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「思考して、染めて、売る」までの話。

こんにちは。桐染の平本ゆりです。

2023年春夏の桐染の浴衣が出来上がりました。今回はワンピースとかTシャツもあります。
撮影も終え、これからSNSやウェブショップなどで商品の詳細をご紹介していきますよ!ゴールデンウィーク期間中には展示会も桐生と東京の2カ所で実施します。どなたでもご来場可能ですので、どうぞお気軽にお越しください。

2023 SS 展示会案内状

私たちのような、染屋は通常「作る(染める)」が専門分野です。自社ブランドを始めると、それだけでは終わらず「思考(デザイン)する」事と「売る」までが1つのセットとなり、ようやく出来た〜!と思ってもこれをどうやって売るの?までを責任を持って考えなくてはなりません。

自分のデザインしたものを、自分で作って、自分で売る。この話をグラフィックデザイナー時代の友人や同僚に話すと「やっべーな!w」と言われます。そう、なんか工程が多いw やばいんです!!

アパレル会社であれば、デザインする人、作る人、売る人は全部分かれています。まぁそうすれば良いのかもしれないんですが、何かそれは違う気もしています。まだうまく言葉にできないのですが、ある程度自分の手や目で追える範囲で商品を作りたいし、販売していきたいと思っています。

商売で見れば、なるべく流れ作業でできる方法や、システム化すべきなところもあるのですが、まだ桐染はそのフェーズでは無く、試行錯誤の最中です。もう少しお客様の温度や世の中の温度を自分たちで感じながら何を作るべきかを考えていきたいと思っていますし、そこがむしろ1番大切に感じています。

「売る」という分野は私は今まで体験した事の無い分野で、販売の経験も無く、ここまで見様見真似でやってきました。初めは「いらっしゃいませ」とか言うのも恥ずかしかったし、商品の説明をしていて何を話してるか分からなくなっちゃった事も多々あり、毎回失敗をバネに次はこうやって話しかけようとか、説明はこうやって話そう、などと少しづつ免疫をつけてきました。今ではある程度お客様との会話も楽しめる様に成長してきています。我ながら大進歩です。

本当に運が良かったとしか言いようがないのですが、百貨店さんや小さな販売店さんとの出会いに恵まれて、販売できる「場」を今まで与えていただいてきました。
よく考えると、なんのつても無く始めたのに、声をかけてくださる方々には本当に感謝しかありません。桐染は合同展示会にも出店経験はほぼ無く、たまにお声がけいただくのですが、なんだか違う気がしていて今のところ自社開催の展示会に落ち着いています。しかも夏直前にやるという、ちょっと他と違った動き方をしちゃっています。「え、今やるの?」何度か知人に言われた言葉。でも今のところ、これが1番良いのかもしれません。浴衣を着たい季節になってから展示会をやって猛スピードで仕上げるという。自社生産だからできる猛スピード感。OEMだったらこんなスケジュール絶対断ります。自分が最後まで責任を取るからできるスピード感でやっております。でも来年はもうちょっと早めに動こうと思います(汗)

自粛ムードも落ち着いて来たので、自社開催の展示会は年2回にしようかと考え中です。2回とも春夏(秋)のみという、染色界のチューブの様な存在になりたい。ファッションは春夏と秋冬の年2回のサイクルがあるのですが、桐染はもう春夏だけで良い気がしています。1つのシーズンを徹底して極める方が自分には合ってる様な気もしていて。日本が冬の時期は暖かい国で展示会やるとか、そういうサイクルを目指したい。あと、私が冬服にあまり興味を持てないのも理由の一つ。冬服に興味が持てる様になったら冬に向けた商品も生まれるかもしれません。それはそれで楽しみだし、まだまだやれる事の幅は広いです。

何度も言いますが私は「売る」という分野が正直苦手です。店頭に立つだけで普段のエネルギーの3倍は疲労してしまう、そんなイメージです。商品の説明や熱量、お客様の反応も知りたいので、今は頑張って自分で売っていきたいと思っていますが、私は桐染の商品を売ってくれる人たちを常に探しています。(売るのが得意でたまに手伝っても良いよ、という方がいましたら、ぜひご連絡ください。コミュニケーション能力が高く、気遣いのできる優しい方、年齢不問、染色に興味のある方、お着物の知識のある方歓迎)

