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わかったような口きくおっさん

ある女性アーティストと一緒に仕事をしていまして、その女性は私より年齢が一回りほど下なんですが、収録していても結構ええこと言うから密かに心を抉られたり、明日を生きる力をもらったりしているんですが、女性アーティストは大変だなこれはと思うのが、このお仕事をご一緒している方に限らず、「わかったような口をきくおっさん」の存在なんですよね。

マンスプレイニングという言葉を最近はよく耳にします。マンスプと略されることもありますが、これは女性や子供を見下して、男性が自信過剰に批評したりコメントしたりすることなんてことをわざわざ書く必要もないくらい、近頃浸透している言葉です。いやはや、浸透して欲しくない言葉ほど浸透しますね。

私なんかも職場では、年配の男性の自信過剰な発言に辟易とすることがありますから、対象は女性や子供に限らないかもしれませんが、構図として多いのはやはり、年齢あるいは立場が上である男性が、女性より自分が上であるかのように発言することでしょう。

アーティストの場合、年配の男性客が、聞いてもいないことをしたり顔で語ってくるということが多いらしく、この社会は同じ男性である私からは見えにくいところで、実に女性が生きにくく設定されているらしい。以前私は、ある女性アーティスト(仮にAさんとしておく)のファンである男性が、「Aさんの作品には最近、毒が無くなりました。毒の無い作品なんてなんの面白みもありません」と書いたメッセージを読んだことがあります。※Aさんの担当番組に届いたメッセージです。Aさん個人に届いたメッセージを勝手に読んだのではないので念のため

こういうメッセージは、やはり、そのAさんのことを見下している、もしくは自分のことをかなり上に置いている、あるいはその両方でないと送れないのではないかと思います。

こういうことを書くと、私も経験あるのですが、おじさんたちの言い分としては「自分の意にそぐわない意見だからといってスルーしているようでは人間として成長できませんよ」などという反論があったりするんですが、いやいや、ちょっと待ってください。どうしてあなたはあなたの意見が私を人間的に成長させられると思い上がっておられるのですか?という話でして。

自分は感性が独特で他にはない鋭さがあると思っておられるなら、それはそれで構わないですし、どうぞどうぞご自由になんですが、結局それを立場が下の人間にひけらかすことでしか、自身追認できないようならば、相手にとって迷惑甚だしい。一方的な批評に耳を傾けるくらいならば、その時間を次の創作活動に使うほうが遥かに建設的であり、人間的な成長が見込めるではありませんか。

それでも恐ろしいのは、10年後20年後に私のほうが、そのような軽蔑すべきおっさんになってしまうことだって十分あり得るということ。謙虚であることを忘れずに年を重ねたい。

#令和3年12月19日  #コラム #エッセイ #日記
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