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【Live in Europe】(1972) Rory Gallagher 一直線に熱いロリーの出世ライブ盤

私、ロリー・ギャラガーというギタリストが大好きなんです。ブルースというジャンルから大きくブレることなく、一本気を貫き通した生涯にとても惹かれるのです。

彼がライブステージで見せる熱量たっぷりのパフォーマンスは圧巻です。チェック柄のシャツにジーンズという飾らない出で立ちで、歌も演奏もあくまで全力投球。残された映像を観ただけでも、手を抜くという言葉はこの人の辞書には無かったのだろうなぁと思ってしまいます。

ロリー通算3作目となる本作は、ソロとして初のライブアルバム。伝説のバンド、テイストからソロに転じ、地道な活動で少しずつ評判を広めたロリーが、人気急上昇の中で発表した作品です。

この年1972年にロリーは、英国音楽雑誌の人気投票でかのエリック・クラプトンを抑えてギタリスト部門の1位に選ばれており、まさに飛ぶ鳥落とす勢いの頃!
スタジオ作品と違って一発勝負の生演奏をぶつけられるライブ盤は、彼にとってまさに打って付けの舞台だったでしょう。

メンバーはソロ初期の3人。
ロリー・ギャラガー : ボーカル、ギター、ハーモニカ、マンドリン
ジェリー・マッカヴォイ : ベース
ウィルガー・キャンベル : ドラムス

テイスト時代と変わらぬトリオ編成ですが、未整理だった演奏はスッキリと纏まり、よりエッジの立ったブルース・ロックを聴かせています。また、あのボロボロのストラトキャスター以外にもアコギ、マンドリンも披露。土臭さ広がる素朴な一面も窺えます。

さてロリーのプレイで気になる特徴に音色があります。エフェクター類も使っていたようですが、主にギターのボリュームやトーンを駆使しながら、時にピッキングで音の表情を変えるプレイは個性的だったと言えますね。
ギター本来の能力を引き出すという点では、クラプトンとも違うプレイヤーとしての信条を感じます。


(アナログレコード探訪)

ロリーと2人の勇姿!
英国ポリドール・レコードの2ndレーベル
マトリックスA2/B1

英国盤です。ダブルジャケット仕様で、見開きに映る3人のモノクロ写真がイイ感じです。

この盤は英国2ndレーベルで、その判別はレーベル面の縁。平面だと初期盤、円周上に沿って凸面があれば後発盤となります。具体的にいつから凸面になったのかは不明ですが、私の推測では74年頃と考えています。この盤もその頃のプレスだと思いますね。

またレーベル中央左に白色で囲われた四角部分、ここが空欄のものが初期、次にこの写真の「MCPS」表記、という判別のやり方もあるように思いますが、確証はありません…💦

英国盤は音の鳴りからして迫力十分、ロリーのギターの生々しさが伝わってきました。

ポリドール株式会社の日本初回盤 (MP 2258)

一方、こちらは日本初回盤。我が国では半年ほど遅れて発売されています(1972年10月)。
ジャケットはシングル。英国盤に比べれば音も小さく、こもって潰れていますが、各楽器を際立たせているのでクッキリして聴きやすい音でした。


〜曲紹介〜

Side-A
①"Messin' with the Kid" 6:25
初期のロリーの定番曲です。オリジナルはシカゴ・ブルースのジュニア・ウェルズ。
歓声降りしきる中、ロリーのギターが炸裂してスタート。ミッドテンポのスッキリしたブルース・ロックです。メリハリつけた中盤にはピッキングハーモニクス音を鳴らすなど繊細なプレイで演出。長年に渡り彼の名刺代わりとなった一曲です。


②"Laundromat" 5:12
1stソロ収録の自作曲。これぞロリー!といったエッジの立ったギターリフで煽ります。
乾いた音で直線的に攻める演奏がこの頃の持ち味。バックも必死の様子です💦
映像はビートクラブ。動くロリー男前です。

③"I Could've Had Religion" 8:35

④"Pistol Slapper Blues" 2:54
一転してアコースティックコーナーは、ブラインド・ボーイ・フラーのカバー。
戦前ブルースでもラグタイム風の軽快な曲を選ぶ辺りもロリーらしい。ロバート・ジョンソンを好むクラプトンとも趣味の違いを感じますね。アコギ捌きも熟れたものです。

Side-B
①"Going to My Hometown" 5:46

②"In Your Town" 10:03
2ndアルバム【デュース】からの強力曲。
こちらも直線的なノリのブルース・ロック!
一本気な性格が伝わってきます〜。
ロリーはスライドバーによるプレイとなると一層熱くなりますが、ここでも超HOT!
実際の演奏はロリーがOKと言うまで終わらないのでしょう。バックは大変です(笑)
ビートクラブの映像が優れたテイクなので紹介します。

③"Bullfrog Blues" 6:47
ラストはトラディショナル曲をロリー流にアレンジしたR&R、ライブの定番。ドラムのウィルガー・キャンベルのプレイにもう少し重みがあったらなぁ…と思いますが、ロリーはお構いなしにギターで爆発。嵐のように過ぎ去っていきます。 


私自身は実のところ、本作がロリーのベストテイクとは思っておらず、彼のライブは寧ろ映像で観た方が凄味が伝わるので、これは是非オススメしたいと思います。
同郷のU2のエッジ、ザ・スミスのジョニー・マーなど、意外と思われるギタリストまでがロリー・ギャラガーに影響を受けたと語っています。
もっともっと再評価されていいのになぁと思うギターヒーローですね。

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