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「適応課題」とどう向き合うか。 |『他者と働く -- 「わかりあえなさ」から始める組織論』(宇田川元一 著)を読んで

先週、半ば衝動的に以下イベントに申し込み、参加をしてきました。

『#他者と働く Publication Dialogue ー宇田川元一先生と「わかりあえなさ」から始めよう』

知人から、ロナルド・ハイフェッツが唱える「技術的問題」「適応課題」という考え方があるのをつい最近教わり、またイベント登壇者の宇田川元一さんの以下cakesの記事を読み、特に「人間は、関係性に埋め込まれ、身動きが取れなくなる弱い存在である。その弱さは私の中にも厳然として存在している。」と言う記述にとても共感を得たことが、参加に至ったきっかけです。

そして、宇田川さんの考え方は、長年のわたし自身の(個人的な)取り組みテーマである組織と人の課題に活かすことができるのではという期待感もありました。

ほとんど事前知識のないままイベントに臨みましたが、宇田川さんの思想の基礎は感じ取る事ができたと思います。

その後、イベントで戴いた著書『他者と働くーー「わかりあえなさ」から始める組織論』も読み、宇田川さんの提唱する「ナラティヴ・アプローチ」が如何なるものかも理解ができました。

ただ、このアプローチ、果たして今自分が置かれている状況や環境においても有効だろうかと、考え込んでしまう自分がいます。

その思いは、恐らく自分自身の「ナラティヴ」を通してこの方法論を受け止めているからでしょう。

「ナラティヴ」とは、あまり聞き慣れた言葉ではありませんが、宇田川さんの著書では「解釈の枠組み」と説明されています。そして「その人たちが置かれている環境における一般常識」とも解説されています。つまりは、人はそれぞれ置かれた立場や環境によって異なる価値観に取り憑かれている、と私なりに理解をしました。

この人と人(或いは組織と組織)の間に存在する価値観のズレ(著書では“溝”と表現)の存在を認め、対話によって新しい関係性を構築していく実践的方法論を、宇田川さんは「ナラティヴ・アプローチ」と名付けています。

その詳しい解説は是非著書をお読みいただきたいのですが、「1.準備、2.観察、3.解釈、4.介入」の4つのプロセスを進めていくことにより、相手との新しい関係性の構築を模索していくという考え方です。

その有効性は頭では理解できているものの、私の持つ「ナラティヴ」を通してみると、ひとつ疑問が浮かぶのです。

それは、宇田川さんの著書の表現を借りれば、会社と社員(上司と部下)の関係性に「私とそれ」を強要してくる組織(つまりは部下を道具的に扱う組織)においても、このアプローチは成り立つのだろうかというものです。

私の経験を踏まえもう少しストレートに表現をするならば、その立場や権力を利用して一方的に攻撃してくる相手にも成り立つアプローチなのだろうか、ということです。

私を「それ(道具)」だと相手が強要してくる限り、いくらこちらから歩み寄ろうとも(橋を架けようとしても)無意味ではないかと思えてしまうのです。

イベント当日もパワハラ的相手にどう対処するのかの話題が出ましたが、宇田川さんは、「精神が病むまでアプローチすべきではない、撤退の判断も必要」、と述べていました。

そうなると、もはや私のが今置かれている状況からは撤退しか選択肢が無いのではないか、そう思えてしまうのです。

長年、組織と人との問題に向き合ってきたせいか、いつしか私は人や環境を観察する癖がつきました。私を攻撃してくる相手のことも相当観察しました。

その結果見えてきたことは、その人の「弱さ」です。(一部例外的に病的な性質を感じる人もいましたが、ここではややこしくなるので省きます。)

組織の中で自分の立場を守る為に、弱いものがさらに弱い者を叩いている。そんな構図が見えてきました。私が宇田川さんの「弱さが存在している」という表現に反応したのはそんな背景からです。

弱い人が人を動かそうとするとどうなるか。その権力や立場を使い、指示、命令、時には圧力をかけ、力ずくで動かそうとします。

弱い立場の者(部下)に「それ(道具)」であることを求め、「それ(道具)」に見合った動きをしない者を疎ましく思い、除外しようとします。それが私を攻撃してくる理由なのです。

宇田川さんの著書に、「対話は不要な対立を避けるための行動」とありますが、既に対立の構造に陥ってしまっては手遅れな気がしています。

イベントでの体験と、宇田川さんの著書を読み、悶々としていたものを言語化できたのは今のところここまでです。

他にも、「ナラティヴ・アプローチ」が成り立つ条件として、「相手と根っこのところでは目指すべき方向性が一致している」必要があるのではと感じてたりしますが、これについてはもう少し考察を深めてみます。

また、加えて、私がどうしても解決したい「適応課題」があります。それは同じ会社に勤める同僚のひとりが、私と同じような攻撃に合い(つまりはハラスメント)、関係性がこじれにこじれ、法的手段に訴えるとまで言い出してしまっていることです。

彼の行動を止める権利は私にはないですが、そんな状態にまで至ってしまった背景にはいったい何があったのか。そして彼をそんな状態にまで至らせてしまう組織とはいったいどんな組織なのか。

この課題には真正面から向き合っていく覚悟です。

#他者と働く #宇田川元一 #ナラティヴアプローチ #対話

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