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AdobeXDでシステムをデザインする。おもちゃから社会まで。

システムとは情報・運動伝達によって連動動作を作り出す「関連性を持った複数の要素の集合体」です。

今回は、おもちゃのロボットを使って簡単な連動動作をするシステムを作ってみます。

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システムは目的を達成するために意図的に設計するものですので、まずはユーザーの体験を中心としたシステムとして体験設計から始めていきます。

AdobeXDによる体験設計と動作プロトタイプ

AdobeXDは主にアプリやWebサイトをデザインするためのプロトタイピングツールですが、巨大な作業空間、アニメーション機能、軽快な動作から他の分野にも使い易い体験設計ツールです。特にシステムの変化や関係を理解するためにプロトタイピング機能が効果的に利用できるのが気に入っています。

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今回は、PLEN:bit(ロボット君)とジェットモグラ号(乗り物)を通信機能で連動させ、ロボット君が受け取る距離センサと音センサによって乗り物の動きを変えるシステムを作ってみたいと思います。

最初にやることはシステムの構成要素をアートボードの上に並べていきます。予定されている動作、操作方法や動作、操作や周りの環境など「関係しそうさものは全て」出しておくことが重要です。(設計をしていて不足があれば後から足すこともあります)

今回は、ロボット(動き)、音センサ、距離センサ、乗り物(動き)、拍手(音)、さえぎる手をシステムの構成要素としました。

要素が揃ったら、次はそれらの関係をアニメーションにしていきます。基本的な動きを整理するために作るものですので、30分くらいで作ってしまいます。

実際のロボットでないのでAdobeXDのプロトタイピングはつまらない作業に思えますが、実際には子供たちも夢中になるScratchで猫を動かすのと同じくらいインタラクションのあるプロトタイプ作りは楽しい作業になります。

こんなラフなものでも、体験設計の構想を整理することに役立ちますし、この後の製品設計(プログラミング)フェーズでの無駄な試行錯誤を無くすことができます。

電子工作ではその無駄も楽しさの一つですが、大きな企業のプロジェクトではこういったシステムの整理が大きな違いとなってくることがあるので馬鹿に出来ません。

プログラミングと実装

体験設計によってシステムの目標ができたら、次は実際のロボットの動きに置き換えていく作業になります。

今回のロボット君も乗り物もmicro:bitという簡単なマイコンボードで動作しており、通信機能を含めて非常に簡単にプログラムを組むことができます。

ただ最初に製品設計の目標として体験設計全体をプロトタイピングしましたが、それを一度にプログラムする訳ではありません。プログラムの作法として部分に切り分けて作っていくことになりますが全体の目標が明確になっているので、作っている部分の役割や構造を理解した状態で混乱なく進めていくことができます。

今回は、まず障害物回避の動きを作ってみました。手をかざすと進行方向を変えるという動作です。

<ロボット君の動作を作る>
ロボット君の役割は、センサで情報(拍手とさえぎり)を受け取り、そこから乗り物に動作指示(今回は回避のみ)を送ります。また自分自身も回避の前に腕を動かして合図のポーズをとります。

最初に無線の設定をして、後は距離センサの値によって無線で通信する文字列を設定しました。

<乗り物の動作を作る>
乗り物の役割は、ロボット君から送られた指示によって動作(曲がる)をおこなうシンプルなものになります。

ロボット君の同じ番号で通信設定をして、無線で送られてくる文字に応じてドリルの回転のパターン(進行方向)を切り替える構成になっています。

もっと動作を盛り込む

じっさいにシステムを動かすと不満点がでてきます。今回は当初の動作の中に矛盾などはありませんでしたが、動作がシンプル過ぎてつまらない印象です。

初めて動かしてみたときの動画

ここから最初の想定を目指して、プログラム内の処理を増やしていくと同時に、AdobeXDでの体験設計では入れていなかった細かい動作を追加していくことで完成度(魅力、面白さ)をあげていくことで、製品設計フェーズのプロトタイピングによって体験設計の実現具合を評価しながら不足している体験を作り込んでいく作業になります。

まとめ

いかがだったしょうか。体験設計は要素の「抽出と統合」、製品設計は「分解と実現」ということを感じてもらえたら嬉しいです。

今回は本当にクイック&ダーティーにおこなった作業をそのまま記事にしてみましたが、ここで伝えたいシステムのための体験設計手法は企業の業務の中でも十分に活用できるものだと考えています。

一方で子供たちへの教育としても、IoTなどのシステムを理解する丁度良い教材です。複数のアイテムが環境の中で連動することの理解につながれば良いなと思います。

今回登場したロボット君と乗り物はコチラから購入できます。

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