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悪魔のうつ抜け大作戦

『うつ抜け』という言葉がある。

うつ病による慢性的な気分の落ち込みや体調不良から“復活”することだが、これがなかなか時間がかかる上、人によってその方法は様々だ。

私は大学3年生の夏、教育実習によるストレスと祖父の死のダブルパンチをきっかけにうつ病になり、その後大学中退して声優の養成所に入るなどしてしばらくニート生活をしていた。

自殺した父の遺産を切り崩して何とか生活していたが、減り続ける貯金も新たなストレスとなってズルズルと何年も病み続け、20〜23歳は人生の暗黒時代だったと断言してもいい。

私がそんな暗黒時代から抜け出し、
『うつ抜け』出来るようになった経緯を、
今回はまとめてみようと思う。


 🥀 その1:ノリで始めたゆるキャリ生活

私は現在派遣社員として、フルタイムの事務職で
ゆるくのんびり働けている。

そもそも大学中退で最終学歴は高卒、
資格もなければやりたいこともなく、
労働は人間のみに課された苦行でしかない
と思っている私が、ニート生活から脱却し
働き始めることが出来たのは何故か。

きっかけは推しの誕生日だった。
当時私は配信者グループの“すとぷり”にハマった
ばかりで、彼らの配信や歌に元気付けられて、
ハイなテンション(今思えば躁状態だったかも)
で過ごしていたところだった。

最推しのさとみくんの誕生日は2/24。
その年(2021年)は、YouTubeで
バーチャルライブが開催された。

もうほんとめちゃくちゃ最高だった。
もうほんとめちゃくちゃかっこよかった。
次の日から私は働き始めた。

そんな感じで
ノリで応募した派遣の仕事をノリで始めた
私だったが、働き始めてみるとラッキーなことに
意外と思ったより何とかなった。

それでも“普通に健康”って訳ではないので、
身体が動かない日は当日欠勤するし、
電話はストレスなので絶対に意地でも出ない。
正直、迷惑派遣社員と化していた。

その仕事は順当に一年半でクビになったけど、
その後も無職に甘んじず、絶えずフルタイムで
何かしらの事務仕事を続けられているのは、
あの日ノリで飛び込んでみたおかげ。

派遣社員という働き方も私には合っていた。
就活で何度も面接するのは努力対効果が悪いし、
物欲もないので最低限の生活費が稼げればいい

紫吹淳なのでマネージャーがいないと働けない
私には、営業担当の存在は心強かった。

派遣でゆる〜く働くことによって、
減り続ける貯金のプレッシャーも軽くなったし、
早寝早起きも出来るようになった。
他人と自分を比べて劣等感に苛まれることも
少なくなったし、そもそも外で働いていると
家であれこれ考えて病む時間も減る。

私が健康な心身で生きていくためには、
ハムスターでも出来る簡単なお仕事”を
ゆる〜く続けるのが大事だと気付けた。

今の職場はただ封筒に切手を貼るだけ、
みたいな地味クソ作業が発生する最高の環境。

「んしょ…ペタ…んしょ…ペタ…」という効果音を
脳内再生しながら封筒に切手を貼っていると、
ちいかわの気分になれるのでおすすめだ。


 🥀 その2:美容と着飾ることの価値

私は元々オシャレに何となく興味がありつつも、
どうせブスだし、他にやることがあるし、と
遠ざかって生きてきたところがあった。

初めて携帯を持ったのは大学生からなので、
高校生まではオシャレに関する情報を入手する
ことも困難で、垢抜ける方法や美醜に関する
価値観などは知る由もなかった。

地味で化粧気がない母は
「オシャレするとバカになる」
「外見を磨くより勉強して中身を磨け」
などと美容の価値自体を否定していたので、
私もそれに洗脳されてクソダサブスのJK時代を
送ってしまったのは人生の汚点だ。

大人になってから気付いたのは、
美容は自分に自信を持つための一番効果的な手段
だということ。

パーソナルカラー診断を受けて、似合わない服は全部捨てて、UNIQLOやGUでシンプルで使いやすい確実に似合う服を買いつつ、SHEINでイカれたデザインのバカ安いアクセサリーを買う。

私はストロングオータム(鮮やかで強い色が似合うイエベ秋)なので、華やかでパッと目を引くゴージャスで個性的なファッションにシフトした。

ベースメイクにはデパコスを取り入れる。
ポール&ジョーの下地、TIRTIRの赤いクッションファンデ、ジルスチュアートのフェイスパウダー、エリクシールのツヤ玉ミストは必要不可欠。

ポイントメイクはドラコスで充分だった。
キャンメイクのアイシャドウもアイライナーも
チークもシェーディングパウダーも頼りになる。
セザンヌのハイライト、マジョマジョのマスカラ、KATEのアイブロウとリップモンスターは
お気に入りで手放せない。

コスメ好きは既に気付いていそうだが、
インスタでバズっていたり、
アットコスメで口コミがいいものを
手当たり次第に使っているだけ。

それでも不思議とだんだん垢抜けられるし、
綺麗になるほど自信が持てて前向きになれる。
自分に自信が持てると落ち込むことも減り、
「まあでも私ってかわいいからオッケー✌️」
謎に自分を正当化できる。

