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1人目の客になれた話番外編 京都府知事選挙

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。趣味が高じてという言い方が正しいかわかりませんが、最近は選挙で1人目に投票することも趣味になりました。投票箱の中に何も入っていないことを確認し、当該投票所において不正が為されていないことを確かめる大役を担うのは、なかなかスリリングなことです。

 中京区第二十二投票区投票所は近所の中学校にあります。中庭のようにして在る運動場の東南角に桜の木が2本植わってあり、その桜の隣の建物が投票所、普段は体育館として使用されているはずです。既に葉桜となり、緑色と茶色の混じった桜はそれはそれで美しく、何故それが美しく見えるのかといえば、あの盛りの頃を知っているからなのでしょう。間もなく散り、来年の春にまた眠眠打破だったか休眠打破だったかをして生まれ変わる。桜の生涯を眺めていると私はいつも、人の生涯も私たちが花見をするように俯瞰している存在があり、それが宇宙なのではないかと考えるのですが、いっぽうで父が亡くなったとき、死んだ父の隣で一夜明かした私は死んだら人は置き物のようになることを知っていて、魂が生まれ変わるということを信じられなくはなっています。

 これを私はもちろん、投票所の入口で1人目の投票者として待機している間、暇を持て余しながら書いております。午前6時に書き始めた頃は投票所内に男女1人ずつの2人しかいなかったスタッフの方(なんと呼べばいいのか・・)は、私がこれを書いているうち、次から次へと入っていき、午前6時22分現在は10人を越え、円になり投票に関する確認事項をみんなで確認しています。確かコロナ前は投票がはじまる午前7時まで入口の扉は閉ざされていたと思うのですが、換気のために扉を開いているのでしょう。

 実はここまで書かずにおいた実に嬉しい出来事が午前6時5分頃に起きていました。最初から館内におられたスタッフの2人のうちの男性の方が、1人目の投票者として入口前に待機した私のもとへやってきて「おはようございます」の挨拶のあと、「私はわかっていますよ」という微笑みを浮かべながら「今日も1人目ですか」と話しかけてこられました。前回の衆議院議員選挙で1人目の投票者になったときと同じスタッフの方だったのです。趣味というものは1人でも理解者があるのとないのとでは心持ちが全く異なります。前回までは「こんなに早く投票所に来たこのおっさんは不審者ではないのか」という冷たい視線を我慢しなければなりませんでしたが、今回は彼のおかげで申し訳なさも後ろめたさもなく待機することができるのです!

 心地よい日差し。私はカーディガンのボタンを留めて隠していた1人目の客Tシャツを顕にしました。1人理解者がいるだけでこんなに大胆になれるのです。令和4年4月10日、京都府知事選の中京区第二十二投票区投票所の1人目の投票者は私です。

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