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声の記憶

今日も朝からいい天気、よく晴れていて、
春の青空が広がっています。

りこちゃんと こざる達は いつものように皆で一緒にわいわい楽しく朝ごはんを食べ、
食後のお茶を飲んでいます。
いつもと同じ朝、いつもの月曜日の朝です。

「やっぱり いつもと違うね。」
皆、うんうん頷きます。

「いつもの月曜日の朝とは違うよ。」
皆、黙っています。

「おはようございます。ごきげんよう。」
こざるちゃんが言います。

「いつもの月曜日なら、タツオさんの声が聴こえてくるんだ。」

「おはようございます。アンカーの藤井彩子です。」
こざるちゃんが言います。

8年間続いたNHKの朝のラジオ番組『すっぴん!』が、先週の金曜日で終了しました。

「だから、今朝は もういつもとは違う月曜日なんだ。」

けれども、ずーっと聴いていたので、
こういう口調で、こういう声のトーンでと、しっかりはっきりと記憶していて、
脳内ラジオが再生します。
声の力、ラジオの力、聴覚とはすごいものなのです。

「顔が変わっても、声は変わらないからね。」
「声を聴けば、すぐに誰だかわかるよ!」
「だから、ラジオは 距離が近い感じがするんだね。」
皆、うんうん頷きます。

ラジオでなくても、声はしっかりと記憶されるのだと思います。
赤ちゃんが お母さんの声を聴いて泣き止んだり、
どんなに賑やかな場所でも、好きな人の声はちゃんと聴こえたりします。

「番組は終了したけれど、僕たち、ずっと脳内ラジオで いつでも再生できるよ。」
「リスナーさん達も、あの時に、こう言ったとか、ああだったとか、楽しい話をよく覚えているもんね。」
「耳から聴いたものって、記憶に残りやすいのかもしれないね。」
皆、うんうん頷きます。

「コーヒーのお代わり、淹れてくるよ。」
こざるちゃんが立ち上がります。

「アーモンドチョコがあるから、皆でちょっと食べようか?」
「うん!」

こざるちゃんが台所へ行ってラジオをつけると、
大好きな歌が流れてきます。

「僕らはきっと待ってる 君とまた会える日々を
さくら並木の道の上で 手を振り叫ぶよ
どんなに苦しい時も 君は笑っているから
挫けそうになりかけても 頑張れる気がしたよ」

森山直太朗の『さくら』です。

こざるちゃんは コーヒーを淹れながら一緒に歌います。

「霞みゆく景色の中に あの日の唄が聴こえる
さくら さくら 今、咲き誇る
刹那に散りゆく運命と知って
さらば友よ 旅立ちの刻 変わらないその想いを 今」

アーモンドチョコの入った缶を お盆にのせます。

「今なら言えるだろうか 偽りのない言葉
輝ける君の未来を願う 本当の言葉
移りゆく街はまるで 僕らを急かすように
さくら さくら ただ舞い落ちる
いつか生まれ変わる瞬間を信じ
泣くな友よ 今惜別の時 飾らないあの笑顔で さあ」

かりんとうの入った缶も お盆にのせます。

「さくら さくら いざ舞い上がれ
永遠にさんざめく光を浴びて
さらば友よ またこの場所で会おう
さくら舞い散る道の上」


こざるカフェは、今日も ゆっくり始まって
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
また新しい番組が始まります。わくわくします。
よい毎日でありますように (^_^)

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