見出し画像

ちょっと嫌なこと

「知らない人だったよ。」
「うん、初めて来たと思う、今まで見たことない人だよ。」

今しがた、宅急便の配達があって、こざる達は二人で出て荷物を受けとったのでした。

「今日は ちょっと嫌なことがあったんだ。」
「ぼく達、荷物を待っていて、14時から16時で時間指定だったんだけど…」
「いつもなら、15時前くらいに うちの方に回ってきてくれるんだけど、来なくて….」
「でも16時までだからって、ずっと待っていたんだけど…」
「そしたら、15時半を過ぎて、あれ? 何だかメールが来ているよって気がついて…」

それは不在通知のメールでした。

「メールには"14時半に届けにきたけれど、不在だったので 再配達依頼をするように。"って、あって、え? 、ぼく達、気がつかなかったの?って驚いちゃって…」
「それでインターホンを見たけど、鳴った形跡はなくて…」
「壊れちゃったのかな?って、ぼく達、ちゃんと鳴らしてみたら、ちゃんとピンポーン♪って鳴って…」
「おかしいなぁって、それでコールセンターに電話したんだ。」

こざる達は、荷物が来るのを ちゃんと準備して待っていました。
皆さん、そうだと思いますが、ちゃんと受けとる為に、用事をやりくりして受けとれるようにして待っていました。

「それでコールセンターの係のお姉さんに、事情を話したんだ。」
「インターホンが鳴った記録もなくて、それで不在通知が来ていることに気がついて...」

ここで、係のお姉さんが「eメールですか?」と、一所懸命、電話で説明するこざる達に聞きました。
このお姉さんの言葉で、鈍感で呑気なこざる達は、初めて気がつきました。

「もちろん お姉さんは 慣れているし、とても丁寧で きちんとした口調だったんだけど、そしてもちろん そんなことは言わなかったけれど、
つまり 実際に来ていないのに、届けにきたようにして 不在通知のメールを送ってきたんだよ。」

お姉さんの言い方が、ほんの少し、「あ、またか..」という感じがしました。
気のせいかもしれませんが、そう感じました。

「そうなんだよ、紙の不在通知なら、ちゃんと来て置いていかないとならないけれど、メールなら来なくても出来るんだよ。」
「話には聞くけれど、まさか ぼく達が そんな目に遭うとは思わなかったよ。」

係のお姉さんは、とても慣れていて、時間指定で待っていたのに申し訳ないと謝って、
こざる達も、お姉さんにブーブー文句言って、すみませんと言いました。
そして、再配達の手配をしてくれました。

「それで、今、荷物が届いたんだけど、見たことがない配達の人だったんだ。」
「いつも配達に来てくれる人たちは、絶対にそんなことやらないよ。」
皆、うんうん頷きます。

「とりあえず荷物を受けとれて良かったけれど、でも やっぱり 嫌な気持ちが残るな。」
「ぼく達は、いつものように、普通に宅急便が来るのを待っていただけなんだけどね。」
「いつもは 普通に届くんだけどね。」
「ちょっとしたことなのかもしれないけれど、でも、もしあの配達の人が、ちょっとだけと思っていたら大間違いだよ。」
「社会は性善説で成り立っているからね。」

一応、皆がちゃんと正しく、悪いことをしないという前提の元に成り立っています。

「今回のマスクやトイレットペーパーなどの買い占め、デマも、ちょっとだけと思って 多くの人がやったから、こんな状態になったんだろうし。」
「りこちゃんが聞いたら、すごい勢いで怒ると思うよ。」
皆、うんうん頷きます。

江戸っ子りこちゃんは、今は 穏やかな おばあさんです。

「りこちゃんに、そろそろ夕飯にしようって言って来るー」
こざるちゃんが鼻歌を歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、そろそろ夕飯だよ! 今夜はロールキャベツだよ! 野菜たっぷりのポタージュスープもあるよ。一緒に食べよう!」


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
トイレットペーパーやマスクが、早く普通に買えるようになりますように。
よい毎日でありますように (^_^)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?