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雑談量を低下させるフィルターバブル

探しに行くのではなく引き寄せる

今日は情報の取得方法について書いてみた。情報取得行動は、かつては「ググる」という言葉が流行ったように、インターネット上に自ら情報を探しにいっていた。

だが、インターネット上の情報量が爆発的に増えた今は、初動で自ら検索しに行くことは少なく、SNSなどのタイムラインに流れてきた情報の内、気になったものだけを検索エンジンで探したりしているのではないだろうか。

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では、タイムラインに流れてくる情報はどう選ばれ表示されているのか?偶然の出会いなのか?

確かに、タイムラインを目にするタイミングもあるかもしれないが、これは“アルゴリズム”によって選定されているのだ。

SNSや検索エンジンで、自分がいいねボタンを押していたり、検索したり、視聴したりしているキーワードやユーザー、コンテンツのデータが蓄積され、そのデータを基にコンピューターが、使用者が好きそうな情報を判定、選別し上位に表示するようになっているのだ。

つまり、知らぬ間に自分の行動データによって自らの触れる情報を選定されているのであり、肌感覚としても自分の興味・関心のある情報を自らのデバイス上に集まるようにしているのである。

こうした新たな情報取得行動を、(株)博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所および株式会社博報堂の買い物研究所、D.A.コンソーシアムホールディングス(株)の広告技術研究所が共同で行った「スマートフォンユーザー情報行動調査 2018」では “情報引き寄せ”と呼んでいる。

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実は多様化していない情報!?

この“情報引き寄せ行動”が普通になっていくとどうなるか。それは、自分の好む情報しか自らのデバイス上では目にしなくなり、それ以外の情報は目にすらしなくなるのだ。

ダイバーシティや多様化の必要性が叫ばれ久しいが、こうした行動が増えるとそうした人材が生まれにくくなるのではないだろうか。これを「フィルターバブル現象」と呼ばれている。

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ちなみに、好む情報とは自らの琴線に触れ反応する「好き」と「嫌い」の情報が含まれ「無関心」な情報が排除されている形になる。

実際にフィルターバブル化を簡単に検証するには、相互リンクしていない自らのデバイスや友人のデバイスを使って、同一ワードを検索するとわかるが、表示されるキーワードのヒット件数や表示順が変わってくる。またYouTubeのホーム画面などが特にわかりやすいかもしれない。

情報の取捨選択を自動でやってくれれば「とても便利で良いじゃん」となるが、その一方で弊害もある。その一つに雑談に困る人が増えることだ。これはコミュニケーション力とは別にネタが少ないという点である。

新聞や雑誌などの紙媒体が全盛期の時は好き嫌いに関わらず、媒体を手に取り開けば勝手に目に情報が飛び込んできた。なので、記事の内容を読む云々に関わらず見出しなど話のきかっけになるさまざまなワードは手に入りやすかった。

フィルターバブルに陥らないための訓練

では、どう対処すればいいのかというとフィルターバブルに陥らないように意識し“訓練する”ことである。

例えば、SNS上に流れてくる少し興味のない情報でもクリックしてみるとか、紙媒体を買わなくても本屋などを定期的にグルっと巡回してみるとか。などである。

私自身も定期的に大型書店をグルっと回ってみる。それだけでも目に飛び込んでくる情報量が違うし、トレンドみたいなのもなんとなく見えたりしてくる。

かつての経営資源「人、モノ、金」に「情報」が加わるほどの情報社会である今だからこそ、情報に振り回されるのでなく活用できる人材になるべく、情報に関する意識や訓練が必要なではないだろうか。

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