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隻眼の娘

人類文明がいくら進んでも、自然の偉大な力にはかなわない
例えば、毎日、天候に翻弄されている
降ってほしい時には降らない
晴れてほしい時には晴れない

母はよく話していた
神様は眼が1つの娘がお好きなのよ

私の予言はよく当たると評判だった

明日は婚約の日だから、絶対に晴れてほしい
そう頼み込まれたことがあった

久しぶりに床下を開けた
おびただしい数のてるてる坊主の残骸が並んでいた

その日は晴れた
とても感謝された
けれども、また絶対に晴れてほしいというお願いをされた
その調子で一生繰り返すのだろうか
神様がそんな身勝手をお怒りになることはあまりにも明らかだ

てるてる坊主の残骸を取り出した
お願いね、と一言、伝えた

翌日、新聞、テレビ、SNSは、若い男女の奇怪な心中事件で騒然となった
二人そろって、血だらけの刃物をもっていた
二人そろって、首が切られていた
愛している、と書いた手紙が残されていた

その日は快晴だった
てるてる坊主のラブレター、怖い
(403字)

2022年8月20日以来、以下の企画に参加させて頂いています。当初1年で打ち切りのつもりが、そのまま延長し1年半を楽に超えて毎週続行しています。ふだん全く考えもしない、ありえないことを大胆にテーマにして書いてみたいです。以前は410字前後を大幅に超えることもありましたが、今は、ショートショートらしく短く収めるように練習する機会にしたいと思っています。かつては、サイエンスフィクション風、釣竿を振り回すおっかないジュリエット登場のハードボイルド風なども試行しましたが、このところは軽い怪奇ショートに傾いています。毎回月曜朝5時の投稿を予定しています。今回のお題は「てるてる坊主のラブレター」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。

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