴らしい山に囲まれた街なのだから、もう少し登山者が過ごしやすい街にならないだろうか。そんな想いがある。

山麓の街における山岳観光拠点のニーズ

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利用者目線での具体的なニーズとしては、登山の拠点のなるような都市には、アウトドア活動者やバックパッカーにフレンドリーな簡易宿泊、滞在施設が欲しい。

明け方スタート時の前泊利用や、山行スタイルに合わせた休憩、時間潰し、荷物預かりサービス、入浴シャワーサービス、洗濯サービスなどなど。山と街を繋ぐ施設、街中で山を感じることができる施設が欲しいというニーズは既に結構あると思う。事実、東京高尾山麓にあるMt. TAKAO BASE(マウント高尾ベース)はそのようなニーズを汲んで成り立っている。

地域観光との連携

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このような施設の存在は一部の利用者のために存在していてはいけないと思うし、地域の既存観光と連携してシナジー効果を生まなければならない。

まずアウトドア志向の強い利用者が使うことで、街の中にアウトドア的空間ができる。最初は異質な空間であっても、やがて取り組みの中で地域の理解を十分に得て、行政の推進する観光政策にも合致し、組み込まれていく。そうすることでより内外の利用者は増え、またその拠点に人が集まっていく。一部から全体へ、全体から一部へという循環が生まれていく。

最終的に地域の山岳アクティビィ発展を通じて地域経済の発展を目指す。

このような施設の課題

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課題は、山麓都市地域の人々に対して、周辺山岳が価値のある観光資源だということを理解してもらうことだ。

つまり、山麓の都市に出入りするアウトドア志向が強い人を、「よくわからないことをしている部外者」と捉えてもらわず、「お客さん(観光客)」と捉えてもらう必要がある。観光客を見て、温泉や寺社城郭巡りをしているんだなぁと思うのと同じように、あの人たちは山を楽しみに来たんだなぁと自然に思えるようになってほしい。

そのために山の価値を相対化し、外から需要があるということを認知し、山を誇りに思ってもらう必要がある。

たとえば、埼玉県浦和市は「サッカーの街」として市民は認識している。サッカーをしていない市民でもマンホールのサッカーボール模様を見て、この街ではサッカーが盛んだということを自然に認識できる。これくらい認知度を上げたい。

具体的な場所、信州上田

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僕が構想している場所は長野県上田市だ。松本やその他のいわゆる山岳リゾートと比べたら地味ではあるが、僕が個人的に縁がある土地であり、何度か訪れているうちに、かなりポテンシャルがあるエリアだと思うようになった。

上田はかつて戦国大名真田氏の拠点であり、山に囲まれた天然の要害。それでいて千曲川によって肥沃な平野部を備える類稀な豊かな土地。周囲の山は戦国時代には山城として使われ、現在ではハイキングに適している山が多い。

位置的に浅間山をはじめ、北アルプス中部北部、八ヶ岳へのアクセスも悪くない。

信州上田のアウトドアポテンシャル

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僕が感じる信州上田のアウトドアポテンシャルの軸は大きく四つある。

まず一つめ、低山へのアクセスの良さ。市の中心部の高い場所に行けば、周囲が山で囲まれていることが一目瞭然であり、そのうちのいくつかの目立つ山はハイキングに適した山だ。初心者でも登りやすく、既に多くの上田市民に愛されている太郎山をはじめとして、手軽に登れる山は多い。多数の手軽に登れる低山のベースキャンプ的な場所であると考えると、東京高尾山と似た立地でもある。

二つめは、スカイランニングが盛んであるところ。スカイランニングというと馴染みがまだ無いが、イメージとしてはトレイルランニングに近く、垂直方向の移動に重きを置いたランニング競技のことだ。毎年5月に行われる太郎山登山競走は日本のスカイランニングの代表的なレースである。こうした競技が行われる地であるので、トレイルランニングやスピードハイクを楽しむ人が集まる下地が既にある。

