【Revolver】(1966) Beatles アナログ盤で聴いてみたリボルバー体験記
私のビートルズ初体験は【リボルバー】でした。中学1年生の時、友人からカセットテープに録音してもらって聴いたのですが、ハッキリ言って訳が分かりませんでした(苦笑)。何よりもまず音の古さを感じましたね。
私が聴き始めた80年代後半でも、ビートルズの金字塔といえば【サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド】。
しかし近年は新しい価値観で見直され、実験的であってもよりロックな感触に満ちた本作の評価が高くなっている風潮を感じます。
ビートルズに関しては、素晴らしいレビューが沢山あるのでそちらを読んで頂くとして、今回の私はアナログレコードで聴いてみた本作の体験を綴ってみようと思います。中古レコードで旅する【リボルバー】編です(^^)
(アナログレコード探訪)
〜東芝盤は手頃な優等生〜
私がまず最初に買ったのが日本盤でした。ビートルズの日本盤は良く知られるように東芝です。初回盤は赤盤でした。赤盤とは、東芝が開発した帯電防止剤を混入した赤色の半透明盤なのですが、私が買ったのは再発された通常の黒盤です。
初回盤はオデオンレコード表記の黒色レーベルですが、私のはアップル盤。ビートルズがアップルレコードを設立した1968年以降の再発盤となりますね。
ジャケ裏を見ると、東芝音楽工業株式会社の時代(1973年10月東芝EMIへ変更)で、価格は2000円。おそらく、1970〜72年頃の再発盤だと思います。
ビートルズの日本盤はそこそこシッカリした音です。同時代のストーンズと比べると明らかにクッキリ、ハッキリ。元々の録音環境もあるでしょうが、英国の状態のいいコピーマスターからカッティングしていたんだと思います。
ステレオミックスがまだ確立されておらず、左右に偏ったミキシングですが、音に余白があるのも悪くない。
私、昔からジョンの"And Your Bird Can Sing" が好きなんです。本人は嫌いだったみたいだけど。ロックを歌うジョンってカッコいい!
さてビートルズのアナログ盤の最高峰といえば、これはもう何といっても本国の英国盤。
私も背伸びして手を出してみました。
〜英国盤は玉石混交の宝探し〜
中古市場でもむちゃくちゃ高額な英国盤💦 ビートルズの初期盤なんて、主に昔のティーンが安いプレーヤーで聴き倒して、扱いも雑だった代物。難アリがホントに多いのです。承知の上での購入を求められます。
ピンキリある中から、私はキリの方で(当然!)状態の良い物を探しました。それからビートルズならモノラル盤だよねぇ、という訳で選びに選んだのが上の盤です。6〜7000円程。
因みにモノラル盤はステレオ盤より貴重なので市場価格も上がります。これでも安価な方なのデス💦
盤は傷だらけ。でも試聴機で確認したところノイズは無し。モノラル盤って多少の傷でも音に出ないというのは本当でした。
但し自宅で聴いてみても、あー、こんなものかぁ…とさしたる感動も無し。なんだか怪しい。
まぁ1曲目 "Taxman" から演奏がド真ん中から出てくる感触は確かに新鮮でした。この曲でポールが弾く攻撃的なギターソロ、凄いですね〜。
【リボルバー】ってこんなものじゃ無いだろう……諦め切れない私が次に手を出したのが米国盤です。
〜米国キャピトル盤の落とし穴〜
米国でビートルズを配給したのがキャピトルです(ブレイク前は他会社が発売)。
キャピトル盤は英国盤よりずっと安く手に入ります。玉数が多いですからね。
しかもこの盤、英国盤よりずっと音が良かった!なるほど、モノラル盤を喩える「音が飛び出してくる感じ」が確かにありましたね。
"For No One" の牧歌的なホルンの音色、柔らかなポールの歌声など良く伝わってきます(^^)
すなわち、ここで明確に6〜7000円で買った英国盤がへタっていたことを実感したのでした(泣)。何事も勉強です。
ところがデス、喜び勇んだ米国キャピトル盤にも落とし穴があったのです。私、重要なことをすっかり忘れてました。キャピトル盤って内容が違うんですよね〜💦💦
収録曲数、何とたったの11曲!
あれ、このアルバムって両面14曲じゃなかったっけ????
実は米国キャピトル盤は、1作目の【Meet the Beatles!】から全くの独自の編集なのです。シングル曲は入るわ、他アルバムから組み入れるわ、曲数は削るわで、もー完全な別物。
【リボルバー】はまだ原型をとどめておりますが、それでも "I'm Only Sleeping" "And Your Bird Can Sing" "Doctor Robert"とジョン・レノンの曲がゴッソリとカットされてました!💦私、ジョンの曲が好きだったのに…(泣)。米盤ではこの3曲は前作【Yesterday and Today】に既に収録済みなのでした。
そんな訳で【リボルバー】キャピトル盤、何度聴いても腑抜けな感じがします。迂闊だったなぁ…。
良質なモノラル盤を手に入れることの難しさに八方塞がりの私でしたが、ついに朗報が。
日本で再発されたモノラル盤というのがあったのです!
〜好企画だった東芝80年代再発盤〜
東芝EMIは、80年代にビートルズファンの要望に応えるべくモノラル盤を復刻します。しかも往年の赤盤。なかなか気が利いてます。
このシリーズは、82年、86年の2度おこなわれ、ビートルズがモノラルで発売した全作品をリリース。世界的にマニアの間でもその音質は非常に評価されているのです。英国マスターを使ったとかの噂も…。
実際にこれは素晴らしい音でした。迫力がある上に音も明瞭。音そのものが濃いのです。私、モノラル盤で聴く意味を実感しました。
サイケで実験的な"Tomorrow Never Knows"、テープ逆回転でコラージュ音のような数々がまるで走馬灯のように目の前を走り去っていきます。
その後もモノラル盤は世界的に復刻しましたが、アナログマスターから直に製作というのは、CD前夜のこれが最後だったように思います。
日本でのビートルズ人気は凄まじいですが、それに応えようとする東芝の心意気も立派。いやはや何とも、日本人のビートルズ愛は世界的に見ても凄い。アナログ盤を通して感じたことでした。。
アナログ盤はやっぱりいいなぁ~。
〜よっしー、キリスト発言に一言〜
最後に。本作が出た1966年といえば、ジョン・レノンのキリスト発言という世を騒がせる事件がありました。米国にて、ジョンがビートルズの人気を喩えるのに冗談で「ボクらはキリストより有名だ」と発言してキリスト教徒の逆鱗に触れた出来事です。
よくあの時の映像で、ビートルズ追放とばかりに沢山のレコードが焼き払われる場面がありますが、あれを見ると私は心が痛むのです。
「ちょっと!ちょっと!燃やすならそのキャピトル盤全部貰いますよ!それ価値出るんだからね!何て勿体無いことをするの!!」
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