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読書の記録 『ここはどこ時に空飛ぶ三人組』

 岸田今日子さん、吉行和子さん、冨士眞奈美さんの三人が一緒に旅した台湾、ハワイ、オーストラリアで交互に綴った日記のほか、三人それぞれの旅のおもしろエピソードを交えた旅行記。

 三人とも、人柄の滲み出たとてもいい文章を書くんです。昔はいまより、「文章を書く」ということがまともな大人としての嗜みだったのかもしれない。いまは昔に比べると文章が書ける人は著しく減ったと思う。

 三人の何が素敵かといえば、全員、余裕があるんですよね。エレガントっていうんでしょうか。かっこつけてないし、欲張ってないし、素が上品ですわ。ああ、この人たちには何もかもが敵わないなと思います。憧れの大人って感じ。

 三人で行った台湾旅行で、よその宅にお招ばれしてるのに冨士眞奈美さんが「白い御飯ありませんか」とか言っちゃうのを冨士さんは「あれは本能だ」と開き直り、岸田今日子さんの友達が「さすがにあれは失礼だ」と言っていたと聞くと、それに対して富士さんが「そんな友だちとよくつきあうわね」とピシャリ。岸田さんが言うには、そのお友だちは若い子で、きちんと教育されてて、あれは失礼だって言うもんだから、「でも御飯をリクエストされて台湾のおばさんは喜んだんだよ」って言っておいたと。
そうしたら吉行和子さんが「あれが親愛の表れ、っていうことが若いお嬢さんには理解できないんじゃない?」と言い、岸田さんが「ここは甘えていいのかどうかの見極めが大事」と返し、結論、冨士眞奈美は見極めが上手いという。

 こんなイヤミのない、すがすがしい関係。仲間同士の会話がうらやましくてなりません。
 性質なんてものは、なかなか変えられるものではないんだろうけど、将来やっぱり、こういう大人になりたいよなって思わせてくれる三人なのです。まあ、わし、もう十分大人なんやけど涙。

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