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公社が5月に見たい演劇

CHAiroiPLIN おどる落語『らくだ』
4/27〜5/5(会場:三鷹市芸術文化センター 星のホール)
シェイクスピアや太宰治などの名作をダンスに再構築する人気カンパニー。今回おどる落語シリーズの第2弾。急死した乱暴者の葬儀を巡るドタバタ騒ぎだが、落語屈指の高難易度噺で大ネタと知られる。どうダンスにするのか。

晩盆奇談怪談 -The Real Nightmare-
4/30(会場:ときわ座)
盛夏火の金内健樹、鳥居トリイ、女優の中村ナツ子を中心に行われる怪談スペース。初のリアルイベント。このイベントはスペースで無料配信される怪談と、配信どころか今後二度と語られることのない公開厳禁怪談の2部制によって行われる。特に大トリを飾ると予告される長編SUGI「SOSたすけ」はSUGIが実際に体験した怪談だが、本人ですらトラウマを抱える内容で以前披露した際は自己検閲を施した短縮版だった。それを無修正で語るとのことで事前に注意事項が出されている。あんな落書き見つけなければよかったとは一体・・・。

やみ・あがりシアター『フィクショナル香港IBM』
5/1〜6(会場:北とぴあ ペガサスホール)
ユーモアの中に隠された複雑な心理状況を描く極上の悲喜劇。戯曲の上手さで高い人気を誇る劇団の新作は電脳SF。『フィクショナル香港IBM』という映画を巡る物語だそう。見事なシチュエーションからの展開の転がし方は一級品、どんなSFか。

マームとジプシー『dream a dream』
5/2〜6(会場:LUMINE0)
リフレイン演劇で新時代を築いた彼らだが年々新作のスピードは遅くなっていった。しかし、今年2年ぶりの新作「equal」を出したと思ったらわずか2か月で新作を発表。藤田貴大の地元北海道伊達市と周辺地域で第二次世界大戦中に起きた凄惨な史実を描くシリーズ2作目。『equal』とは別視点で描く物語とは

アオイヤマダ×アイナ・ジ・エンド『二人のアリス』
5/5〜6(会場:東京芸術劇場)
TACT FESTIVAL 2024内で行われる公演。日本を代表するダンサーと現代を代表するヴォーカリストによるコラボ公演。不思議の国のアリスは自分が誰なのか自問自答。そんな彼女の中にいる二人の人格を描く公演。尚、TACTフェスでは無料公演もあるので要チェック。

優しい劇団 尾﨑優人一人芝居『マイ・エクスプロージョン 野外版!!』
5/5(集合:和泉多摩川駅北口)
名古屋の劇団ながら積極的に東京公演を行う彼ら。ここ一年で再演を繰り返す代表作を上演。爆発体質の少年が、運命の人に出会ったことをきっかけに始まる奇想天外な恋愛譚。演劇界のサンボマスターといえる熱量の作品。


かつてなく自由にダンスを名乗るための煙が立つ会
『2次選考 公開プレゼンテーション』

5/5(会場:六行会ホール)
六行会ホールでどんなダンスをできるのか。採算度外視の理想のプランを書類選考で選ばれた6組がプレゼンテーション。そのうち選ばれた3組が、ディレクターメンバーとプランを現実的な内容にブラッシュアップし、その中の1組だけを上演するというダンス企画育成の長期間企画。選ばれた、6組とそれぞれのプレゼンテーション企画は
JACKSON kakiテクノロジーダンス『さるかに合戦』
豊田ゆり佳『ドMの極み』
ニュー・ダンス研究会『ニュー・ダンス・テクノロジーズ』
山本卓卓ソロ✕萩原雄太『善善善意』
涌井智仁『まひをどりのまに』
和田ながら(したため)『わたしがなにを聴いているかあなたがわからなくても、あなたがなにを聴いているかわたしにわからなくても、わたしたちは一緒に踊れませんか』
純粋なダンサーに限らず、山本や和田といった演劇人も含まれており興味深い。審査するのは、格闘技と評されることもあるパフォーマンスで知られる塚原悠也(contact Gonzo)、不安の中に美を感じさせる写真で私が世界で一番好きな写真家の志賀理江子、機械を人間の代用として扱う作品でメディア芸術祭を受賞した美術家やんツー。MCはテニスコーツで、塚原とテニスコーツの2組はそれぞれスペシャルパフォーマンスの時間もあり、よりお楽しみ。

