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自分が如何に組織の厄介者になったのか、少し分かった気がする。 (ロナルド・ハイフェッツ 『最難関のリーダーシップ』)

ロナルド・ハイフェッツさんの『最難関のリーダーシップ』を読んでいます。

まだ序盤ではありますが、既に軽い衝撃を受けています。

私がなぜ、組織において除外されてしまうのか、その答えが正に書かれていると感じたからです。

その鍵となるのが、「適応課題」という考え方です。

少し紐解いていきます。

この本では、対処すべき問題は2つだと書かれています。「技術的問題」と「適応課題」の2つです。読み進めていてはっきりと分かったのは、私が必死に対応しようとしていたのは「適応課題」だったという事です。

そしてこの「適応課題」の怖さ(対応の難しさ)を知らなかったが為に、無謀にも正攻法で取り組もうとしてしまい、それ故に撃沈されてしまっていたようです。

ではこの「適応課題」とは何でしょうか。

ハイフェッツさんは「技術的問題」と「適応課題」を、以下のように整理しています。

 ”技術的問題は、かなり複雑で重要な場合もあるが、すでに解決策が分かっており、既存の知識で実行可能である。高度な専門知識、組織内の既存の構造、手続き、実行方法によって解決できる”(p48)
 ”適応課題は、人々の優先事項、信念、習慣、忠誠心を変えなければ対処できない。発見を導くような高度な専門性だけでなく、ある凝り固まった手法を排除し、失うことを許容し、改めて成功するための力を生み出さなければ前に進められないのだ。”(p48〜49)

そして、「適応課題」については、以下のようにも書かれています。

 “それは厳しい現実を直視し、価値観の一部を手放して優先順位をリセットし、過去の忠誠心を見つめ直し、一時的な痛みや失望や恐怖に対処するよう突きつけることである。”(p3)

つまり端的にいうと、「適応課題」とはその解決には何らかの犠牲(痛みを伴う決断)が伴うために、誰もが目を背けたくなるようなとても厄介な課題だということです。

わかりやすい例を出せば、事業からの撤退判断がそれです。続けていても成長は望めず、むしろコストばかりかかってしまう。但し撤退するには相当の売上も失う上に、何より幹部の承諾を得ないといけない。下手をすると自分の評価を下げかねない決断はできれば自分が責任者であるうちは避けたい、のようなケースです。

私は、上記に似たような状況の事業の真っ只中で、もはやこれは撤退しかあり得ないという結論に達した時があります。しかし、ある役員が肝いりで立ち上げたその事業は、誰もが撤退するとは言い出せない状況でした。

そんな中、私はこれ以上の成長は望めない事を伝えたく幹部に状況報告に上がったところ、撤退の意思があると見抜かれたのか、私の話を最後まで聞くこともなく、叱責されました。

「出来ない言い訳は聞きたくない、それ(事業をどう伸ばすのか)を考えるのがお前の仕事だろう!」

と。

なぜ私が叱責さられなければならなかったのか。その答えは以下に書かれていました。

 “与えられた役割が親であっても、CEO、医師、コンサルタントであっても、権威の授与者が期待する明確な権威の範囲があり、その範囲の行動が求められる。”(p57)
 “組織があなたにリーダーという肩書を与えるのは、権威の授与者が望むことをあなたが実行することに対する報酬である。”(p58)

私は範囲を超えた行動をしようとしていたようです。それは私としては、組織として必要な判断だと思っての行動でしたが、彼らからすると余計な(必要範囲外の)行動だったという訳です。

そして、さらにこんな風にも書かれています。

 “アダプティブ・リーダーシップを実践すると、当然、権威の授与者は押し返そうとする。彼らがあなたを雇い、あるいはあなたに投票し、何かを行うためにあなたに権威を与えたのに対して、あなたが別のことを行なっているからだ。(中略)人を怖がらせる存在になっているのだ。人はあなたを排除するかもしれないし、自分ただの命令を実行してくれる誰か別の人を探そうとするかもしれない。” (p58)
*アダプティブ・リーダーシップ=適応型リーダーシップ

私がとった行動は、相手の期待外の行動だったばかりでなく、相手の恐れの感情をも引き出してしまい、組織から排除されるという顛末を自ら導いてしまいました。

これが「適応課題」の怖さです。

“自分がやっていることへの信念は、適応を要する変革をリスク覚悟で推進するには不可欠である。だが同時に、それが弱みにもなる。自分の目的にとらわれすぎると、危険を知らせるシグナルに気づけなくなってしまう。”(p80〜81)

目的にとらわれすぎていたのは間違いのない事実です。きっと分かってくれるだろうという甘い期待もあり、そこまで危険な行為だったとは全く考えが及びませんでした。

そしてひとつ、私にとってとても重要なアドバイスが書かれていました。

“決して一人で進めてはいけない。危険を共有し一緒に表に立ってくれるパートナーを見つけよう。”(p81)

確かに私はひとりで闘っていました。孤独でした。それが余計に不味かったと感じています。

まだこの本を読み始めて間もないですが、それでもからくりが少し分かったお陰で気持ちが少し楽になりました。

そして「適応課題」がどんなものかを理解し、それに対処する方法(アダプティブ・リーダーシップ)が分かれば、同じ誤ちを回避できそうだという期待感もあります。

ありがたいことに仲間がだいぶ増えてきました。適切なアダプティブ・リーダーシップを学び、仲間と共に「適応課題」にどう向かっていくべきか、考えていきたいと思います。

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