薔薇と彼と私
私は花が好き。それも花言葉が好き。
友達と遊ぶより、好きなテレビを観るより、ゲームをするよりも好き。
でも、それと同じくらい好きな人がいる。私が花言葉を好きになったのは少なからず「その人」が影響している。
彼との初めてのデートは郊外のバラ園だった。それもすっごく大きなバラ園だった。入り口を通ると辺り一面に真っ赤なバラが咲いている。バラ園といってもバラだけじゃない。パンジーとかシクラメンとか、小さい花もたっくさん咲いていた。
私はそこで彼が花言葉に詳しいことを知った。花の前に立つたびにその花の花言葉を話すもんだからまいったものだ。
「このお花綺麗だね〜」と私が言う。
「これはかすみ草だね。かすみ草の花言葉は永遠の愛なんだよ」と彼が言う。
この繰り返しだ。何回このやりとりをしただろうか。まったく、なんて女心が分からない男なのだろう。
女を口説くには、男子は聞くに徹し、女に話させると言うのが鉄則ではないのか。この男は、そんなことも知らずに今まで生きてきたのか。いや、まさか私が舐められているのか。どちらにしても、彼の花言葉の話はつまらないものではなかった。
あれからもう1年は経つ。今でも彼と行ったバラ園は私の大切な場所だ。あの日から、バラは思い入れがある花になった。私の香りのワードロープにも、グタールのソンジュとゲランのローズバルバルの二種類が仲間入りした。どちらもバラの香りがする上品な香りだと思っている。
今日は彼と久しぶりにランチを食べにいく。香水はもちろんバラの香水。お昼だし軽めの香りのローズポンポンにしようかな。