ハラサオリ『P wave』
5/10〜12(会場:ゲーテインスティトゥート東京)
デザインをバックグラウンドとするダンスアーティストが10年間のベルリン滞在を経て帰国後初の公演。自身をテーマに振動と受容」の身体記憶から作品を作り出す。2021年のワークインプログレスからリサーチを経て今回上演。

あひるなんちゃら『飲める醤油』
5/16(会場:駅前劇場)
笑いあり涙なしで知られる人気劇団。老舗の醤油醸造会社の社長が亡くなり、行方不明の長男が戻ってくることから始まる相続問題を描く。なのだが、この時点でこんな設定山ほどあるよねと自ら言及している。ということは一捻りするのか、どうなのか

優しい劇団の大恋愛『口笛町のおそいおそい夕暮れ』
5/18(会場:集合:和泉多摩川駅北口)
優しい劇団5月二回目の上京。今回の野外演劇は一般公募で俳優を募集。集まったのは怪優・佐藤昼寝(昼寝企画、ex中野坂上デーモンズ)、排気口などで活躍する海国りん等の豪華なメンバー。名古屋の雄と東京の才能が巻き起こす大恋愛とは。

第14回せんがわ劇場演劇コンクール
5/18〜19(会場:調布市せんがわ劇場)
若手演劇人三冠、最後の一つ。今年から有料になり映像配信も無くなったがその分、補助金が支給されアーティストに手厚い態勢でお送りする。(ただ、有料配信とかあった方がいい気するけど)
喜劇のヒロインいない、いない、いないっ!』愛知と東京の2拠点で活動する団体は、人を食ったようなユーモアを武器に二回目の一次審査を突破、ついにファイナリスト。親しみやすい若い才能はオーディエンス賞の最有力かもしれない。佐々木すーじん『kq』ダンサー・音楽家であり、scscsとして活動しながらソロでAAF戯曲賞最終候補にも残る才人。そのソロで、演劇コンクールという場を大いに荒らすことができるか。この異能は台風の目になりうる。バストリオ『セザンヌによろしく!』パフォーマンスアートコレクティブ。人間・時間・音を大きく広げていく豊かな空間芸術。独自の作品を制作し高い評価を受けている彼らが、演劇コンクールという場もアートで埋め尽くす。ポケット企画『さるヒト、いるヒト、くる』北海道から飛び出し全国学生演劇祭の頂点に立った彼らは、その歩みを止めることなくおうさか学生演劇祭で優勝、WINGCUP参加と大阪でも活動。そしてついに、北海道演劇の至宝を東京は知ることになる。屋根裏ハイツ『未来が立ってる』利賀演劇人コンクールで優秀演出家賞受賞、田畑実戯曲賞受賞と演出・戯曲で目覚ましい活動をする若手劇団がかながわの戯曲コンペに続き、2つ目の三冠取りへチャレンジ。その才能の頂点を示せるか。


中野成樹+フランケンズ 演劇作品集『ちがう形』
5/22〜26(会場:新宿シアタートップス)
翻訳演劇に新風を巻き起こした彼らも創立20周年記念公演。今回は、再演と新作2本立て2種類の合計4作品の上演。それぞれ、現代劇作家と誤意訳のカップリング。『かがやく都市』コルビジェから着想を得た宇宙人との邂逅を描く大池容子(うさぎストライプ)作品。『EP2(犬の話)』はシェイクスピア『ハムレット』2幕を意訳。舞台はビジネススクール・カラオケボックス・TV討論会・元ヤンキー宅・江戸城だそうで、何をどう描くのか。『キックバック』は小野晃太朗(シニフィエ)が描く、我慢するか100キレるか極端な妹とクズ男の物語。『寝台特急“君のいるところ”号』は2000年初演で5回目の再演となる代表作。ワイルダー『寝台特急ハヤワサ』をベースに人物、思考、風景描写、髪の視点を描く動く群像劇、

