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【小説】目が覚めたら夢の中 第23話:告白2

告白2

ぴくっとテラスティーネの身体が跳ねる。その様子をカミュスヤーナはじっと見つめている。
「婚約ですか?」
「そなたの両親も私の養父母も亡くなってしまったので、現在は私がそなたの保護者代わりだ。そなたの優秀さと魔力量の豊富さから婚約の申し出が相次いでいる。実際の婚姻はそなたが16になってからだが、早めに婚約を結んでしまった方が、そなたにとっても良いであろうと判断した。」
カミュスヤーナの言葉にテラスティーネは浮かない顔をする。

「はぁ。。」
「気が進まないか?」
「できれば、私他領に出たくはないのです。」
「なぜ?」
「カミュスを含め、領主様ご夫妻にはよくしていただきました。私はエステンダッシュ領のために力を使いたいのです。」
「・・領主一族の人数も少ないので、そなたを他領に嫁入りさせるつもりはない。」
カミュスヤーナは大きく息をついた。

「アルスカインと婚約するのはどうだ?」
テラスティーネは身体をこわばらせ、涙で潤んだ瞳でカミュスヤーナを見る。カミュスヤーナはぎょっとしたように顔をこわばらせ慌てだした。
「どうした。泣くほど嫌だったのか。」
「いいえ、そうではなくて。カミュス。あなたの口から聞きたくなかったのです。」
「テラ。」
「私は幼いころの約束が叶うのをずっと待っていたのです。カミュス。あなたはお忘れになったのですか。」

カミュスヤーナは椅子から立ち上がり、テラスティーネの元に歩み寄り、その前に片膝をつく。
「しかし、あの時は私が置かれた状況もわかっていなかった。私は養子だし、今領主でいるのも仮でしかない。アルスカインと一緒になる方がそなたにとって幸せだと思う。」
「私が幸せかどうかは、私が決めるのです。」
「テラ。どうか泣かないでくれないか。」

カミュスヤーナは困ったようにテラスティーネの頭に手を当てて、髪に沿って撫でた。
テラスティーネは涙をこらえるように口元を引き結びながら、カミュスヤーナの顔を見つめ、その目元に手を当てた。
「テラ?」
カミュスヤーナはテラスティーネの手を外から押さえて呼びかけた。

「・・養父母様を失われた後に、まさか色を奪われるなんて、なぜ世界はカミュスに理不尽なことを押し付けるのでしょう。」
テラスティーネはカミュスヤーナの首に手をまわし、自分の胸に彼の頭を引き寄せた。

カミュスヤーナの身体が固まる。
カミュスヤーナの首筋に温かい雫が流れ、頬には水色の髪が触れる。
「カミュスばかりつらい思いをしなくていいのです。私がお助けいたします。私がお慕いしているのはあなたです。カミュスヤーナ。」

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