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【読書ノート】ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦

ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦 角川文庫

タイトル;ペンギン・ハイウェイ
著者;森見登美彦
読了日;2024.3.21
時間;約7時間
ページ数;349ページ


あらすじ
たくさん本を読み、たくさん勉強する、思考を止めることをしらない少年ーーアオヤマ君。
ある日突然街に現れたペンギンと次々に起こる不思議な現象を歯科医院のお姉さんと共に謎を解き明かす。


感想

恥ずかしながら森見登美彦作品は初めて触れるので、初見のつかみは『サマーウォーズ』とか『時かけ』みたいな細田守作品に似たファンタジー小説といったところだろうか。
不思議なことが起こっているのに容易く想像させる表現力、文章力に感動した。



さて、「ペンギン」とは何か、「<海>」とは何を比喩しているのか。
少し前には映画化もされ、考察サイトはたくさんあるようなのでここでは割愛し、個人的な感想を述べようと思う。


私自身の幼少期に後悔はないけど、こういった作品に触れると、やはり自分も幼い頃にもっともっと想像力豊かにのびのびと自由に過ごしたかったと、彼らを想像して羨ましくなる。
けれどもこんな羨望は大人になったから抱く気持ちで、これまでの私の人生の積み重ねによって抱かれた気持ちである。
当時の堅物な私には響かなかったかもしれないから物語は面白い。



物知りで知りたがりの小学四年生が見る街の景色はたいへんキラキラしてわくわくするものだった。
彼から紡がれる描写は美しく、私の想像力も豊かにしてくれた。
そして何より素直だ。その素直さがとても心を温かくしてくれた。


思うに、このお話は恋物語というよりは愛の物語だ。
恋と愛の使い分けが確かにあった。
アオヤマ君のお姉さんへの想いはうっすら恋から愛へ変化したように感じる。
そしてその気持ちの変化がアオヤマ君の成長を物語る。

またお姉さんに会えるよう少年は学びを止めず豊かに成長するのだろう。



この本を読みながら、何度も愛しい娘の寝顔を眺めた。
彼女はこれから見ていく初めての景色をどんな言葉で表現するのか楽しみだ。

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