エトエのふれあい祭り vol.2
5/24〜25(会場:マジョルカ)
注目度上昇中のコント集団。ベスト盤公演の次は3組によるイベント。単独公演を終えたばかりのコントユニット破壊ありがとう。女優の小野寺ずるによるZURULABO。そして主催者エトエ。こぢんまりしつつも注目どころの集まった企画。

劇団ドラハ 旗揚げ公演 『 新宿万丁目物語 』
5/24〜26(会場:新宿スターフィールド)
昨年行われた名前のない役者たちの松森モヘー演出公演「NO.12」。一般公募で集められた俳優たち。この偶然の出会いがきっかけで結成した劇団。若手の中に、稲見和人(宇宙論☆講座)や、ときわ座のオーナー歌川恵子といった強烈な個性も名を連ねる。作演出を務めるのはすべての始まりとなった松森モヘー(中野坂上デーモンズ) 。旗揚げだが、要注目。

ダダルズ『裂け目BB’』
5/24〜25(会場:SCOOL)
破壊的な一人芝居シリーズで評価も注目度も上昇中。昨年の公社流体力学賞短編部門受賞団体。例によって、内容はよく分からないが私小説的な内容だった袋シリーズの完結後描かれる一人芝居とは。

終のすみか『Deep in the woods』
5/24〜26(会場:調布市せんがわ劇場)
大きな物語ではなく、日常のでも個人にとっては深刻な空気を描き出す若手。昨年のせんがわ劇場演劇コンクールでオーディエンス賞を獲得した彼女たちによる受賞記念講演。客席が森のようと思った経験から、 森がテーマ。何も起きなくても引き込む空気の操りかあは抜群だが、まだ発展途上。この最大キャパの公演で金字塔を打ち立てるか

劇団あはひ『ピテカントロプス・エレクトスーあるいは私たちはどこから来たのか、私たちはどこへ行くのか?』
5/24〜6/2(会場:東京芸術劇場 シアターイースト)
古典と現代演劇をミックスし、100万年前に存在した類人猿、ピテカントロプス・エレクトス。人類になることなく滅びてしまったが、なぜ彼らは地上から消えたのか。四幕の喜劇として上演。


KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』
5/24〜6/2(会場:KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ)
岸田國士戯曲賞の候補にもなった兼島拓也(チョコ泥棒)の代表作を上演。戦後の沖縄で起きた殺人事件、容疑者と顔が似ていたライターは気づけば自身の書いた記事へ迷い込む。フィクションの力で描き出される占領時代の沖縄の苦しみ。

劇団野らぼう『内側の時間』
5/31〜6/1(会場:調布市せんがわ劇場)
昨年のせんがわ劇場演劇コンクールで3冠に輝いた野外専門劇団。そんな彼らが室内で何をするかというとまさかのテント公演。劇場に現れる巨大なテント。その中で行われるイメージの閃光。野外から一転して完全に彼らのイマジネーションに閉じ込められる今回。グランプリの力とくとご覧あれ。

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『小劇場賞レース受賞歴一覧1988〜2024』
趣味で作っていた物をnoteで公開します。読んで字の如くのデータの羅列です。早稲田の演劇博物館に行って情報を集めました。

そして公開を記念して

『公社流体力学が、1988年以降の演劇賞レースを語る』
4/13 やりました。

あと今年上演した公社流体力学賞と『上演したら死ぬ演劇』の映像配信準備中。編集も一人でやってるので時間が足りん。

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