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優秀作品賞はジャミロワクイさん

令和3年5月27日の日記
小説家の湊かなえさんがFM大阪で「湊かなえのことば結び」というラジオ番組をされていて、この番組では、リスナーからお題に沿った短編の書き物(小説でもエッセイでもなんでもオッケー)を募集していて、去年から始まった番組なんですが、私、番組開始の頃から割と頻繁に応募をしておるわけでして。

湊かなえさんといえば、去年、読売新聞に出てた「好きな小説家ランキング」のアンケートで東野圭吾、池井戸潤に次ぐ3位でしたからね。まぁ、そんなランキング抜きにしてもすごい作家なわけですけども。その湊かなえさんが、応募をすれば必ず百発百中、その作品を読んでくれて、割と高い確率で番組内で感想を述べてくれるという、ものすごくありがたい番組なのです。実際のところはわかりませんが、番組を聴いてる感じですと、たぶん、例え番組内で感想を言ってくれていなくても、応募作品は全部ちゃんと読んでくれてると思うんですよね。(アシスタントの塩田えみさんもおそらく応募作品全部を読んでる)

日本を代表する作家さんに自分の書いた作品を読んでもらえる機会なんて、本来、滅多にないものやのに、応募したら読んでもらえるんですから、そりゃあ毎回、送りますよね!!昨年度に1度だけ、「群青色」をテーマに400字の作品を書くというお題で優秀作品賞をいただいたのですが、今週の放送で今年度初めて優秀作品賞をいただきました。

今回は原稿用紙3枚程度のボリュームでお題は「占い」。朝にラッキーアイテムを発表されても急に用意できません、っていう話を原稿用紙3枚×400字ジャスト1200字でまとめたところ、ありがたいことに湊かなえさんからも、アシスタントの塩田えみさんからも「そうそう!わかるわかる!」と共感の声を頂戴いたしました。優秀作品賞に選ばれた作品は角川春樹事務所のPR誌『ランティエ』にも掲載されるらしいので、これが私の文芸誌デビューです。(PR誌なのでこの言い方は大袈裟がすぎるというものですが、しかし、私はポジティブにいきたい。レッツポジティブ!)自分が書いたもんなんだから、別にここにそのまま書いても問題ないんだとは思いますが、こういうのって、なまじっか優秀作品賞を受賞してしまったもんですから(しつこい。だって嬉しいんだもの!)取り扱いには気をつけねばならないと思い、ここに書くのはやめますが、FM大阪「湊かなえのことば結び」の番組ブログにも公開されていますので(だって優秀作品賞だから!)ご興味ある方は是非読んでみてください。

そして、優秀作品賞は(何回書くねん!)毎回、アシスタントの塩田えみさんが番組内でその作品を朗読してくれるんですが、この朗読が実によかった!リズミカルで勢いがあって、そうそう!その勢いをイメージして書きました!っていうのがちゃんと伝わっていて、それを見事に朗読で実現してくださったことも嬉しくて嬉しくてたまりません。1週間以内ならradikoのタイムフリー機能を使って聴けますので是非聴いてほしいです。と、言いつつ。何度でも何度でも何度でも何度でも吉田美和も辟易とするくらい何度でもタイムフリーで聴いてやろうと思っていたのですが、あれは1週間経たなくても、聴きまくると、聴けなくなるシステムらしく、残念ながら昨日聴きまくったおかげで、私、もう聴けなくなっておりました。。。

こんなことなら昨日にあの素晴らしい朗読を録音でもしておくのだった。こうしてどっぷりリスナーになってみて思うけど、改めて、やっぱりラジオは面白いですね。

そういえば、湊かなえさんの番組の募集作品のお題、先月は「時計」立ったのですが、そのとき、私はラジオのことを書いた作品を送っていました。これは優秀作品賞には選ばれなかった作品ですが、番組の中で湊かなえさんも塩田えみさんも、ちょっと褒めてくれていましたよ。あの優しい一言が、これまた次の作品を書くためのモチベーションになるわけです。こっちの作品なら、別にここにアップしても問題ないでしょう。というわけで、優秀作品賞は取れなかったけど、それなりき面白いと評価してもらえた先月の「時計」をテーマにした作品をご興味ある方は是非、読んでください!

↓こちらです。

ラジオのパーソナリティが「時刻は午後8時を回りました」と言うのを聞き、いつも「回る」って何だろうと考えている。時刻は回るのか。ぐるぐる回るのか。陸上競技場のトラックみたいに一周すれば、元の場所に戻るのが「回る」ということだ。確かに古い時計では、時針分針短針が延々と競争しているけど、うちの時計はそんな旧式のものじゃなくて、デジタルだから回らない。大きくもないし、背が高いわけでもないが、これでもおじいさんの時計だ。百年は大袈裟かもしれないが、うん十年休まず動き続けている。同じところに戻ってくることはない。前に進むことしかできない。過去を振り返らない。そういえば、過去のことをあれこれと思い返すことを「回顧」という。回っている。過去を「振り返る」んだから首を回さなければならない。後ろを向くと過去なんだが、私たちは過去のことを「前」という。前のことは忘れました。それだのに、「前」のことなのに振り返ったりする。あれ、待てよ。先に私はデジタルは「前に進むことしかできない」と書いたが、「前」は「過去」のことなのではないか。「前」って何だろう。いや、「未来」のことも「前」という。そういえば、歌人の俵万智さんだったと思うが、息子さんが学校で「今日先生に、ちゃんと前を見なさい!って怒られたんだけど、僕にとっては見てるほうが前なんだよね」というようなことを説明して、俵さんを感心させたと書いていた。そうなんだ。私たちがどっちを見ているかによって、過去も未来も前になるんだ。デジタルの時計が進む「前」には未来しかない。私たちの人生だって未来に向いてしか進まないんだから、それは間違いではない。しかし、いっぽうでトラックを何周も回り続けるようにして、繰り返し繰り返し、同じ道を通るのもまた人生なのではないかとも思う。ああ、この道を通ったときに会社を馘になったんだけど、結果としてはよかったなーと解雇のことを回顧する。いまとなってはいい思い出だ。懐かしいね、懐古懐古。時に過去を教訓とし、再び未来を見据えていく、ということを私たちは誰に教わることなくやれている。私たちは、未来に進むことしかできないけれど、だからといってデジタルの時計みたいに未来しか見えない設定なのではなく、来た道を振り返ることもできるし、俯瞰することもできるし、歴史に学ぶこともでき、そうすることによって、どの未来に進むべきか計画を立てることができる。こういうことが成り立つのは、時が回っているからであり、旧式のカチカチうるさいアナログ時計は実に上手くできているのであり、ラジオのパーソナリティが「時刻は午後8時を回りました」と聞くたびに、ああ、そうだな、回るのだな、と思いながらも「回る」って何か、考えているのだ。そんなことを考えていると、パーソナリティが次に流れる曲の紹介をした。「それではお聴きください。中島みゆきで『時代』」。


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