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若者との対話に必要なこととは

 2月2日の日経新聞夕刊「あすへの話題」、文化人類学者の上田紀行さんのコラムが今週も面白かった。

 東京工業大学に勤める上田さんいわく、最近はゼミ生が「ジェンダー関係」を学びのテーマにすることが増えているらしい。そこで上田さんが発表にあたり「LGBTQとかSOGIについて基礎からまず説明するね」と言ったところ、ゼミ生たちから「もう知ってるから、そこは省略していいよ」と答えが返ってきて驚いたといいます。

 ●LGBTQ・・性的少数者
 ●SOGI・・どんな性に恋愛感情を抱くか、すなわち性的指向

 また、自分をどの性別と認識するかの「性自認」などの話は、皆常識として身につけているんだそうです。

 そうなると私のようなおっさんが見る世界とは同じ世界でも見え方は全く違うんでしょうね。若い子たちみんながみんなそうなのではなく、ジェンダーを研究テーマにしようとする若者ですから余計にその程度のことは知ってる知ってるって感じなんだとは思うのですが、このような若者たちが年齢の違いだけで妙なマウントをとってくるおっさんどもの言葉を「学び」として受け入れてくれるわけがないですね。若者とのコミュニケーションの在り方をいよいよちゃんと考えなければ実に危ない。

 実際、ゼミ生たちの悩みはといえば、そのジェンダーに関するエトセトラを知識もセンスもない「凡庸な」父親にいつどのように知らせるかということらしい。ゼミ生の皆さんのお父さんが何歳くらいかわかりませんが、おそらく若くて私と同い年(42歳)くらいで、だいたい50歳前後ではなかろうか。LGBTQや SOGIという言葉を頭ではわかっていても体で理解できるに到底至っていないのではないかということが容易に想像できます。わかった風になり、若者たちに寄り添う感じが鬱陶しい。

 英語にしても、文法を勉強して海外経験も豊富だとしても英語で育った人々のようには英語を操れないものです。いったん頭で日本語に置き換えて理解する、というところが、相当な上級者でなければ有ると思うんですが、それと同じで若者たちの感性を私たちが「肌で感じる」ためには相当な修練が必要なのだと思います。「わかった風」のおじさんと若者の意思疎通がオンラインミーティングのように微妙にズレてしまうのはきっとそのあたりに理由があるのだと思います。

 頭で理解しているうちは「わかった」ことにはなりません。心で理解する、というとなんか違う気がします。やっぱり「肌で感じる」ということでしょうかね。そこに辿り着くために必要な「謙虚さ」というものが40歳を越えたあたりで著しく欠落する、という自覚があるだけでも私はマシなんじゃないかと思っていますがどうなんでしょうか。

 若者とおっさんでは見える世界も「当たり前」も異なることをよ〜く理解し、間違ってもこちらが上であるなどと思わないことです。

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