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十角館の殺人/綾辻行人

第2回は十角館の殺人/綾辻行人です。

はいっ、、、2回目にしてラスボス級の名作の登場です!ミステリの初心者向けランキングでは必ずと言って良い程挙げられる本作。"取り上げない訳には行くまい!"とココでも取り上げます。


1.基本データとあらすじ

1-1.基本データ

1-2.あらすじ

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。一方本土では、元ミステリ研のメンバーに死んだはずの中村青司から謎の手紙が届き、その解明に向かうが、、、。

講談社文庫より(一部加筆)

2.主観的評点と向き/不向き

2-1.主観的評点

主観的評点は以下の通りです。

2-2.向き/不向き

向いている人
・どんでん返し/意外な真相のあるミステリが好きな人
・本格推理小説が好きな人
・とにかく面白い小説が読みたい人

向いていない人
・社会はミステリが好きな人
・殺人が起こるミステリが苦手な人

3.ネタバレと感想

以下、革新の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。












3-1.犯人と動機

ミステリ研の6人を殺害したのはヴァン・ダイン(守須恭一)。動機は急性アルコール中毒によって死んでしまった恋人・中村千織の遠因を作ったため。

叔父の所有物である角島の十角館を利用し、会員6人を誘う。6人の目を盗み、睡眠薬や青酸カリを使用し殺害。隠しておいたゴムボートにて夜間に本土と行き来して江南や島田と会い、アリバイを創り出す。

小説内では、島の章ではミステリ研内のニックネームであるヴァン・ダインで呼称が統一されるが、本土の章では本名の守須恭一と呼ばせ読者に仕掛ける叙述トリックを用いている。

3-2.ネタバレ感想

「ヴァン・ダインです。」

本書P.402より

"衝撃の1文"とはこの事だっこのか!と騙されたと同時に爽快感すら覚えました。そう言えば、犯人=守須と匂わせる描写(煙草の銘柄など)が隋書にあったし、後からパズルがカチッと嵌って行きました。

本島→島と交互に章立てる理由もキチンと腹落ちして、種明かしの章ではグイグイと引き込まれてしまいました。

ミステリ初心者が読みがちな作品群に叙述トリックがあると思います(分かりやすい"騙し"の構造なんですよね)。本作もその系譜でして、ミステリを読み始めの段階で読む事をオススメします。

あえて難点を言うと"登場人物が海外有名ミステリ作家から取ったニックネームで呼び合う"、と言う設定なので名前と学年、そして学部(少しキーになります)をメモして読み進めると良いかもしれません(最初に手間をかけた方が後々の読書スピードが早まる)。

有名過ぎてツッコミどころを挙げるのもおこがましいのですが、敢えて言うと以下の3つです。

1:犯人であるヴァンの内面が描かれるシーンが九章にあるが読み返すとアンフェアギリギリに読める点(P.309)。

2:アガサが口紅に青酸カリを仕込まれて死ぬ、と言う描写があるが口紅に塗った位の青酸カリで人は死ぬのか?と言う点(P.311)。

3:燃えた尽きたとは言え、犯人が現場に残した証拠がかなり多そうなのにラストで警察の捜査が打ち切りになる点(P.450)。

とは言え、絶賛オススメミステリです!!

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