ロボットの導入がゴールになってはいけないな、と改めて感じたとある出来事
こんにちは。編集担当の佐藤です。
皆さんは先日の3連休にどこかへお出かけしましたか?
朝夕はひんやりと感じる初秋、すっかりと過ごしやすくなってきたので、週末は遠出したという方も多いのではないでしょうか。
さて、今回の記事ではそんな3連休に出会った出来事をもとに、改めて感じたことを書いていこうかと思います。
ホテルで見かけたワンシーン
先週の3連休、私は那須塩原へと旅行に出かけていました。そこで泊まったホテル内のレストランで、たまたま他社メーカーの配膳ロボットが動いている様子を見かけました。
ホテルのレストランは朝も夜もビュッフェスタイル。お料理の提供はお客さん自身によるセルフサービスのため、ロボットは主に食器の下げ膳に活用されていました。具体的にはレストラン内をロボットが自動で巡回し、食べ終わったお皿をお客様各々が自由にロボットに返却していくというスタイル。
大勢のお客様が利用するホテルのレストラン、しかもビュッフェのため食器の数が多く、バッシングの効率化という観点では有用な環境でした。一方でロボットの動きを見ていると、以下のような課題があるように感じました。
レストラン自体は、フロアの面積も広く、お客さんの数も多いため、ロボットが活躍するための環境は十分。一方で、利用用途や店舗設計に適したロボットの設定/運用が行われているかというと、やや改善の余地があるように感じ、せっかく導入しているのになんだか少しもったいないなという印象を受けました。
競合他社とはいえロボットが少しずつ浸透しつつある様子に嬉しさを感じつつも100%の効果が発揮できていない様子を見て、ロボットを取り扱う事業者としては、"ロボットを導入してもらうことがゴールなのではなく、ロボットを導入し、どのように運用するのか。その結果、お客様にどんな価値を提供できるのか"という点までを見据えて、ロボットが120%活躍できる状態までクライアント様と伴走し、最適な運用を創り上げていくこと大切だと、改めてそう思った瞬間でした。
それではどのように運用したらよいのか
前述の某ホテルにおいて、下げ膳での活用を想定した際にどのように運用すればより効果を発揮できるのか、せっかくなので少し考察してみたいと思います。
ロボットの導入背景や目的については、直接ご担当部門の型とお話をしたわけではないため、今の運用に準じる形で改善案の考察を進めたいと思います。
通路幅の狭い道で必ずロボットが滞留している
1つ目の課題が通路幅の狭い道でロボットが滞留し、詰まってしまっている点です。これは厳密には通路幅が狭いわけではなく、お客さんが椅子に座ることで座席が引かれるため、事前に走行ルートを設定した時とレイアウトが変わってしまっていることが原因だと考えられます。
この問題の対策としては以下の点が挙げられると考えられます。
①もっとも簡単な解決策は、お客さんが座っている場合を想定して、座席を少し引いた状態でロボットに地図を登録する方法です。仮にお客さんがいなかった場合には、登録時よりも走行ルートに余裕が生まれるため、ゆとりを持って動かすことができます。
②とは言え、座席を引いた状態では通路幅に余裕がなくなり、ロボットに走行できない区間が生まれるというケースもあるかと思います。その場合には、店舗レイアウトを変更し、ロボットフレンドリーな形に変えてしまうというのも1つの手だと考えられます
120%効果的に活用するためには、ロボットの設定のみならず、テーブルの位置や向きを変更なども検討する必要があります。
③また、ある程度であればロボットの走行ルートの設定で滞留という課題が解決できる可能性もあります。
例えば、お客様の流れと逆走する形でロボットが走行していると、対面でかち合う形になり、度々行き詰まりを起こします。こうした場合には、ロボットの走行ルートを一方通行に設定することで、人の流れと同じようにロボットが進行し、シームレスな稼働が実現できます。
その他にも、立ち入り禁止区域の設定など、細かく設定を行うことで、複雑な店舗環境においても、滞留することなく効果的な運用が可能です。
積載容量に限りがあり、席に来る時にはトレイが満タン
2つ目の課題はいたってシンプルで、各テーブルを順番に巡回して下げ膳に回っているため、周の後半のテーブルに到着した際には先に回収したお客さんの食器でトレイがいっぱいになっており、置くところがないというものです。
これに関しては、対策もシンプルで以下の2つが考えられるかと思います。
①1つ目は回収できる食器の積載容量を多くしてしまおうという考え方です。各層に空のバッシングボックスを配置し、返却トレイに高さを出すことで、回収できる絶対数を多くするという対策です。
②そしてもう1つが巡行ルートを左右交互に設定する方法です。常に右回りで巡回していると、ルート上の終盤に座るお客様のもとに到着した時点では、いつもトレイがいっぱいになってしまいます。そのため、右回り・左回りとルートを交互に設定することで、ロボットが下げ膳に回ってくるタイミングをずらし、どの座席に座るお客様に対しても満遍なく食器を回収することができるという対策です。
注意書きなどがなく、お客さんがどう使っていいかわからない
3つ目の課題もいたってシンプルです。ロボットがただただ巡回をしているため(本当は下げ膳のために巡回していますが…)、お客さんからしてみれば、何のためにロボットが動いているのか分かりづらく、また使用方法も分かりづらいというものです。
この課題への対策もシンプルで以下の3つが考えられます。
上記の①②③はすべて同時に行うことができる対策です。ロボットが自ら「下げ膳のために巡回しています。食べ終わったお皿があれば載せていってください。」と言葉を発すれば、お客さんも何のために動いていて、どのように操作するのかが一目瞭然です。
また、テーブルへ案内するタイミングでスタッフさんが一言お声掛けするだけでもお客さんの理解度は格段に違うでしょう。POPの配置も然りです。
技術進歩が目覚ましいロボットとは言え、まだまだ意思を持って動けないため、できることとできないことがあります。また、ロボット操作に慣れた人ばかりではないのも事実で、こうした環境下で120%ロボットを活用するためには、運用をきちんと整備する必要があるのです。
より良いご活用、運用案をご提案いたします!
正直なところ、ロボットが走行することを前提に設計された施設や店舗は、今の日本にはほとんどありません。その中で最大限ロボット導入による効果を発揮するためには、運用方法の構築が必要不可欠です。
私たちキングソフトでは、ロボットを導入してもらうことをゴールにするのではなく、ロボットを導入した結果、費用以上に良い効果が得られたと思ってもらえるように、運用案まで踏み込んでご提案させて頂いています。
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