三つめは、菅平高原を擁しており、冬季もスノースポーツが盛んなところである。冬場、山麓の上田市は気候的に雪が少なく登山やトレイルランニングが行いやすい一方、菅平高原はスキーリゾートとなる。冬場も十分に観光やアウトドアが楽しめるのだ。

四つめは、ぐんま県境稜線トレイルの終点、起点と言える街であること。同トレイルは全長100kmに渡るロングトレイルで、山岳稜線トレイルとしては日本最長だ。谷川岳を起点として群馬県と長野県の境を歩くことになるが、西側の起点の山、四阿山からのアクセスは上田が便利だ。群馬県の観光地としてPR、認知されているが、地理的に見れば実は長野県上田も多いに関係のあるトレイルと言える。そんなトレイルの基点という隠れた利点がある。このトレイルがもっと脚光を浴びれば上田のアウトドア観光需要はもっと高まるだろう。

上田市からの旅ランという提案

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上田市のPR動画として、日本スカイランニング協会が協力のもと「旅ラン」というスタイルで上田市の観光地を巡る動画や、太郎山、烏帽子岳を登る動画が公開されている。


行政としても、既存の文化的歴史的観光資源とアウトドアフィットネスを掛け算した新たな観光形態を模索していることが伺える。観光とアウトドアアクティビティの拠点となるゲストハウスの存在と行政と向いている方向は限りなく同じなのではないか。

観光面から見た個別の課題

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そもそもコロナ問題がある。観光業界が苦しい中、そこにあえて飛び込むのは厳しく、課題も多い。しかし人々の外に出たいという気持ちが抑圧されている今だからこそ、求められていることがあるのと事実だと思う。

上田特有の課題としては、松本や白馬、八ヶ岳等の周辺山岳エリアと比較して山のブランド力、知名度が高くない点である。

行けば良い場所、良い山があることがわかる…というだけでは外から人を流入させるのは難しい。したがって、既存の観光資源うまく組み合わせながら、山×旅というコンセプトで打ち出していく必要がある。幸い文化的観光資源は長野県屈指の場所である。観光もしたいけど自然の中で身体も動かしたいというニーズを発掘し、応えていくというわけだ。

これについても、上田市PR動画でまさに旅ランという提案をしているが、内外への認知度はまだまた低い。

何をするのか、何ができるのか

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こうした独自のポテンシャルや課題を踏まえた上で、上田で何ができるのか考えてみた。

まずゲストハウス機能である。理想的にはアウトドア志向の強い人、旅行者のための便利施設になれればと思っているが、軸となる収益源を考えると、一般観光客も含めた旅行者や外国人旅行者向けの低価格宿泊施設という用途が第一に来るべきだろう。地域住民から見てもそのほうがわかりやすく、理解と協力を得やすいと考える。

次にアウトドア便利屋的な要素を入れていく。テントでの宿泊が可能であったり、アウトドア用品(特に消耗品)の販売をしたりする。RPGで言えば、宿屋であり、武器屋、アイテム屋であるような店だ。僕自身のアウトドアスキルはへなちょこだし、トレランもなんちゃってランナーなのでその辺の個性では勝負できないが、その分「ガチ度」を抑えた門構えが作れるはず。

さらに自作アルコールストーブ製作や自作ワラーチ製作のワークショップ等を開いて付加価値を出すことも有りかなと思う。料理(アウトドアクッキング)のワークショップも開催できれば地域との結びつきも強化できるのではという期待もある。

最後に

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ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。長々と妄想をしてみたが、実質半分は妄想ではなくなってきた。今すぐにアクションをするという状況ではないが、数年のうちに準備が整えばやってみたいという段階だ。

でも経営的な現実については僕はドシロウトだし、そもそもこのような自営業について、人間的に向き不向きがあるのも承知のうえ、そこは度外視している。

僕がこんなことをブログに書いたのは、このような僕の妄想に果たして価値があるのかどうかということを、少しでも世に問いたいという気持ちがあるからである。

何かご意見がある方はリアクションをいただけると幸いです。

おわり

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