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ferm LIVING Stories vol.26 Mjölk 創業者 Juli の家

今回は連載開始後初のカナダからインタビューが届きました!


長いインタビューではありませんが、1日の終わりに、味わうように
ゆっくり読んでいただければ嬉しいです。


それでは、どうぞお楽しみください。

〜 Juli のトロント 〜


Juli はカナダ、トロントでライフスタイルショップ兼ギャラリー
「Mjölk」を夫婦で営んでいる。

彼女は自身の仕事を住まいの延長だと思っている。
事実、職場の真上が住まいなのだ。

Juli Daoust Baker / Mjölk 創業メンバー

ここはかつて、カナディアン・パシフィック鉄道のハブとして知られた場所で、トロントのウエストサイドにある the Junction には、今では若い家族連れや流行りの飲食店、都会暮らしのプロフェッショナルたちが混在して暮らしている。

Juli たち家族が、この地域にある最後のビクトリアン様式の建物に移り住んだとき、彼女たちは自分たちで空間づくりができて、家族と仕事の両方の拠点になるようなそんな場所を探していた。


(Juli)
私たちは最近ヨーロッパで見た古いファサードに感動していたのです。
そして幸運にもこの建物を見つけました。

1階の彼女たちのお店には十分なスペースがあり、Juli と夫の John はその上にある2階建てのアパートに大きな計画を立てた。
建物の歴史的な外観を元のビクトリアンスタイルに復元した後、夫婦はインテリアの改装に取り掛かった。


その仕事の結果は、私たちを全く別の空間に連れて行ってくれるものだった。

室内は明るい色合いや自然素材、心の尽くされたディテールが組み合わされており、北欧と日本のデザイン美学が特徴的な安らぎのオアシスを作り出している。


(Juli)
基本的に北欧と日本のデザインは両方とも自然の要素が強く、陰影や質感、
そして素材に敏感です。
これらの伝統は、人が集まったり一息ついたり忙しない心に休息を与える場所の発想を誰かが理解しているからだと思います。私は、彼らの中にある慎みに反応しているのでしょう。

Juli と John は、二人の子供 Elodie(8歳)と Howell(6歳)、それに二匹の愛犬 Aoife と Atla たちとみんなでスペースをシェアして使っている。
家族は家にいるとき、大半の時間をダイニングテーブル周辺に集いゆっくりと過ごしている。


彼女たちの住まいの多くがそうであるように、そこは明るいオーク材や植物のグリーン、そして厳選されたアンティークや珍しい骨董品であふれている。

(Juli)
私自身がインドア派の人間。
私は神経系統が過剰に刺激されやすいので、自宅に必要な要素なのが
「自然光」、「愛する私の家族」、そして「穏やかで静寂に包まれた空気感」なんです。まぁ、愛犬と子供たちとの喧嘩はいつだってありますけどね。

アートスクールでキュレーションと写真を学んだのち、何かしらの方法でデザインを自分の仕事をするということは Juli にとっては自然な選択だった。


それは、彼女が夫と共有している「興味」であり「情熱」なのだ。
まるで彼女たちのワークライフ、ひいては彼女たちの関係性の中に下ろす
錨(いかり)となっているようだ。


(Juli)
最初のデートで私たち、家具のことで喧嘩したんです。
付き合って一年してからは「Kitka.ca」という私たちの住む町の周辺で見つけたビンテージのアイテムについてのデザインブログを開設、スタートさせました。

夫婦がインスピレーションをかき集め、自分たちのお店を開く計画を練った北欧旅行ののち、2009年に Mjölk はオープンした。
スウェーデン語で「ミルク(牛乳)」という意味の店名は、お客たちの間でも話題なうえに北欧デザインに対する彼らの愛の証でもある。


(Juli)
店名を考えていたときに私たちが考えたことは、すぐに北欧を想起させてくれるものがいいということ。


そして Juli は続けてこうも説明する。

(Juli)
Arla(北欧の最大手乳製品メーカー)のパッケージには感動しました。
その素晴らしいデザイン性や、ミルクがいかに民主的で純粋なものであるか
ということが反映されていたのです。
ミルクを表すのに使うこれらの言葉は、北欧のデザインを表す言葉にも使えると思いました。
みんなが読みやすい店名を選ぶという基本的なルールは破りましたが、
(もちろん、それで北米人たちは読むのに苦労しています)
いい会話のきっかけですし、ただただ素敵な笑いをもたらしてくれる「何か」になってくれるんですよ。

お店の他にも、Juli と John は「Mjölk Book」という本を4冊出版している。

これは、彼女たちの日本や北欧旅行について書かれたもので、John の書いたインタビューやエッセイと Juli の撮った写真を通して綴られている。

夫婦がとても大切な宝物たちを見つけたのは、そんな旅の道中だ。
それらは今では、家中に点在するヴィネットに飾られており、アンティークの食器やハンドメイドの花瓶、趣あるアイテムたちに溶け込んでいる。

(Juli)
私たちは長い目で見て欲しいと思うようなアイテムに、愛着を持つようになりました。
ホワイトオークやナチュラルレザーといった自然素材でつくられた名品や、
年月とともに味わいが生まれ、私たち家族のストーリーを物語ってくれるものなどですね。テキスタイルを使えば、色彩や手触りを空間に加えることはいつでも簡単に出来るので、アイテムはニュートラルなものにしました。

Juli にお気に入りのアイテムを尋ねると、彼女はある美しいベンチを指差す。それは夫婦がアーティストの工房を訪れた際に注文した、Mira Nakashima の「Conoid Bench」である。


このベンチには家族の素敵な思い出があるのだ。
Juli が思い出すのは、当時生後4ヶ月の長女を連れた長距離ドライブのこと。Juli の家にある多くのもの同様に、このベンチは機能的で美しいだけではない。


この物語は、何よりも家族の住まいという、生活が息づく空間に力を与えているのだ。

いかがでしたでしょうか?


今、世界的にブームのJapandi (ジャパンディ)スタイル。
スカンディナビア×日本のハイブリッドに着目したお店(兼ギャラリー)が
まさか、トロントにあるなんて!!
なんだかちょっと、誇らしい気持ちになります。

彼女の住まいに宿る「落ち着いていて、澄んだ空気感」は、写真を通しても感じ取ることができるほど。寒々しく殺風景はわけではないのに、そう心地よく感じるのは、そこに住む人たちから滲み出ている「何か」なのかもしれません。

私にはその「何か」が、「モノが覚えていてくれる家族との思い出」のように感じられました。


それでは、次回もお楽しみに!


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