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デジカメの「先モリ・後カケ」問題を考える。

これは政治の話では無い。写真のエフェクトを何時おこなうのかという問題である。

この問題は、デジタルになってから生まれたものではなく、昔から撮影時の設定と現像/プリント時の設定(条件)によって写真は作られており、作画の比重に後先両方あるものだった。

ところがなぜか、後掛けするのは「邪道」であるという空気が長く存在していた。

たぶんこれは、「シャッターを切った瞬間に全ては完結している」というようなスナップ絶対主義みたいなことへの憧れと表裏一体なものではないかと思う。(個人の感想ですw)

では本題。そもそもエフェクトって必要なの?という問題から


エフェクトは写真を”自分の一部”にする

エフェクトなんて考えたこともやったこともないよ、という人も多いと思う。
その人にとって写真は、何かを記録するものであり「わー美味しそうな料理」とか「この子かわいい」のような感想が中心となる。

一方で「この写真カッコいいね」と言われたい人は、写真は単なるモノを見せる窓ではなく、写真そのものを”モノ”として意識している

そういう人にとって、エフェクトを掛けることは、写真に自分自身がより参加することであり、写真の自己帰属感(まるで自分の一部のように感じる)を高める手段となる。

エフェクトが上手くいけば、より多くの「カッコいい」をもらうことができて一石二鳥という訳である。


エフェクトは手間が掛かる

いいことずくめのエフェクトですが、実際に撮影現場でやろうとしても、十分い試行錯誤できなかったり、大胆なエフェクトが掛けられなかったりで、経験と余裕が無いと、焦ってしまったりして使いこなすのは難しいと感じることが多い。
(その分、いろいろな発見があり楽しいとも言えます)

そもそも人間はそんなに短時間に色々なことを考えて行動できない。
事前にしっかりとイメージを作って、それを現場で作り上げる場合には十分可能だし、何度もチャンスがあるのであれば失敗を繰り返しながら少しずつ自分の好みの設定を見つけていくこともできる。


それに対して、撮影した画像に後から時間の余裕のあるときにエフェクトを掛け方法は、納得するまで試行錯誤できるので初心者にはお勧めである。

Instagramが人気のサービスになったのも、この点が大きいのではないだろうか。

もちろん、撮影時にエフェクトを掛ければ、後で手間がかからないのと、フレーミングやタイミングなど他のパラメータとのバランスをコントロールできるので、エフェクトを極めたい人は、ファインダー内でエフェクトの状態が分かるミラーレス機を買って撮影してみることをお勧めする

結局、先モリ・後カケの問題は、どちらも楽しいということで両方やってみたら良いのではないかと思う。

デジタル技術によって、現実レイヤーと仮想レイヤーの違いが少なくなり、同じように扱うことができるようになった。
仮想レイヤーでは時空間のスケールを自在にコントロールし人が楽に作業でき、後掛けはその応用とみることもできる。

より感じるために必要なUI

最近のデジカメは何もエフェクトを掛けなくても綺麗に撮れるので、そこから大きくエフェクトを掛ける必要が無い場合も多い。

それでも少しエフェクトを掛けることで、より魅力的になったりするものである。

このようにエフェクトの量が少ない場合には、それだけ見ても自分が手を加えたことが分かりにくい。
そこで自分が手を加えた価値を「設定前/設定後」で視覚的に見えるようにすると満足感をより上げることができる

カメラの標準設定から、どれくらい自分の設定で「良くなったか」を確認できる機能(ボタン)はこれからより重要になってくると思う。


後掛けはエフェクトだけではない

デジタルによって写真を大量に撮影できるようになり、撮影という行為が時空間と光の情報から「切り出す」ということであれば、撮影後の写真選択やRAW現像は「第二の撮影(疑似撮影)」であり写真の楽しみの一つになってきている。 

連写などで大量に撮影した画像の中から、最高の瞬間を探し出す作業は日常的におこなわれており、
4K動画からの静止画切り出しは、カメラのクラスを問わず、流行の機能になっている。

最近では、RAW現像でより写真の奥深さを理解しようという記事を目にするようになり、
カメラ内RAW現像のようにカメラのUIを使った第二の撮影や、PCの外部GPUとしてカメラの画像エンジンを活用するなど、広がりがでてきている。

これもInstagramなどのお気軽エフェクトの影響で、RAW現像もその延長として考える人が増えてきたからかもしれない。

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