見出し画像

映画鑑賞の記録 『EO』

ロバのEO(イーオー)はサーカス団でカサンドラのかけがえのないパートナーとして、一緒に過ごしていましたが、動物愛護団体の声の高まりを受け、サーカス団は動物を使ったパフォーマンスができないことになり、カサンドラとEOは、はなればなれになってしまいます。

トラックで連れていかれるEOの孤独な旅が始まります。長い旅路がEOの視点で描写されるんですが、EOはロバですから、もちろん喋るわけではありません。なのにEOの感情が見えてくるようで、すごく面白い映像体験でした。

EOはカサンドラとずっと一緒にいたかったんかな。動物愛護団体が動物愛を謳いながら結果、動物を苦しめてしまってる。

ポーランドのサッカーチームの試合では、EOの鳴き声が試合結果を左右してしまい、両チームの紛争の種になってしまいますし、あらゆるストーリーがEOにとって思いもよらない方へと動いていく。人間の都合に振り回されまくって、時に人間の暴力の犠牲になったりもして、それでもEOは運命の歯車に翻弄されているということもよくわからずに旅を続ける。

人間ってアホやな〜っていう感想ももちろんありますが、実際のところ、EOに限らず、我々人間だって人間の都合に翻弄されながら、そのことに自覚のないままに生きているんじゃないのかな〜なんてことも考えてしまいました。人一人、ロバ一匹の微々たる力では抜き差しならない運命が、実はちょっと力のある人間の指一本、鶴の一声で捻じ曲がったり折れ曲がったりしているんでしょうね。そして、その力のある人間は蟻を踏み潰して笑う無邪気な子供の如く、その自らの力の強さを理解していなかったりする。

EOがなんとも哀れでならない私は、あの愁いを帯びた瞳に、自らを重ねてしまったのかもしれません。ポーランド語、イタリア語、英語、フランス語の響きの違いも楽しいし、映像表現の多様さにも驚きました。面白いです!

#映画鑑賞 #映画 #映画鑑賞の記録
#映画感想文 #ミニシアター #京都シネマ
#EO

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?