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ライターは1日どのくらい収入が得られるかー忘れちゃいけない労力、経費、自己投資ー

セミナーで次のような質問を必ず行っている。

「2000文字の原稿を1本書き、ストックフォトやフリー画像1点の選択も行った場合の原稿料の相場は、どのくらいだと思いますか?」

「5000文字の原稿を1本書き、画像を3,4点選択した場合は、いくらもらえると思いますか?」

原稿1本あたりの報酬はどのくらい?

原稿を書いた経験がなく、報酬について見当もつかない人のために、

1.相場よりかなり低めの金額

2.相場よりやや低めの金額

3.相場通りの金額

の選択肢を用意している。すると、1.で7割の人が手を上げ、2.で残りの3割の人が、3.ではまったく手が上がらないという結果になることが多い。残念ながら「原稿報酬の相場とはそのようなものだ」という思い込みが、広がってしまっているのだ。

なお、現地取材が必要な場合は、現地までの交通費は支給してもらえるし、遠方での取材となる場合は遠方料金をもらえることもある。

私がこれまでいただいた原稿料の例は次のようなものだ

・2000文字の原稿を1本+画像選定1点 1万円程度

・4000~5000文字の原稿を1本(画像選定なし) 2万円程度

・1300文字の取材原稿(写真撮影なし) 1万2,000円+交通費+遠方料金

原稿依頼から初稿作成、校了までにいくつものステップがある

ライターの仕事は「依頼される⇒書く⇒納品」という単純な流れではない。

1.執筆の打診:スケジュールや執筆テーマの面で対応可能か? を電話やメールで問われる(5分~10分)

2.構成案作成:実はこの作業が一番気をつかう(1本あたり1~2時間)

3.構成案修正:先方からの修正依頼に応じて書き直す(1本あたり30分~1時間)

4.初稿作成と提出:1本2000文字の原稿なら1.5~2時間、4000文字なら3,4時間、画像選定に20~30分

5.初稿修正依頼:クライアントからの依頼に対応(30分~1時間)、多くても2度程度までだが繰り返し修正をすることもある

6.校了

これらのステップを、クライアントと連絡を繰り返しながら行う。それだけに待ち時間が生じる部分も多々ある。

しかし、待ち時間の間は、別の案件に取り組んでもかまわないので、常に5~8本の原稿を進行させることが多い。ただ、この夏は異様に依頼数が多く、このnoteを書いている現在、私は16本もの原稿を進行させている。消費税増税の影響かなとも考えているのだが。。。

1本の原稿にかける労力のうち、構成案作成までに5割を使う。原稿執筆に4割の労力をかけ、修正に1割というのが実際のところ。初稿執筆は、構成案の作成段階で考えたことをタイピングするだけなので、実は気が楽でもある。

とはいえ、売上を上げるためには「初稿を執筆する」ことが重要である。

1日にできる作業量はどのくらい?

ライター業を始めたばかりのころは、500文字や1000文字といった依頼も多かった。特にWeb原稿は文字数が少ないものが好まれた。署名を入れてもらえない原稿を当然のように思っていた。

しかし、SEOは時代の流れ、Googleの方針などによって大きく変わる。

現代では、Web原稿でも2000文字以上のものが多く、4000文字~6000文字の依頼が主流だ。また署名を「入れさせてあげる」ではなく「ぜひ署名を入れてください、写真も載せてください」と言われることも多々ある。

私は

・2000文字の原稿なら1日3~4本(売上にすれば3万円程度)

・5000文字程度の原稿なら1日1~2本(売上にすれば4万円程度)

を執筆することができる。ただし、このスピードが出せるのは、構成案作成の段階でクライアントと話し合いを繰り返し、構成案がかなり固まっている状態でのことだ。

構成案が曖昧であったり、「初稿ではこのようにしてください」という指示が出されたまま、変更後の構成案の確認をせずに初稿に取り掛かった場合は、もう少しペースが落ちる。

「速く作業をするほどよい」とは限らない

何事にもスピードが求められる時代だし、今の私のように16本もの案件を抱えている状況では、速く作業をしなければならないのは事実だ。

速く作業ができれば、売上もそれだけ伸びていくだろう。

しかし、修正があまりにも多発する原稿を出せば、クライアントの信頼を失うので、品質管理にも気を配りたいところ。

さらに、クライアントとの息を合わせるためには「4本の原稿が完成してから提出する」より、「まず1本完成したら提出して、修正事項や改善点を指摘してもらい、次の原稿に活かす」という心配りも重要になる。クライアントからそのような作業手順を支持されることもあるが、言われなくてもやっていくことが大事。

そして「自分の書いた原稿を一晩おいてから見直す」ことも心がけている。いったん睡眠時間をはさんで見直すことで、思い掛けないミス、仕様違反、その他に気づくことも多い。

経費がかかっている点にも注意を

商品を仕入れて売るご商売とは違い、執筆作業には「この原稿に、これだけの経費がかかった」という判断が難しい。

取材に必要な交通費などは編集部が出してくれるし、特別に「この本を読まなければ書けない」などの事情があれば、相談できるだろう。これらは立替金であり後に清算してもらえる種類のものだ。

ライター自身が負担する経費としては

・インターネット利用料金

・電気代

・ICレコーダ、デジタルカメラなどの機器代

などがある。

なお、知識を深めるための書籍やセミナーにかかる費用は、ライター個人の感覚としては必要経費であっても、税務上認められるかどうかは別の問題である。

資格マニアである私は、資格を取ることは必要な投資だと考えているが、受験料は税務上の経費とは認められないし、資格試験には必要でも、仕事で書く原稿に関係のなさそうな書籍を、あまりにも経費計上をしているとツッコまれる可能性がある。

売上をたくさん上げたとしても、立替金の必要性や、その他の経費、自己投資について考慮に入れておかないと、思いがけず資金繰りが悪化することもある。

体力は必ず衰えることも考えておく

ライターとしての仕事に慣れるにつれ、作業スピードは上がっていく。「慣れ」による加速である。

いっぽうで、年齢を重ねるにつれ、体力が落ちていく。腱鞘炎などにかかる人もいれば、老眼や白内障に悩む人も出てくるかもしれない。

慣れによる加速が一段落したら、後は体力の衰えによって作業スピードは頭打ちになる。

さらに、持久力が落ちてくると、早い段階で集中力が落ち、長時間の執筆ができなくなっていく。

「単純な原稿書きで現在の売上がキープできるのは、何年後くらいまでだろう?」

ということも、考えておくほうがよい。

まとめ

ライターとしての経験を積むと、1日に6000文字から10000文字をタイピングすることができるようになる。売上とすれば1日に2~5万円を上げることもできるだろう。

しかし、そのための準備や打合せにも時間がかかっていること、インターネット代などの経費や、自己投資にかける費用がかかっていることも考慮しよう。

そのうえで「ライターって稼げそう!」と思う人には、ぜひライター業についていただきたい。かなりの人手不足で「編集部からの電話が怖い」という人もいるくらいなので。。。

セミナー情報

ライターになるには?-人脈0、実績0からプロになるまでの道のり-

大阪心斎橋 8月26日(月)18:30-21:30

大阪本町 9月7日(土)13:15-15:45



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