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誰にでも馴れ馴れしい(と思っていた)部長の吉田さん

「おい、佐藤。お前中央線沿いに住んでるんやろ?今日、夜飯行くか?」
「いえ、次回でお願いします。」

これが今では同じ部署で大変お世話になっている吉田さん(部長)との初めての会話でした。今では笑い話になりましたが、私の吉田さんに対する最初の印象は最悪でした。

振り返るとちょうど3年前の春。私はこの会社に新卒入社しました。お世辞にも真面目で規則正しい暮らしとは言えない大学生活を直前まで送っていた私にとって、初めての社会人生活は大変だったことを覚えています。

入社から1ヵ月ほどが過ぎたGW明け。少し社会人生活にも慣れてきた時期に冒頭の通り、吉田さんから急に声をかけられたのです。
(この時は絶賛研修中で配属も全く決まっていませんでした。)

「そもそもこの人知らんし......」
「え、年上とはいえ、初対面で馴れ馴れしくない?」
「帰って家で自分の時間を過ごそう」

当時の心境を振り返ってみると、こんな感じだったでしょう。
行かない理由はあれども、行く理由は全く思いつきませんでした。

後から聞いた話では、吉田さんと私のやり取りを聞いていた周りの人たちからは、吉田さんが振られたように見えていたようで、今考えると申し訳ないことをしたと、ほんの少しだけ反省しています。

新卒1年目、メンターが吉田さんになってしまった

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私たちの会社では、新卒社員のコミュニケーション促進や、業務上やその他の悩みの解決という意図でメンター制度が導入されています。

同部署の人を複数選ばないことや、その人の人となりや相性など、様々な点を考慮してメンターは選ばれるのですが、困ったことに新卒1年目の私のメンターが吉田さんになってしまったのです。

冒頭のやり取りによって、私は吉田さんに対して苦手意識を持っており、悩みを相談する対象であるメンターが私にとって、目下悩みの種であり、この時ばかりはどうしたものかと思ったものです。

失礼を承知で言うと、この当時の吉田さんに対する印象は、横柄だし、上下関係に厳しそうだし、考え得る中で私が最も苦手なタイプでした。

メンター制度によって半強制的に会話の機会が増えた

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メンター制度の一環として、2週間に1度、メンターとの定期的な面談が実施されることになりました。いわば、苦手意識を持っている人と2週に1度マンツーマンで会話をするわけです。これはもう本当に大変なことです。

だったのですが、いざ初回の面談が始まってみると、吉田さんは冒頭の出来事のことなどすっかり忘れているのか、とても気さくに話しかけてくださるのです。この時も少し馴れ馴れしい感じはありましたが......。

仕事のこと、私生活のこと、私自身のことなど、親身になって話を聞いてくださり、もしかすると悪い人ではないのかもしれないと、この時になってようやく思うようになりました。入社してから実に2か月が経った頃です。

初めてサウナに訪れた

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初回の面談で雪解けの兆しが見え始め、その後も2週間に1度の定期的な面談を繰り返した後、他のメンターとメンティーたちはご飯に行くようになった頃、吉田さんと私は池袋にあるサウナに訪れました。

というのも私は大学生の頃、スーパー銭湯でアルバイトをしており、今でもサウナへ行くことが趣味1つ。定期的な面談でそのことを知った吉田さんは、コミュニケーションの一環として、"飲みに行く"のではなく、"サウナへ行こう"と誘ってくださったのです。

まだコロナが流行する前の当時、毎日飲み歩くほどワイワイご飯を食べるのが好きだった吉田さんが、私に合わせてサウナへ誘ってくださったことは今でも強く印象に残っています。この頃には、初対面の時に抱いた『馴れ馴れしくて』『横柄で』『上下関係に厳しそう』という私の思い込みは全く別の印象に変わっていました。

夏が終わり、すっかりと涼しくなった10月初旬のことです。

就職を機に上京した私を気にかけてくださっていた

生まれてから大学卒業まで大阪で暮らしてきた私にとって、就職はただ社会に出るというだけでなく、初めての自立した生活でもありました。

冒頭の出来事で吉田さんはそんな私を気にかけてくださっていたのです。
生活環境も人間関係も、何もかもが変わった当時の私には、吉田さんの真意に気付く余裕がありませんでした。

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吉田さんは『馴れ馴れしい人』ではなく『人に壁を作らない人』だったのです。初対面だろうが何だろうが、積極的にコミュニケーションを取る人であり、壁を作っていたのは、むしろ私の方だったのです。

そして月日が経った今、吉田さんと私は同じ部署で働かせて頂いています。吉田さんはすっかりサウナにはまってしまい、飲みに行く頻度よりもサウナに行く頻度の方が多くなり、当時よりも少し健康にもなりました。

でも、馴れ馴れしい吉田さんの姿は今でも変わりません。

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