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お金をたくさん稼ぐ人の心理戦略を解説

最後通牒ゲームで成功する


最近の心理学の研究では、「優しい人の方がモテる!」「正直な人の方が成功する!」「ギバーが成功の秘訣!」「誠実性が大事!」というふうに、優しくて寛大な心を持っている人の方がずる賢い人よりも良い機会に恵まれる!という結果が多く出ています。

今回紹介するお話も誠実性と寛大さに関わる心理学のお話ですが、経済学の話も入っていますので面白いです。

紹介するのは2013年イェール大学心理学部のデビッド・G・ランド、ハーバード大学心理学部のマーティン・A・ノワク、プリンストン大学のコリーナ・タルニータ、総合研究大学院大学(日本)のヒサシ・オオツキ博士らの実験で、「最後通牒ゲーム」を使ったものです。


最後通牒ゲームとは?


最後通牒ゲームとは、二人のプレーヤー(提案者Aさんと応答者Bさん)が特定の金額を分割する方法を決定する経済的なゲームです。

ただし、分割する金額(自分が受け取る金額と相手に与える金額)を決める権利は提案者であるAさんにしかありません。

例えば、1万円を二人で分け合ってもらう場合なら、AさんとBさんに「じゃあ5000円あげるよ!」と言って、二人で金額を分け合うのですね。

また、もしもAさんの決めた金額に不服があるのなら、Bさんはその提案を拒否することができます。ただし、その場合は、二人とも一銭も受け取れないという結果になります。

合理的に考えたら


合理的な意思決定に基づく従来の経済理論では、提案者は最小限の提案を行い(例えば1円)、応答者はそれを受け入れる必要がある(たった1円でももらえないよりはマシなので)と予測されていましたが、実際には私たちはお互いがより公平になるように行動する傾向があります。

つまり、提案者Aさんはなるべく多くの金額を提供し、応答者Bさんは金額が少なすぎると相手に罰を与える意味でその提案を拒否するという感じです。

今回の実験では、最後通牒ゲームを使ってコンピューターで100人規模の経済シミュレーションを行いました。

その際に「成功者の戦略を模倣する」という命令を出し、状況によって金額の分け方を変えるようにプログラムし、より現実に近い形の取引になるように設定しました。


一番多くのお金を稼ぐ人の特徴


すると結果は、誠実で公平な取引をする戦略を用いたプログラムが、全プログラムの中で一番多くのお金を稼ぐことに成功したのです。

つまり、なるべく相手と半々になるようにお金を分けることで、結果的には一番多くのお金を稼ぐことができるようになるのです。

変化の激しい時代には公平さが重要


ただし、もうひとつ面白い結果が出ていまして、誠実で公平な戦略が勝つのは「不確実性」が高い状況に限られた場合のみであることもわかったのです。

つまり、変化が激しく先行きが不透明な状況では正直な取引をする人が多く勝ち、変化の乏しい安定した状況では不誠実で不公平な取引をする人が多く勝つということです。

最後に、シミュレーションの結果が出た後で、実際に140人を対象に最後通牒ゲームをやってもらったところ、こちらでも同じ結果になり、ランダム性の高い状況ではより公平で正直な戦略を選ぶプレイヤーが増えました。


相手に華を持たせる人が成功する


また今回の研究で、相手の提案内容が悪く、そのせいで不利益を受けた場合でも、とりあえずは寛大な態度で許してあげたほうが最終的な利益は増えることもわかりました。

これを現実の世界に当てはめるのなら、もし誰かに嫌なことをされても、数回くらいなら相手を許してあげたほうがあなたにとってもお得!ということになります。

仕返ししない方が成功する理由


相手に嫌なことをされたり自分に不利益なことがあったあとですぐに相手に仕返しをすれば、二人の関係性はそこで壊れてしまいます。

しかし、現実世界のように他者からの協力が必要な場面では、悪さをした相手に仕返しをするメリットよりも仲間を失うコストのほうが大きくなってしまうのです。

つまり、最も成功し最もお金を多く稼げる戦略とは、最初の2〜3回くらいは相手の望みを叶えてあげて、うまく華を持たせてあげることなのです。

なので、たとえ嫌なことをされたとしても、寛大にふるまったほうが最終的には有利なのです。

お金を多く渡す人は意外と多い


ちなみに、研究によると、平均的には、提案する側の人は30%から50%の資金を相手に提供し、協力する側の人は25%から40%の資金を相手に求めることがわかっています。

意外と提案する人は相手が求めるより多くを与える傾向があるのです。

あるいは、この手のゲームだと、協力者側の人が消極的になる?のかもしれません。

→元記事はこちら:https://kruchoro.com/ultimatum-game

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