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【短編小説】雪に振られて思うこと

雪が降っている。

朝起きて、隣の畑を見たら、すでに真っ白だった。畑だけでなく、家の屋根も庭も。

綺麗だなと思った。

これから仕事でなかったら、暖かい家の中で、この雪を、雪景色を眺めて過ごせるのに、この雪の中を歩いていかなくてはならない。少なくとも、最寄り駅までは。

とりあえず、替えの靴下を持ち、少し靴底の厚いスニーカーを履いた。会社に着いたら、仕事用の靴に履き替えるので、通勤時の靴の種類は特に指定されていない。外回りや来客が予定されていれば考えるが、今日は終日社内で、デスクワークだった。

傘を差して歩くと、そう立たない内に、傘の表面に雪が積もり、白くなる。軽く傘を振って雪を振り払いながら、滑らないように歩幅を縮めて歩いた。

辺りは雪にどんどん覆われていく。とても綺麗だ。
自分の心のどす黒い嫌な部分も、このように雪に覆われて、綺麗になればいいのに。それが一時的なものだと分かっていても、表面上なものだと知っていても。

人を好きになることは、自分に意欲をくれる。
それと同時に、執着心とか、嫉妬心とか、嫌なことも与えられる。
失恋する度に、もう人を好きにならないと決心するのに、結局、また誰かに惹かれてしまう。同じ事を繰り返して、そこから何も学べない。
それは好きになる相手が違うから。その性格も、その環境も、自分が相手に思うことも。

いつか自分の思いが相手に通じて、ずっと一緒にいたいと、お互いに思える日が来るのだろうか?それすらも分からない。自分にできることは、この恋が終わりを迎えない限り、相手を思い続けることだけ。

自分は、雪降る灰色の空を眺めて、ほうっと白い息を吐く。

雪のせいで、普段より仕事が早く上がれることになった。
帰りには、雪はみぞれ交じりの雨になった。歩道にはシャーベット状の雪が積もり、そこに雨が降って、ドロドロの水たまり混じりの道になっていた。

時間帯が早いせいか、それとも皆タクシーを拾ったり、車で帰るのか、歩道を歩いている人はほぼいない。みぞれ交じりの雨が、傘をたたく音は大きく、それ以外の音が聞こえなくなるほど。

まだ辺りは雪に覆われているのだろうけど、日は落ちてしまって、夜の中、それを綺麗と思うことはない。スニーカーには雨がしみこみ、靴を履いているというよりも、水たまりに足を突っ込んでいるような気分だ。

このドロドロの道こそ、自分の心のようだ。
全然、綺麗じゃない。


一見、随筆っぽく書いてますが、私は恋をしていないので、フィクションです。金曜日は通勤大変でした。早く仕事を切り上げた関係で、月曜日は普段よりも仕事量が多くなるのが容易に想像できます。今から怖いですが、目を背けましょう。

皆様は雪大丈夫だったでしょうか?普段から雪降ってるから、これぐらい大したことないよ。という声も聞こえてきそうです。これこそ、noteクリエイターの方は全国に広がっている(日本内だけでもない)からこその声かと。個人的には雪は好きです。雪で遊ぶことは、とんとなくなりましたが、雪景色は綺麗だと思うし、雪の結晶は好きです。

人を好きになるのも、嫌なことも多々あるけど、した方がいいと私は思います。それによって、新たな発見も多いと思うから。自分を豊かにする経験となるでしょう。そう思うから、私は恋愛小説を書いているのかもしれません。

では、また次の作品でお会いしましょう。

説那せつな

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