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カメラのビジネスモデルが変わる時 ~レンズからアカウントへ~

モノの高級感や品質、機能や性能に注目してカメラを選ぶ時代から、
そのカメラブランドを選ぶことで、どんな「体験」ができ、どんな「コミュニティに参加」できるのかを重視する時代へ大きく変わろうとしています。

現在のカメラは、コンデジがスマホの普及で売れなくなり、システムカメラが中心になっています。
システムカメラのビジネスは、ユーザーにレンズを長期間保有してもらい、ボディーを定期的に買い替えてもらうことで回っています。
このビジネスモデルの歴史は古く、ニコンやキヤノンが高いシェアを長期間維持している理由のひとつとなっています。

ところが「レンズが資産」というビジネスは下記の2つの理由から不安定なものになってます。


レンズの味よりもボディの画像処理やエフェクトの方が影響が大きい

フィルムを同じならレンズの違いが影響することや、設計・製造技術が未熟だったことで当たりレンズに特別な価値がありましたが、今はそれなりのお金を出せば十分なレンズが手に入るようになっていますし、微細な違いはボディ側で補正できてしまいます。

システム丸ごと下取りに出す

カメラの中古流通はインフラとして成熟しており、ユーザーも遊び終わったゲームを売っていた世代が大半になり、丸ごと売ってまた一からシステムを揃えていく楽しみを味わうことが普通になってきています。

ライフステージによる変化が大きい

一つのブランドやシステムを一生使うという感覚は、選択肢が多く、体験の方向も大きく違うものが手に入る時代には、青春期、結婚子育て期、リタイヤ趣味期でそれぞれ違うブランドを選ぶ方が自然な場合が多い。

レンズに代わるユーザーエンゲージメント

ではレンズビジネスの代わりは何になるのでしょうか? その方向性を考えてみましょう。

私は「フォトライフのアカウント」だと思っています。

それは、カメラと連動し、撮る・見る・シェアすることを、楽しむ共同体で、一人で楽しむよりもずっと刺激を与え合い、知識を共有するものです。

アカウントはそれに参加するための権利で、その世界の中で、SNS、スマホアプリ、カメラが連携して動作します。

一時期は携帯番号やメアドはキャリアに紐づいており、キャリアを変わらない大きな理由になっていましたが、いまはFacebookやLINEのアカウントが継続できればキャリアなんて何でもよくなっています。

写真というライフログコンテンツは、非常に強力ですが、単にアーカイブしたり、一時的なシェアだけであれば、すぐにより良い条件のサービスに乗り換えられてしまいます。

より強固なアカウントにするために、コミュニティとコンテキストの価値を絡めていくことが重要です。

撮影は個人的な作業ですが、撮影動機や撮影知識をコミュニティから得ることができます。
撮影後も写真と体験、ノウハウをコミュニティに共有することで貢献することになります。

コンテキストは昔の和歌のように、コミュニティの中にある共有背景と直前のコンテンツに対する派生として写真を撮っていくイメージになります。

上手にコミュニティを運用する

写真やライフログはパーソナルなものでもあり、プライバシーを守るだけでなく、SNS疲れが起きないように、設計・運用が必要です。

現在のSNSは固定アカウントを利用しているものが多いですが、フォトライフでは、コミュニティ部分では固定しない方法を検討しなければなりません。

またアカウントを固定しない方法は、ライフステージの変化や、複数の趣味趣向を持つ場合にも、有利な方法だと言えます。

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