見出し画像

時間は たっぷり、急がず ゆっくりで

春爛漫の日曜日の夜です。
本来なら、夜桜見物で、まだ多くの人が出かけていても 不思議ではないことでしょう。

「外は、とっても静かだね。」
窓の外を眺めながら、こざるちゃんが言います。

満開の桜を お月さまが優しく照らしています。

今日も りこちゃんとこざる達は いつものように
皆で一緒に 楽しくお喋りしながら 夕飯を食べました。
そして のんびりと 食後のお茶を飲んでいます。

「今夜は、昨夜 放送した 京都の桜の特集番組を 皆で一緒に観ながら、夕飯食べたんだ。」
「京都の醍醐寺から生中継で、境内には たくさんの枝垂れ桜が満開で、本当に綺麗なんだよ。」

番組には、桜守の佐野藤右衛門さん、写真家の水野克比古さんも登場しました。

「僕たち、昔、りこちゃんに二人のことを教えてもらったね。」
皆、うんうん頷きます。

京都が大好き、桜も神社仏閣も大好きな りこちゃん、
これこれこういう桜を育てて守る人がいると、佐野さんの話をしてくれて、
また水野さんの京都の写真集を見せてくれました。

「りこちゃんは、少し前から、うとうとしているんだよ。」

こざるちゃんが、そっとスローケットをかけてあげました。

京都の美しい桜をたくさん観て、いい話をたくさん聴いて、番組は終わりました。

「醍醐寺の桜、もうずっと前から京都を見守っているんだよね。」
「太閤しだれ桜は、樹齢180年以上だよ。」
「今のこの大変な時は、ゆっくりゆっくり、焦らずにって言ってくれているみたいだね。」
皆、うんうん頷きます。

長い歴史の間に、戦、疫病、大火、様々なことがありました。
それでも、毎年、必ず四季があって、必ず春が巡ってきて、そして桜が咲きました。
高層ビルなどない、京都の夜空。
お月さまと、たくさんの枝垂れ桜、
時間は たっぷりあるから、ゆっくりゆっくり、急がずに、
そんな風に語りかけているように見えました。

「りこちゃん、よく寝ているから、起こさないように 静かに 片付けようね。」
「そうだね。静かにね。」
「でも、ちょっと音楽、聴きたいな。」
「音、小さくしてね。」

こざるちゃんが、りこちゃんの古いレコードをかけます。
フォスターの『夢見る人』が流れてきます。

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
今年の桜は、また特別 美しいように思います。
よい毎日でありますように (^_^)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?