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【小説】目が覚めたら夢の中 第50話 衝動1

衝動1

いつもの魔王のたわむれが行われる部屋に呼び出された。
扉の近くにはアメリアの姿が見える。
ということは、今日飲まされるものは媚薬か。
今日、私の醜態しゅうたいを見るのは、アメリアかテラスティーネか。

テラスティーネは私を追って、アメリアとしてここに来た。瞳と髪の色を偽装ぎそうし、アメリアの意識を連れている。普段、ここを歩き回る時や魔王に接する時は、アメリアが身体を操り、私と対峙たいじする時には、テラスティーネが身体を操っている。

テラスティーネが来てからは、数日に一度魔力を与えてくれるので、それに伴い精神的な攻撃への耐性たいせいが付き、回復が早くなった。たぶん、彼女が私の側にいることも影響していると思われる。

アメリアは時々この媚薬を呑んだ時の行為に立ちあわされている。
私の抵抗が強くなると、魔王の快楽が強くなるらしい。
自分の醜態しゅうたいを人に見られるのは、羞恥心しゅうちしん以外何も生まない。魔王が特殊なのだ。

アメリアは時々この行為の最中に、テラスティーネと入れ替わっているようだ。
意識がテラスティーネに変わると、顔を赤くさせ、これ以上見ていられないというように目をそらす。

アメリアはこちらの味方とはいえ、魔王に造られた自動人形。その意識は魔王エンダーンに近く、この様子を楽しんでいるように見える。きっとアメリアがテラスティーネをいいように言い含めているのだろう。
今、アメリアの様子を見る限り、まだアメリアが意識をもっているようだ。
私の方を向いてあでやかに笑う。

その時、魔王エンダーンが部屋の中に入ってきた。手には媚薬の入った試験管を持っている。
部屋にある寝台を指し、そこに私が座るよう指示を出した。ここで抵抗してもエンダーンを喜ばせるだけだと分かっているので、寝台に腰を下ろした。

エンダーンは次に媚薬の入った試験管を手渡し、私に飲むよう指示する。
試験管の3分の2くらいが赤い液体で満たされている。

試験管になみなみと入って渡された時は、全て飲んだ後、記憶が飛んでしまい、気づいたら自室の寝台に寝かされていた。その時は全く抵抗がなく従順だったそうで、魔王は面白くなかったと言っていた。まだアメリアを呼ぶようになる前のことで、何をして、何をされたのかはまったくもってわからない。

私は普段よりは多めと思われる赤い液体を一気にあおった。身体が熱く急激に火照ほてってくる。瞳が熱でにじみ、喉がカラカラに乾くのを感じた。
エンダーンはそんな私の様子を、目を細めて見ている。
今日は何をさせられるのだろうか。

エンダーンの次の指示を待っていると、彼は扉の方に顔を向け、アメリアを呼んだ。
アメリアがいぶかしげな顔でこちらに近づいてくる。その懸念けねんは理解できる。今までこの行為の最中にアメリアが近くに呼ばれることはなかったからだ。

「エンダーン様。いかがされましたか?」
エンダーンはアメリアの問いかけには答えず、私の方を向いて告げた。
「カミュスヤーナ。本日はアメリアと寝るのだ。好きにしてよい。私はその様子を見物させてもらう。」

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