ナンバーガールの記憶を書く
ナンバーガールといえば「とりあえずビール」みたいな感覚で『透明少女』がよく挙げられる。たしかに代表曲ではあるけれど、よく巷で見るのは同曲か頑張って『OMOIDE IN MY HEAD』ぐらいで、他の曲が挙げられることは少ない。特にアルバム『殺風景』からは挙げる人は聴いたことがない。とはいえ『YARUSE NAKIOのBEAT』を挙げる人がいたら遠巻きに見てしまうかもしれないけど。
僕のナンバーガール曲といえば間違いなく『SPACE GIRL ~加速装置~』だ。福岡の大学に通っていた兄の友人にアヒトイナザワに近しい人(その人もまたドラマーであった)がおり、彼が福岡のバンドを集めたコンピCD"YOUNG PERSON'S GUIDE TO THE 3-D TOURS"をダビングしてくれたテープに同曲が入っていたのだ。これがまさにナンバーガールとの出会いだった。古参気取りでも何でもなく、僕は幸運だったという他ない。
ゴリゴリのインディ感…というかむしろアマチュア感あるサウンドが好きな僕は、一緒に収録されていた二日市ウルフの『just like seventeen』という曲と一緒に聴き狂った。両曲ともMTRで録っているのに丁寧に整っている音…みたいなのが最高だった。
この『SPACE GIRL ~加速装置~』、なにが良いかと云うと、よく言われるキラキラだとか青春だとかの初期ナンバーガール感はメインではない。向井秀徳が中尾憲太郎を「Velvet Crushみたいなバンドやらん?」とバンドに誘ったらしいが、そのVelvet Crushの影響が垣間見え、この音がやりたいんだ!というのが耳にガッツンガッツン来るのが良いのだ(54-71と"ZAZEN BOYS"を組んでやったhalの『6階の少女』あたりも同じ感覚)。
そしてラスサビ手前で中尾憲太郎がベースを間違えているが、そのままゴリ押ししているのもいい。これだ!これがインディだ!ボロボロのウォークマンでテープで聴きたい曲だし、ライブのセットリストからは絶対漏れるであろう曲。でもこの曲が僕にとってのアンセムなのだ。
当時は兄を頼って福岡のライブハウスにたまに〜遊びに行っており、あるライブに行ったついでに寄ったタワーレコードで買ったのが『透明少女』のシングルだった。
偶然にも発売日に近く、レコ発のインストアライブの整理券も貰ったのだけど寝坊してスルーしてしまった。これは人生でも最大のやらかしの一つに数えていい(もう一つはノベルティの『透明少女』シングルジャケットのポスターを引っ越しの際に紛失してしまったこと)。
結局、とあるフェスにZAZEN BOYSがアクトとして来るまで向井秀徳をこの目で見る機会は得られなかった。
なんでもナンバーガールが再結成後、ツアーライブをするんだそうだ。当時のやらかしを精算する良い機会だけど、チケット応募した端から落ちていくのは目に見えて明らかなので、精算にはもうしばらく掛かると考えている。
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