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あっという間に時は過ぎゆく

「あー、あと半月でお正月なんだねぇ。」
「さっき、ラジオで初日の出の話をしていたよ。」
「ついこの前、お正月だったのになぁ。」
「お雑煮、美味しいなぁって、はふはふ言って食べたの、昨日のことのように覚えているよ。」
皆、うんうん頷きます。

今日はいい天気で、青空が広がっています。
こざるカフェは昼下がり、今日も のんびり営業しています。

「ただいまー。」
「お帰りー。」

電車に乗って、数駅先まで行った こざる二人組が戻ってきました。
以前、こざるカフェによく来てくれた常連のご夫婦のところに行ってきたのです。

「二人とも元気だったよ。」
「元気といっても高齢だから 年相応だけれど、でもニコニコしていて穏やかだったよ。」

高齢になって、二人で 老人ホームに引っ越したのです。
自宅を引き払って入ると決めるまでは、そう簡単にはいかず、
ずっとずっと悩んでいました。

「悩んでいたのを知っているから、あの笑顔で変わらずにいてくれて、
本当によかったよー。」
「うん、ほっとしたよね。」

時はあっという間に過ぎていきます。
誰もが年をとっていきます。

「晩年を穏やかに過ごすことができたら、一番幸せなのかもしれないね。」
「うん、体もあちこち不具合が出てくるだろうし、こうしたいって思っても なかなか思い通りにはいかないだろうし」
「だからといって 高齢になった時に備えるために、若い時に やりたいことを我慢しすぎるのも 納得がいかないよ。」
「若い時にしかできないことってあるからね。」

老若男女問わず、誰もが穏やかに、ものすごくお金持ちでなくても、
働き過ぎることなく、日々の暮らしを過ごせる世の中であってほしいと思います。

「日本は豊かな国だと思うんだけどなぁ。」
「たまに 豊かって どういうことかな?って考えるよね。」

ラジオから明るくリズムを刻んで元気な歌が聴こえてきます。

「真冬のサーファは まるでカラスの群れのようさ
灰色の風しょって 空へ漕いでゆく
いちばんへたなだれかさん 私は願をかける
悩んでるこのごろ ぬけ出す気持ちで」

松任谷由実の『真冬のサーファー』です。

「そろそろ おやつの時間だね。」
「りこちゃんに言ってくるよー。」

こざるちゃんがリズムに乗って歌いながら、サーファー気分で りこちゃんの部屋へ向かいます。

「次のいい波は まっ先につかまえてよ
フラレたことも 見えない明日も 笑い話さ そのうちに」

「りこちゃーん、そろそろ おやつ食べようよ! 今日は いちご大福だよ!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は雨の一日のようですね。
よい毎日でありますように (^_^)

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