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車イス生活者の日常について熊本シティFM番組「ラジオリンカーン」で学んだこと。

昨日の火曜日、夜8:00からの1時間。
熊本シティFM「ラジオリンカーン」。
ジングルがなって番組が始まった。

先週の出演のことを思い出しつつ、僕は風呂場にiPhoneを持ち込み、すっ裸で髪を洗いながらジングルを聞いた。

珍しくnote連投の今日は、僕の出演の回の話の内容を書くことを延期して、昨日マッパで学んだことを書く。

だって車イス生活者の日常の話ってあまり聞いたことがないでしょ?
ある?
僕はなかった。

聴いてみれば当たり前のことだった。
ふだん意識してなかったからその話はとても新鮮だったし、特別な人だと僕の方が壁を作っていたことがわかる。
街の仲間(先輩だけど)としていろいろ話もできるようになる。
何をサポートすればいいのか、どう一緒にいれば良いのか、僕の方が学ぶきっかけをもらう感じ。


昨日のラジオリンカーンは車イス生活者の長江浩史さんと知将浅川浩二さんと、合いの手上手の高知穂さくらさんに加え、ゲストは吉本まりさん。
吉本さんが長江さんに質問する流れ。
これがとても初歩的なことを尋ねてくれるので、僕には大変勉強になった。

たとえば。
「いつも放送後はご飯食べに行きますよねー」から始まる質問。
先週僕もご一緒したから、そのときのことを思い出しながら聴く。

聴いてる僕は髪を洗い終わって、この頃は豊満なお腹あたりを含めた全身を洗ってる。

お酒の話になり。
「飲みすぎないんですか?」という質問に、
「11時には上がるけん。11時にヘルパーさんを頼んでるから帰る」と、介助者と二人三脚の生活であることが垣間見える回答。


そんな長江さんと初めて僕が知り合ったのは、深夜のRude Bar(熊本にある気合が必要なバー)だった。
見るからにキレキレの先輩だった。
その後、自転車で転倒され頚椎骨折で下半身と手が動かない状態に。
それからリハビリを積極的に進めるほか、車イスやベビーカーが使いやすい街づくりに奔走するなど、そのバイタリティはキレキレの時と変わらない。というか、むしろパワーアップしている。


長江さんは続ける。
「ハイボールジョッキ1杯飲むごとに、水もジョッキ1杯飲むけん」
量は飲むが、水分もきちんと摂ることで酔いすぎを回避。
さらに「食べんと悪酔いするけん、飲みながらきちんと酒肴やおかず的なものを食べる」と。

ただ、車イス生活だと、その1日の運動量は健常者の1/3くらいになる。
そこで長江さんは1日1食の生活をすることにした。
そうでなければ太る。
一方で、タイヤを回すための筋力を維持するトレーニングも欠かさない。
キレキレな先輩はストイックな先輩でもあった。

この話のころ、僕はすでに風呂から上がり、日奈久温泉から買ってきたちぎり揚げを肴にプシュッとビール缶を開けグビッと行ったところだったので、一瞬だけ深く反省した。


街で仲間と飲んだあと、長江さんは車イスで家に帰る。
自宅の入口前に3段の階段がある。
「どうやってあれ登るんですか?」と吉本さん。
僕もそれは不思議だった。
「そこに車イスを持っていくと、リフトがあって車イスごと上に3段分持ち上げると」と長江さん。
そうだったのか!

ただ、リフトは垂直に上がるので階段の上にステンレスの板を置いて車イスで渡る必要がある。
そのためにヘルパーさんと11時に家の前で待ち合わせするという。
板を渡すという単純なことなのに他人の手を借りないとできない。
たぶんその後も生活上の介添えなどがあるのだろう。
街づくりや商店街の仕事で夜中まであちこち飛び回る長江さんも大変なら、その長江さんを支えるヘルパーさんの仕事も大変なのだ。


ところで長江さんは障害者ということばを使わない。
自らのことを含めサポートユーザーと呼ぶ。
身体が動かないから車イスというツールで身体機能をサポートする。
生活上ままならないことがあるからヘルパーさんにお願いしてサポートしてもらう。

身体が動かないとか、生活上ままならないことというのは、その人のひとつの状況だ。
ひとそれぞれにままならないことはある。

たとえば僕は近視だ。
加齢で遠視も加わってきた。
だから僕はメガネというツールに視力をサポートしてもらっている。

僕はかけっこが遅い。
水前寺清子さんより早く走れる気がするが、チーターよりは遅い。
そんな僕でもチーター以上のスピードを以って移動しなければならないことがある。
だから僕は自転車や自動車にその速さをサポートしてもらっている。

そう考えると、ひと一人ひとり、個性を尊重するという考え方の延長で、「障害者」というレッテルとは別の視点で様ざまな人とコミットしていける気がする。

サポートユーザー、とてもいい言葉だと思う。


番組の終わりころ、次週につながるトークがあった。
サポートユーザーであろうがなかろうが思春期は来るし、その後は男女問わず性欲を持つ。
「身障者だから天使のように清らか」とか「身障者はそんなことするな」とかいうような話ではない。
自分以外の「人」を勝手にそこに押し込めるのは差別だ。
性欲を持つのは一人の人間として考えると当たり前のこと。
性欲というと厳しく聞こえるなら、誰かと温もりを感じあう欲求といってもいい。
僕などは(たぶん長江先輩も)やたら早熟な小中学校に行ったのでいろんな情報が入ってきて、思春期の自分の身体や心の変化も「あああれか」とわかったものだ。
けれど身障者などハンディキャッパーとされている人のところにそのような情報は届きにくい。

わけがわからない心身の昂りを本人もどう処したら良いかわからないということもあるだろう。

そのようなお子さんを持つお母さんは、なぜそうなるのかをわかっても相談するところがない。
世の中にはそんな悩みがたくさんあると思う。

それを今までは「ないこと」にしてきたのではないか。
そういう問題提起を長江さんが番組の最後に言葉にした。

次週はまた深い話になりそう。
これは聴かざるを得ない。

次週は5月31日火曜日。
20時から21時まで。
ぜひ熊本都市圏の方はFMラジオを79.1Hzへ。
熊本都市圏以外の世界中の皆さんはウェブラジオでどうぞ。https://www.jcbasimul.com/?radio=fm791
この日はめちゃくちゃ大事な話になる気がする。

なお、先週話した内容の補足については次回書く予定。
きっと書く。
書ければ、書く。

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