見出し画像

1人目の客になれた話 堀川新文化ビルヂング編

涌井慎です。
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。基本、出不精の私が何かと外出できるのも思えばこの趣味のおかげだと思います。

堀川中立売から徒歩1分ほどのところに新しく文化施設がオープンすると知り、何時オープンか調べてみたら施設自体は10時オープンらしいのですが、カフェだけ8時30分に開店するらしい。なにせ行きにくい場所なので、20分前に着いておけば1人目になれるだろうと思っていたのですが、施設のレセプションに参加したという方が外観をSNSにアップされており、なかなか洗練された建物なものですから、これはひょっとすると界隈のアンテナ研ぎ澄ませた有識者の皆さんが押し寄せるのではないか?と思い、30分前には到着できるよう、四条烏丸を出発しました。

堀川商店街を北上すると開店を祝う花輪の前に人だかりができているのが見え、「しまった!やはりか!」と思ったのですが、近づいていくと関係者の皆さんばかりでした。それは施設自体の入口であり、カフェは少し南側の別の入口がありました。これが、まぁ、私のような者を客として想定していなさそうなオシャレなカフェであり、このカフェを形容する語彙を私は持ち合わせていません。レセプションの案内なんかでは、カタカナを多用して説明される感じのお店であり、結局、うまく説明できないからカタカナに逃げてるのかしらね?っていう感想を抱きがちです。なんしかオシャレやわ!!テラス席で通りのほうを向きながら村上春樹を読みたくなります。

さて、私の予感は当たりまして、開店20分前にはお子様連れのお父さんが来られました。それまでの私は、あまりにも私にそぐわないオシャレさに物怖じし、開店を待っているわけではないんですよ〜という風を装いながら店の前に居たわけですが、こんなことをしていたら、このお父さんに抜かされてしまうと危機感を抱き、体全体で「私、ここの客です」というアピールをしました。

まだオープン20分前なのでいったん帰るつもりか、店を離れていくお父さんが歩きながら電話しており「1人並んでるわ。2人めや」と誰かに話しているのが聞こえたとき、私は無意識に口角を上げていたと思う。

15分前になるとスタッフの方が快活に「あと15分でオープンです!」とおっしゃるので、これなら気持ちよく待てるな、と思っていたらオープンまでにおそらく近所の人たちと見られる人たちが次々と私の後ろに並び出し、お店が開いた時にはそれなりの行列になっていました。

入口で消毒し、レジへ向かい、スタッフにアイスコーヒーを注文します。「あれだけ長いこと待ってたくせにモーニングセットとかじゃなくてアイスコーヒーかい!」と内心思われていたかもしれません。アイスコーヒーは400円なので500円玉を渡すと、そのレジのお姉さんは緊張の面持ちで私から500円玉を譲り受け、パソコンでいうエンターキーっぽいところを押して精算を完了させようとしたのですが、うまくレジが機能せず、あたふたされ、先輩らしき人の指示を仰ぐ、その様が愛おしく、「その失敗を今のうちに経験しといてよかったね。これから頑張ろう!」とエールを送りました。無論心の中での話です。

カバンの中に村上春樹があればオシャレに決められたんですが。

11月20日(土)午前10時にグランドオープンする堀川新文化ビルヂング内に一足早く、8時30分にオープンしたカフェ&バー「Slow Page」の1人目の客は私です。

#1人目の客
#令和3年11月20日 #コラム #日記 #エッセイ
#note日記 #毎日更新 #毎日note
#ジャミロワクイ #ジャミロ涌井
#堀川新文化ビルヂング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?