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続・人とロボットとの共生の進捗とその課題

こんにちは。Lanky Porterの保護者の那須です。
6月、気温も少しずつ上がり、梅雨を迎え、徐々に過ごしづらい季節になってきましたね。私たちにとっては、蒸し暑く辛い季節ですが、Lanky Porterは湿度には強く優秀なロボットなので、今日も全国各地で元気に食事を運んでいます。
今回の私の記事では、以前にお話した「ロボットとの共生の進捗状況」の続きをお話したいと思います。

国内サービスロボット(配膳ロボット)の普及状況

”大手飲食チェーンで配膳ロボットの導入が一気に決まった”、なんて話は皆さんもご存知かもしれません。某大手ファミリーレストランなどでロボットを見たという方も多いのではないでしょうか。

一方で大手チェーン店以外の場所で配膳ロボットなどを見かけた事はあるでしょうか?正確な指標があるわけではありませんが、体感としては、個人~中小規模の飲食店では、「月に一度くらいは見かければ良いほう」程度では無いでしょうか。

ロボット事業を展開し、逐一ロボットの情報を追いかけている私たちも、まだまだ業界として全然普及していないように感じています。
この理由については、経済産業省のホームページや、NPO法人 ロボットビジネス支援機構の基礎調査でも触れられており、かなりクリティカルな問題です。

配膳ロボットを導入できない

費用面の問題

普及していない=何らかの理由で導入ができないということが考えられますが、その理由は一体何なのでしょうか。

その理由として挙げられる一つ目が「費用の問題」です。
コロナ渦で様々な規制がなされ、大ダメージを受けた飲食業界において、設備投資に踏み切る判断をするのは簡単ではありません。ましてや個人や中小規模のお店の場合、資金力の面でなおのこと。

ようやく様々な規制が解除され、アフターコロナの兆しが見えつつありますが、人流が戻り、費用面がクリアになるまでには、もう少し時間がかかるかもしれません。

施設環境

2つ目の理由が既存店舗の施設環境が挙げられます。
地域によって異なりますが、基本的に日本の飲食店は複雑な設計をしている店舗が多く、通路幅が狭かったり、段差があったりと、ロボットの稼働に適さない造りをした店舗も実は多かったりします。
一見、おしゃれな造りで来店するお客さんには良い印象かもしれませんが、その事が業務効率化や人手不足の解消をできないネックとなっている事も事実ではないでしょうか。

そもそも導入の必要があるか?

配膳ロボットの導入障壁となる2つの大きな課題を上げましたが、この課題のある店舗はそもそも導入する必要があるのでしょうか?

2021年度の統計で日本の飲食店は、一般食堂・レストラン等が約78万施設あると統計されています。そのうち小規模事業者の割合が約87%となっており、おそらく店舗も小規模なお店が多いと推測できます。
街を歩くと多くのお店が目に付きますが、配膳ロボットを見掛けないのは、そもそも導入する事で費用対効果は得られない、そもそも店舗の造りが導入に向いていない。そういった事が大きな要因なのではないでしょうか。

これは経済的にも物理的にも「導入できない」「不要である」ということだと考えられますが、対峙してそういった小規模事業者は売り上げ面、人手不足など、理由は様々あれど、廃業率が高くなってしまっているのも事実です。ロボット導入の余地のある中型以上の店舗の場合、こうした事態への根本的な変革としてロボット検討の余地があるのではないでしょうか。

ロボット新戦略

日本は産業ロボットで世界を牽引してきましたが、近年ではロボット分野で世界に遅れを取り始めており、この対策として2015年に「ロボット新戦略」という、具体的なビジョンや戦略などをまとめたものが発表されました。

2019年には「ロボットによる社会変革推進計画」が発表されており、「課題先進国である我が国において、引き続き、ロボットの社会実装を推進していくことが最重要課題。我が国は、課題先進国かつロボットメーカーを複数擁するものの、ロボット導入密度は世界4位。導入が進まない中小企業等に関する取組を抜本的に強化し、強力に推進していく必要。」と書かれています。

ロボットを取り巻く環境変化と今後の施策の方向性~ロボットによる社会変革推進計画~ 
ロボットによる社会変革推進会議

これは、場当たり的な対策では無く、様々な機関などが連携を取り合って、土台を固めた上で世界と戦っていくという内容です。
しかしながら、この戦略が何年後に実現できるのかどうかは、やってみないとわからないのではないでしょうか。直近で非常に苦しい思いを強いられている飲食店事業者はそこまで待てません。

直近で救済する手立て

先程の戦略は、あくまで既存の課題に対してロボット化を通じて長期的に改善していくという話ですが、喫緊の課題に対しては、既に展開されているロボットを活用して対応していく必要があるのではないでしょうか。

既に新型コロナウイルス対策補助事業などは存在しますが、手続きが煩雑かつ分かりづらく、活用するにはかなり労力が必要です。NPO法人 ロボットビジネス支援機構の基礎調査でも手続きの複雑さは課題点として挙げられています。
 
例えば、サービスロボット、ないし配膳ロボットを導入する事で解決できるかも知れない多くの飲食店の課題に対して、サービスロボット/配膳ロボット導入補助金という名目の補助項目を出しても良いのではないかと思います。
要は特に制限があり、大きなダメージを受けた飲食店に対して、喫緊の課題を解決できるような補助を出し、かつ申請方法が分かり易ければ、とある地域で造られた大きなモニュメントより、有効に活用できるのではないかという事です。
 

まだ時間がかかりそう

今回は、様々な課題や政策などお話しましたが、日本国内で我々の日常にロボットが浸透するまでは、残念ながらまだ時間がかかるかもしれません。

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