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がんの原因となる炎症と対処方法とは?


今回はElizabeth R. Rayburn, Scharri J. Ezell, and Ruiwen Zhangの研究から感染症と炎症が何故がんの原因になるのか?をお話しようと思います。



感染症と炎症は癌に関連していることが長い間認識されており、炎症の存在とさまざまな解剖学的部位での前癌病変の発生との間に強い相関関係が確立されています。


(これは分かりやすく言うと炎症や感染症になっていると細胞ががん化しやすいってことです。)


その証拠に研究では、前立腺炎による前立腺がんのリスクが約14%増加し 、潰瘍性大腸炎による結腸直腸がんのリスクが25%増加し、膵炎を経験した患者の膵臓癌のリスクの倍増。


この研究から炎症は癌の発生を誘発または促進するよう可能性があると報告しています。  



慢性炎症は単核免疫細胞(マクロファージ、リンパ球、形質細胞を含む)の浸潤(細胞に入りこむ)、組織破壊、線維症(硬くさせる)、血管新生の増加という状態にさせ、この状態は癌が発症しやすいと考えられています。


ゲノム損傷の増加、DNA合成の増加、細胞増殖、DNA修復経路の破壊、アポトーシスの阻害、および血管新生と浸潤の促進も慢性炎症に関係しており、これらのプロセスはすべて、癌の発生と進行に関係しています。


慢性炎症が起こっている間、サイトカイン(情報を伝えるたんぱく質)、誘導型一酸化窒素シンターゼ(iNOS)、活性酸素種(ROS)、NF-kBなどの炎症誘発性分子がアップレギュレート(活動が上がる)されます。


そして、これらのプロセスは、悪性細胞(がん)の指数関数的成長のための好ましい微小環境を提供します。


つまり慢性炎症は、腫瘍の成長を促進するための突然変異と環境の両方を作ってしまう可能性がありますと発表しています。


つまり、慢性炎症が起こっていると身体の中では炎症がひどくなるような物質がたくさん出てきて、それにより細胞や遺伝子が傷つけられて細胞ががん化しやすくなりますよと言っております。


逆に腫瘍(がん)ができると炎症と同様の状態を作ります。


たとえば、多くの癌細胞はサイトカインとケモカインおよびそれらの受容体を発現します。これらの分子メディエーターとそれぞれの受容体は、血管新生、細胞移動、および転移に大きな影響を及ぼします。


これはがん細胞には炎症を起こすためのスイッチがたくさんあると思ってください。


Chavey et alが実施した研究では、IL-6、IL-8、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、IFN-γ(インターフェロン-γ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質)を含む多くのサイトカインが-1β)は、正常な乳房組織よりも乳癌でより豊富であることが分かっています。


また好中球の活性化と走化性の重要な調節因子であり、NF-kBの活性化因子であるIL-8の発現レベルは、エストロゲン受容体の状態と負の相関がありました。


ここからは少し難しいので後で簡略して説明しますので飛ばしても大丈夫ですが詳しく知りたい人は読んでみてください。


メディエーターは低悪性度腫瘍よりも高悪性度腫瘍で豊富であり、高いマクロファージ含有量と血管新生の増加を示した腫瘍で増加しました。


MIP-1βの発現は、低悪性度の腫瘍と比較して高悪性度の乳癌でも高かった。


その発現は、Bリンパ球、Tリンパ球、およびマクロファージの浸潤に対応し炎症性細胞成分の全体的な存在と相関することが見出されました。



さらに、NF-kBの転写標的であり、多数の炎症性サイトカインの既知の調節因子であるAP-1(アクチベータータンパク質-1)の観察されたレベルは、検査されたサイトカインの多くの発現レベルと相関していました。



これはつまり、悪性腫瘍の場合は炎症を起こすスイッチがたくさん押されていて炎症物質や活性酸素(細胞や遺伝子を傷つける物質)が非常に多くなっている、ということです。


結論としてがんの発生や成長には炎症が深く関わっているというのが分かるわけです。


ですので、がんになりたくない方やがんを悪化させたくない方はいかに体内の炎症を抑えて、活性酸素を作らないかが重要になってくるというわけです。



体内の炎症を抑えるにはしょうがやクルクミンがあり、活性酸素を除去するにはビタミンCやビタミンEが必要になりますので色が濃い野菜や小魚、オメガ3系の油も必要になります。




また抗酸化するためにもセレンやグルタチオン、チオレドキシンの働きも必要なので豊富なミネラルを摂取するために海藻類やよい塩を摂ることも必要になります。


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