2023年の桐染のテーマは「Remember Los Angeles」

今年から展示会やコレクションにテーマを付ける事にしました。
今年のテーマは”Remember Los Angeles”。海を越えた異国の地に思いを馳せて染色で表現しています。
なかなかコロナで海外にも行けませんでしたが、そろそろ海外にも行きたいですよね。私は昨年夫と遅めの夏休みに奮発してハワイ旅行へ行きました。何かの限界を夫も私も感じていたのでしょう。旅行したい!と。夫がだいぶ前から予約すれば格安で行けると調べてくれたので、ラッキーでした。基本、旅行の企画は毎回夫に任せています。いつもものすごいリサーチ力で旅行について調べてくれるので私はそのプランに便乗しています。久しぶりの海外は良かったです。異国の空気、異国の人々に触れると自分は何て狭い考え方をしていたんだと気づかされたり、もっと広い視野を持って、大らかに生きたいと思えます。

今回のテーマはハワイでは無くLAですが。LAのカラッとした空気、都市と自然の距離感、少し車を走らせると広大な砂漠が広がり、人間の小ささを気づかせてくれる、そんな街な様に感じています。
あの空気感や匂い、言葉で表現しきれない部分を染色で表現してみました。

今回は昨年みなさんから好評だった「マーブル」がメインのラインナップです。マーブルは私が新しく生み出した染色技術です。籠染の失敗から着想を得て、生地の上で染料を混ぜるという染め方を生み出しました。
まだ私も2シーズン目の染色技法なので、自分で染めていても新鮮で楽しいです。今年は夏まではマーブルに専念できる状態にしたかったので、振り切ってマーブルだけのコレクションにしてみました。全部で5色のマーブルが出来上がりました。ぜひ、桐染のインスタグラムで最新情報をチェックしていただけたらと思います。https://www.instagram.com/kiryu_kirisen/

2023年の桐染ポップアップ情報

今年もありがたい事にポップアップショップの予定が決まっています。
これまでは、声をかけていただいたら予定さえ空いていれば二つ返事で出店します!と言ってきたのですが、なんとなく桐染と相性の良い場所というのがようやく分かってきたので、お声がけいただいてもお断りする事に決めました。お断りするのは、単純に予定が合わない場合は仕方ないのですが、私自身がお買い物をしたい場所かどうか、というのが1番の判断基準となりました。

お店さんが悪い訳では無く、シンプルに客層が合っているかどうかが売上に影響する事も少しづつ分かってきたので、小規模でやっている私たちなので時間も労力も限られてくる為、自分が望んでいたお店さんからのお声がけ以外は全てお断りしました。

今年は自社開催の展示会をゴールデンウィークに開催します。
そして、東京と大阪での2箇所でポップアップ予定です。

<2023桐染の展示会や出店予定>
・4月27日(木)〜5月1日(月) 東京展示受注会@渋谷ヒカリエ8階aiiima2
・5月6日(土)〜7日(日) 桐生展示受注会@金善ビル4階 keshiki
・5月17日(水)〜22日(月) 「ときめく夏着物」@阪急うめだ7階催事場
・7月10日(月)〜23日(日) @NEWoMAN新宿 2階イベントスペース

例年に比べると出店は少ないですが、中身や思いは濃い〜です。ずっと出店したかったお店です。
まず阪急うめだ
関東圏の方は行った事が無い方が多いと思いますが、私も行ってびっくりしました。本当に百貨店のテーマパークと言っても過言では無い、サービス精神溢れる百貨店さんです。お客様として行っても楽しいし、出店できる事が本当に嬉しいです。阪急うめださんとは実は2019年からのお付き合いで、2020年もお声がけいただいていたのですがコロナで中止に。まだ桐染が何処ぞの馬とも知らぬ状態だったのに、実績も無い私たちを受け入れて下さった初めての百貨店さんです。コロナが明けたら、ぜひまた出店したいとずっと思っていたので、今回お声がけいただけたのは本当に嬉しかった。。(忘れられていなかった。。!)関西圏の方々に久しぶりにお会いできる機会ができたので、今からとても楽しみです。

そして、昨年初めて出店させていただいたNEWoMAN新宿!
個人的にも買い物によく行っていた場所からのお声がけだったので、本当に嬉しかったです。浴衣をメインにやってきたけど、NEWoMANでお買い物する様な人たちに買って欲しいとずっと思ってきたので、そんな思いが叶いました。今年もお声がけいただき、出店できる事になりました。ぜひ今年も沢山の方にお会いできるのを今から楽しみにしています。

そして、今年はマーブルに染めた古着の販売もやりたいと思います。そして、昨年同様にNEWoMAN新宿ではマーブルの染め直しも受付予定です。
どの色にするかはまだ未定ですが、展示会の反応を見ながら色を決められたらと思っています。

今年は夏を思いきり楽しみましょう!
色から元気をもらえる様な、今年はそんなコレクションです。
今年も様々な場所でたくさんのお客様との出会いを楽しみにしています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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