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脳科学の観点から認知症を理解するオンラインセミナーに出てみた

脳科学の観点から認知症を理解するという、とても面白いセミナーだったので、雑ながらこちらにメモ書きを残しておく。ほぼ自分用なので読みにくいかもしれないけど悪しからず。


認知症になると神経症的傾向が高まる。不安になりやすくなる。そうして人格が変わるというのが定説だが、本当に「その人らしさ」はなくなってしまうのだろうか?
→有名な定説だが、感情面に対する言及はほとんど成されていない。


海馬が衰えても感情は残る。
感情は扁桃体という部分が担当しているから

イライラしていてもなんでイライラしているのかの説明はできない。→しかし傷付いたという感情はのこっている。 

また、感覚で覚えたこと(手続き記憶)は大脳基底核と小脳で記憶するから手で覚えたこともできる。
→体で覚えれば新しい事も覚えられる(本人にとっては「初めて」という事になる)。

※脳科学事典補足
「意識にはのぼらないが、反復により次第に習熟するような技能」
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E8%A8%98%E6%86%B6


扁桃体、大脳基底核、小脳

重度の認知症で、海馬が傷ついて20年経ってもピアノは弾ける。音符も読める。そして世界でただ一人、奥さんだけはわかる。しかし新しい出来事は覚えられないという症例

認知症でも新しい施設や環境に毎日過ごすうちに慣れるのはこのため。


目(視覚は後頭葉で感知)と耳(聴覚は側頭葉の聴覚野で感知)から別々に情報が入ってきて、それぞれ脳の別の所で感知して、それをアウトプットするために最後にまとめ上げてる出す(前頭葉で思考し、言語表出)のが言葉。それを話すというのは認知症の方には難しい。でも記憶には残らなくても体には残っている。
言葉をで言えることだけで見ることは本質を見逃すこと。経験をギュッと一言にまとめるのは認知症の方は難しいから本人の言葉から出るのは「言ってない、やってない」。だけど脳のあちこちにしっかり残っている。

「お名前を教えてください」には答えられないが、「〇〇さん」と呼ばれるとスッと立つ→記憶が残っている。ヒントがあれば掴み取れる。
言葉を理解していても、「ピンとくる」働きが落ちる。
ピンときたときにはスッと行動にうつせるんだけど、うまくピンとこないと行動できない。理解は本当はしている場合もある。

音楽療法というものがあるが、音楽の記憶はアルツハイマーが進んでも影響のない部分。だから認知症になっても歌のレパートリーは減らない。
音楽は気持ちを乗せられる。言葉だけではないコミュニケーション。

不安が強いからこそ何度も同じ事を繰り返す。
繰り返す、その後ろにある気持ちを察するようにする。

お味噌汁を作ろうとして大根を切り始めたけど、なんのために大根を切ってるのかわからない(実行機能障害)。作業を完了できない。

色んな活動から遠ざかる→色んな工程ができるか不安になるため。

しかし、包丁の技術はおちない。海馬の領域とは違うから。だから誰かがついていればまたお料理はできる。

失敗するという不安があると、人間は新しいことをしようとは思わない。色んなことに興味があった人が閉じこもってしまう。

自信がなくなると不安になったり妄想的になったりする。

今まで認知症は「できなくなる」ことに注目が集まっていたが、「その人らしさ」はどこに残っているのか。それは感情だと思う。

海馬をとっても人の役に立ちたいという気持ちや自尊心、気遣う気持ちは残っている。

人を思いやる気持ちは認知症になっても消えない。愛情というのは喜怒哀楽とはまた別のもの。認知症になってもその人らしさは残っている。


Q 認知症の方の怒りのスイッチがわかりません。食事介助の時エプロンを直したら怒る、食事は手づかみで食べだす。職員をつねったりして困る。

A 怒る人はその後ろに不安がある。未来の予測が立たないと不安。エプロンを直すと怒るというのは予測がつかなかったから。なにをするんだと。

手づかみでものを食べるのは、触ってその概念を確かめる行為。にぎって確かめる。そうすることで世界を把握しようとしている。

暴力は、予測してない時にそれが起こるとびっくりして手がでやすい。

【Q&A】

Q 何度も揚げ物を揚げて真っ黒にする父にどう対処したらよいか

A 家族はある程度怒っても仕方ない。それまでのその人を知ってるので、そういうミスが起きると傷つく。ずっと誰かがついててくれればできるかもしれないが、どこまでリソースをさけるかですね。それを基準にライン引きをする。


Q おじいちゃんの世話をしなければいけない。だから帰るという施設利用者にどうするか。正直にその人は死んでると伝えればいいのか

A 不安になった時に、自分に安心を与えてくれる存在を求める。なので大昔の記憶から安心できる人の存在をもってきて探す。

つまり、「この人は不安なんだな」と理解をする。それから、「おじいちゃんの世話は昔からずっとされてきたことなんだな。この人の役目なんだな」と理解すること。ならばおじいちゃんの世話っぽいことはできないかなと探す。

別段亡くなってるかを判明させなくてもいい。問題は生きてるか死んでるかじゃない。

Q 泣き出してしまう人にどう対応すれば

A 触ってあげること。人間は好意を持っていないと触らない。不安を少しでも取り除く。触ってあげることで伝わることもある。

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