エッセイ『耳から想像力』
乙訓と「お得に」みたいに全く意味が変わるやつを見つけたときにちょっとテンションが上がります。これぞ耳の文化。読むメディアでは、こういう不思議な場所には辿り着けません。もちろん「この秋はお得に乙訓へ!」というような言葉遊びはできますが、その言葉遊びには耳で聞いて勘違いしていた時のようなナチュラルな驚きはありません。
前に面白かったのは「この秋はスイーツで子作り体験を楽しみましょう🎵」というようなCM。どういうことやねんと驚いたんですが、「スイーツデコ」を作る体験イベントでした。これなんかは雑誌に「スイーツデコ作り体験」と書いてあっても、なかなか「スイーツで子作り体験」を連想しないのではないか。
最近あったのは、東本願寺の北隣にある「ホテルカンラ京都」の宿泊部屋を取材させてもらったときのこと。お部屋には干菓子が置いてあるわけなんですが、「部屋にお干菓子が置いてあるって、なんかいいですね」というようなことをおっしゃった方がいまして、ちょうど東本願寺というのは「おひがしさん」という通称があるので、「おひがしさんでおひがし」やん!と思った次第でございます。だから何と言われればなんでもないんですが、聴力で研ぎ澄まされる想像力ってなかなかのものだと思いませんかね、っていう話。
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