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【無料】アルゼンチン映画『エル・ジョッキー』が公開、主役馬なんと日本産!?

 2024年9月26日、アルゼンチンで興味深い映画が公開された。

 スペイン語の題名は『エル・ジョッキー(El Jockey)』。エル(El)はスペイン語の定冠詞であり、直訳すれば『騎手』『ザ・ジョッキー』となる。英語での題名は『キル・ザ・ジョッキー(Kill The Jockey)』である。

 文字どおり、騎手をテーマにした映画である。ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門でも上映された。

 監督はルイス・オルテガ。スペインのサン・セバスティアン国際映画祭で受賞歴があり、『永遠に僕のもの(El Ángel)』で第91回アカデミー賞外国語映画賞に出品した44歳のアルゼンチン人映画監督である。

 主演はナウエル・ペレス・ビスカヤルト。ヒロインはウルスラ・コルベローである。騎手の映画ということで馬に騎乗するシーンが出てくるが、実際にアルゼンチンで騎手をしており、GⅠを勝ったこともある名手アニバル・カブレーラ騎手とアンドレアス・マリーニャス騎手(女性騎手)が、ボディダブルとしてレースシーンの代役を担った。

 犯罪組織と競馬。これがストーリーの大枠である。

 ナウエル・ペレス・ビスカヤルト演じる伝説の騎手レモ・マンフレディーニが、アルコールや麻薬などの自己破壊的行為によって、自らの人生と恋人で妊娠中の女性騎手アブリルとの関係を危険に晒していく。

 2人は、シレーナという犯罪組織のボスが所有する馬に騎乗するようになる。シレーナは日本から「ミシマ(Mishima)」という名前の競走馬を購入したばかりであり、レモにこの馬に乗ってGⅠを勝つことを要求した。しかし、ミシマはレース中に……。

 驚くべきことは、主役となる競走馬の設定が日本馬ということである。アメリカの馬でもイギリスの馬でもなく、日本の馬である。言い換えれば、アルゼンチンで日本の馬が強いという認識が広まっている証拠かもしれない。

 なぜ「ミシマ」という馬名なのかについては言及されていない。しかし、ミシマは後にレースで大事故を起こすことから、割腹自殺をした三島由紀夫の三島に由来しているのではないかという考察がある。

 『エル・ジョッキー(El Jockey)』はアルゼンチンだけでなく、メキシコ、スペイン、アメリカ、デンマークでも公開される。また、アルゼンチン映画代表としてアカデミー賞やゴヤ賞(スペインの映画賞)に出品される予定である。

 今のところ日本での公開情報はない。しかし、もし映画が大きな賞を取れば、日本でも上演されるかもしれない。



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