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ラオス

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吟味と葛藤  ~サワンナケートのカオチー⑤ 

吟味と葛藤 ~サワンナケートのカオチー⑤ 

 ヒトが仕事しているって中、一人だけイスに座るっていうのは憚られるのだが、しかし座んないと、目を光らせて「座れっ!」――よけい気を遣わせてしまうらしい。
 作業の合間に飲む水を、私にもすすめることを忘れない。あぁ、私はただ見てるだけなのに…と申し訳なさを感じつつも、せかされてコップに口をつける。そのとたん、キューっと一気に飲み干してしまいたい衝動がやってきて、自分の喉の渇きに気付くのである。
 

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サワンナケートのカオチー①~具入り点描

サワンナケートのカオチー①~具入り点描

 寿司職人にも劣らないだろう、次にやることが分かっているからこその、休みない手。
「何をどのように入れてくれるのか」の観察に目を凝らすこちらの前で、サラッとした表情を変えることもなく流れを止めないのは、想像としては七、八つぐらい年上だろうか、のお姉さんである。
腰丈の台の上に設えられた、透明ケースの棚にある幾つかの容器の中から、ヒョイヒョイと各種の「具」が、ジャンプするようにカオチーの「口」へと収

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ラオスの「カオチー」について

ラオスの「カオチー」について

 信念を焼き込めたような、見事な焼き色。鎧をまとっているかのような厚い皮を蹴破るほどの「えぐれ」には、活きがいいという表現を通り越した、「雄叫び」とでもいうエネルギーを感じる。
「フランスパン」の中でいうならば、大きさは「バタール」に当てはまるだろうか。三十五、六センチという長さ、野球バット(の太い部分)のような胴回り、そしてクープ(切込み)も、たいていのものがそのように三本だ。
いわゆる「フラン

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