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2021年はデザインマネジメントとデザインシステム

2021年はどんな年にしていくかプランを考えています。ここ10年は自分ができることを増やしたり大きなビジョンを描くことが多かったのですが、2020年に社会の変化が一気に起こり変化の兆しが現れたことで雰囲気が変わりました。まだ未来のカタチは見えてきていませんがこれから20年の土台を再構築するためにの重要な年になるはずです。ピンチをチャンスに変えるために今年やるべきことを考えてみま。

私の立場は、超情報化<連携社会>という社会の変化が訪れたときにそれに対応する製品を開発できるようにメーカーの設計プロセスを変革することにあります。今はデザイナーというポジションから多くのプロジェクトに参加しておりそこから起こす変革宣言です。


フィジカルからサイバーへオフィスが変わった

2020年に大きく変わったのが在宅勤務を実現するためオフィスがサイバー空間へと移行したことです。これまでフィジカルなオフィスで特定の人だけでおこなわれていた業務がデジタル化され多くのメンバーが連携していくことがやりやすくなりました。会議室に集まるという条件を無くすだけで多拠点の関係者が日常的に会話するようになりました。

フィジカルなオフィスでは日常的に関われる範囲は限られており、自席が決まっている場合にはなおさらです。それに対してサイバーオフィスでは業務の関連性によって自在に情報とコミュケーションのネットワークを作ることができます。

この自由な繋がりができるサイバーオフィスの特性を最大限に活かしていくためには、繋がるべきメンバーを定義する「情報連携モデル」が必要になります。これまでの企画・開発・デザイン・工場・営業といった部門ごとのウォーターフォールの繋がりや、タスキリレーのような進め方では無く、もっと有機的に繋がり全体最適化を同時に全体で作り上げていくような体制に変わっていく必要があります。


デザインマネジメントによる情報の民主化

ISO9001(品質マネジメント)の中核となるのが、企画開発製造プロセスそのものを管理し偶然による失敗や成功を無くし、結果的に成功確率や製品品質を上げるという考え方です。

しかしこれまでのデザインマネジメントは、バラバラの書類、一部の人だけが知っているフォルダ、参加する会議によって、実際の作業をする多くのメンバーは細かく分解された作業を業務目標としてこなしているというのがこれまでの実情でした。

デザインマネジメントの本来の目標は現場とマネジメントがしっかりと情報を共有し連携していくものです。ウォーターフォール型で既存製品の改良をおこなっているときにはこのような管理も機能していましたが、AIやロボティクスさらにSDGsへの取り組みなどによって土台となる社会が急速に変化している中ではそれに対応したイノベーションが不可欠です。

サイバーオフィスが古い組織形態に縛られずに機能するようになれば、全体と個々の全ての情報を全員が共有しアイデアや実行に対する貢献を引き出すことができます。2021年はTeamsやSlack、Zoomといったコミュニケーションプラットフォームに、さまざまなデザインツールが組み合わされ皆がデザインに参加できる環境を整えていく年になるのではないでしょうか。


「デザイン」を会社全体のものにする

これは会社によって異なりますが、「デザイン」という言葉をデザイン部門のデザイナーがおこなうものと定義している会社と、もっと広い意味で企画行為、設計行為を指す会社があります。

人間中心設計やデザイン思考は、デザイナーの業務内容よりも広い範囲のプロセスを規定していましたので、それらを実現していく過程で狭義のデザイン活動をデザイナー以外の人もおこなうようになり、結果的に広義のデザインの中にデザインプロセスが浸透してきています。(言い方が分かりずらいですが、要はデザインが全体の活動になったと言うことです)

ビジネスやエンジニアの人たちがデザインスキルを身に着け新しい提案を次々とおこなっています。デザイン部門の人だけがデザインをおこなうイメージを捨て会社全体でデザインする体制をサイバーを中心にしたオフィスで実現した企業がこれからの20年をリードしていくことができると考えています。

サイバーオフィスという形態の変化が、品質管理用語であったデザインマネジメントに狭義のデザイン活動を融合させる大きな質的変化になったときにメーカーは大きく変わるのではないでしょうか。

では、どこから始めていくのか戦術を考えてみます。


デザインシステムの構築と部門連携

コロナの影響でサイバーオフィスでのコミュニケーション手段は整いつつありますが、それだけでは情報の民主化には不十分です。個別の人脈をベースにメールやチャット、ビデオ会議が中心だからです。

プロセスとスケジュールがタスク管理としてプロジェクトの中心に置かれ、モデルベースによって情報の関連性が明確になって自動的に共有されるようになり全社的なデザインシステムが構築されていく必要があります。

その上で、アイデアをディスカッションするデジタルホワイトボードや、ハードとソフトの両方に対応できるプロトタイピングツールが統合されることでクリエイティブなオフィスにバージョンアップしていきます。

デザインシステムはアイコンやコンポーネントだけではくカラーやフォントなど製品開発だけでなく様々な企業活動に共通の要素を扱います。さらに利用部門だけでなくそれらの背景情報を持つ部門まで含めると、デザインシステムは企業活動そのものです。


部門の壁を超える

デザインシステムをデザインマネジメントの中心に置くことで、複数部門で情報を共有する連携を作り出す最初の一歩にできるのではないでしょうか。

初夢としてデザインマネジメントやデザインシステムのことを考えることは簡単ですが、実際に実行するためには部門の壁を超えるような活動が必要です。

一度複数部門で利用するものができれば、部門にクローズされることなくオープンな運用が始まります。アイコン/シンボルのデータベース辺りから始めてみるのはいかがでしょうか。

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以上、今年最初に考えた「初夢」でした! 今年もよろしくお願いします。


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