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122. 疑ってみること

いわゆる「バズる」コンテンツの内容は目に見えて分かりやすい傾向があるように思う。
時折、科学的見地に基づかないものがあるのも世の常である。

最近見かけた「バズった」ものを試してみて、それに対する感想を書いていく。

凍らせたペットボトルで除湿

バズった記事の内容

凍らせたペットボトルを冷凍庫の外に出しておくと、次第に結露する。
その結露は周辺の空気が冷やされることにより可視化された水滴である。
したがって、周囲の水分をそのペットボトルに吸着させることで除湿ができる、という内容であった。

微々たる湿度の低下であったが、「どうやら除湿できたらしい」という "実験結果" を載せているブログもあった。

本当にそうなのか?

仮にも理系出身者のはしくれなので、このような科学実験めいたものにはすこぶる興味がある。
早速、家に転がっていた空の500mLペットボトル2本それぞれに、水を半分ぐらい入れて冷凍庫に入れて凍らせることにした。
なぜ半分ぐらいかというと、水は凍らせると膨れるため(事実)ペットボトルが破裂してしまう可能性があるためである。

凍らせるための電気代とかを考えると本当にエコなのかは疑問だが、それはここでは置いておこう。

"実験"開始

凍らせたペットボトルに結露することも事実なので、その水分が周囲を濡らしてしまわないように発泡スチロール容器に入れることにした。
そこに溜まった水分量を計量することで、どれだけ除湿(収集)できたかも分かる。

「ピシッ」とした音

冷凍庫から出した途端にペットボトル内の氷が溶け始めて「ピシッ」とした音が鳴り始める。
これも氷が溶けることによって氷の中に含まれる空気が破裂することで発する音であり、これもまた事実である。

"実験"をしているものの経過をあまり見る必要がないため、設置したそばから忘れてしまう。
「ピシッ」とした音がすると、いちいちびっくりする。

結露

そして結露が始まる。
まずは小粒の水滴がペットボトルにつき始める、そしてそれらが重力により下に垂れていくことにより次第に大粒になっていく。

ペットボトルを入れている発泡スチロール容器に、水が溜まり始めた。
数時間後に見るとチャプチャプとしてくる。

定量的な確認方法

我が家には簡易ながらも気温や湿度、二酸化炭素濃度等を測る機械がある。
データを絶えず収集しているので(どのぐらい前まで残っているかは知らない)、それらの変化も分かるようになっている。

大粒の水滴や発泡スチロール容器に溜まった水を見て、期待しながらそのデータを確認した。
しかし、ペットボトルを設置した時刻よりも湿度が高くなっていた。

これだけで、「やはりまやかしか」と思うのは早計と考える。
なぜならば6畳ぐらいの部屋に500mLペットボトルが1つ、そしてその測定器とは1.7mぐらい離れているために測定条件としてはあまり当てにならない。
これはお遊びの "実験" なので問題ない。

何回か繰り返す

1回だけだと分かりづらいので、3日連続で "実験" を行った。
その結果、測定器によると湿度高め(70%ぐらい)の日は結露する水の量は多く(12時間で大さじ4ぐらい)、低め(55%ぐらい)の日は少なかった(12時間で大さじ2.5ぐらい)。

除湿ができるのかどうかはいささか不明な点はあるが、湿度により結露の量が変わることは確認できた。
考えてみたらそれも科学的には当然かもしれない。

真冬(乾燥している時期)はどうなのだろう

ここで気になったのは、真冬の乾燥している時期はどうなのだろう、ということである。
しかしこのような「バズった」記事は賞味期限がとても短い。
真冬になったらその記事があったことすら忘れ去られてしまうだろう。

その忘れ去られた時にもやってみることが本当の "実験" なのではないかと思ったため、カレンダーの真冬の時期に実験を実行することを早速メモした。

まとめ

本当に除湿ができたのかどうかは分からない部分はあったが、「もしかしたら」ということを楽しめる人には良いかもしれない。

また、前述の通り、湿度に応じて収集できた水滴の量が明らかに変わってくるため、これは小学生の自由研究に良いのではないかと考える。

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