勉強やスポーツ、芸術や夢など、
世の中努力が実らないことは多い。
そんな中、美容は割と高確率で努力のリターンが
返ってくるいい投資先
だと私は思っている。

着飾るということは、
その日一日を大切に生きるということ。

だから私は今日も着飾ってハッピーに生きたい。


 🥀 その3:悪魔として生まれ変わる

精神を病んでから気付いたことだが、私は
「優等生じゃないのに優等生ぶって生きてきた」
ところがあって、それが実は苦しかった。

本当は勉強なんて嫌いなのに受験勉強して、
母校の進学実績のために何となく大学に入って、
綺麗事だらけの教育学部で綺麗事だらけの授業を
受け、綺麗事だらけの教育実習で綺麗事だらけの
教育実習生を演じるのが私には到底無理だった。

大学を辞めた後不安がる母に脅され通信制大学に
編入したが、大前提として勉強は大嫌いだし、
心が限界の状態で新しいことなど学べない。

一単位も取れていない状態など露知らず、
母は「いつ卒業するの?大学は順調?」などと
定期的にLINEでプレッシャーをかけてくる。

ふとした時に、全てが馬鹿馬鹿しくなった。

母のためだけに在学し続ける必要なんてない。
ヘルジャパンで学歴が大事なのはわかるけど、
今のうつ状態の私には勉強できる余裕はない。
それよりもノリで始めた仕事に専念して
堅実に生活費を稼ぐ方が今の私には必要だ。
経済的に完全に独立して大人になった私が、
遠くから圧をかけてくるだけで何も助けてくれない人の言いなりになる必要なんて全くない。

他人の期待を裏切ることなんて怖くない。
私自身が感じる幸せが何よりも大事。
将来のために現在を犠牲にすることなんてない。
“今日”が楽しくあることが一番大事。
他人の心を踏み躙ってでも快適に生きてやる。
誰もこの私に口出しなんてさせない。

結局通信制大学は一単位も取らないまま辞めた。
学費は自分で出したのでただ金の無駄だったし、
ストレスの種が一時的に増えただけだった。
そもそも母が怖くて編入したのが間違いだった。
大人は自分自身の決断に従っていいのに。

他人の期待に応えようと無理したり、
他人の感情を軸にして動くとロクな事がない。
これからは私自身の直感しか信じない。
意見する他人や邪魔な存在は容赦なく排除する。

そうやって自分の中に悪魔の精神を創り上げた。
悪魔になったつもりで生きるのは、
『優等生じゃなくて本当は悪い子』の私が
快適に生きるのにはちょうど良くハマった。

自分が気持ちよく生きるために最善を尽くし、
次第に自分を否定して病むことも減っていった。

好きなものは必ず手に入れ、
嫌いなものは手段を選ばず排除する。
自分の快楽だけを追求し、
理解される必要などない自分勝手な主義を持つ。

今の私の性格タイプはENTJらしい。
夜神月やDIO、フリーザ様などと同じで、
悪役のボスによくあるタイプと言われている。

世間から見たら相当性格が悪く映るだろうが、
私は今の強くてワガママな私自身が大好き。
随分いい女になったと思っている。

自分の中にある悪の部分を受け入れ、
吹っ切れて生きるのもなかなか楽しい。

お前も鬼にならないか?


 🥀 その4:評価される機会を捨て去る

そもそも自分の価値を否定してしまうのは、
誰かに評価される環境に身を置いているからに
他ならないと思う。

いい子ちゃんぶってしまうのも、
無理に期待に応えようとしてしまうのも、
誰かに評価される環境に身を置いているから

厳しい親に評価されるのが嫌だから、
出来るだけ疎遠にして距離を置く。

会社や上司に評価されるのが嫌だから、
派遣でマイペースに働く。

才能や人間性を評価されるのが嫌だから、
声優の養成所は辞めた。

上手い下手を評価されたくないから、
音楽やスポーツなど披露可能な趣味は持たない。

そうやって『評価される機会』を悉く潰し、
評価者は自分自身だけの状況を作り出す

そうすると他人と自分を比べることもなくなり、
自分磨きに徹することが出来るようになる。

自分のためにランジェリーをつけて、
自分のために自炊をして、
自分のためにエクササイズをして、
自分のためにキャンドルを灯す。

余計なものを削ぎ落とすと、真っ新な自分とそれでも仲良くしてくれる本当の友達も見えてくる。
肩書きや才能で私を評価しない、心で通じ合えるソウルメイトの存在に気付けたのは大きい。

私の評価者は常に私自身だけ。
どんなに無能な役立たずでも構わないから、
死ぬまでこの精神を貫いて生きたい。


 🥀 その5:最高の城を作り上げる

インテリアの力は偉大だ。
綺麗な家で好きなものに囲まれているだけで、
ハッピーに生きる活力が生まれる。

私は2022年秋頃から、
断捨離及びインテリア改革に取り組んだ。

一人暮らしを始めた頃
「白い家具は部屋が広く見えてオススメ⭐︎」
というネットのふざけた記事に踊らされ白系で
買い揃えたニトリの家具たちは全部捨てた。

代わりに黒やダークブラウンの家具を取り入れ、
ダークでシックな空間を目指した。
元々赤が好きだったので、ワインレッドなど
赤系のインテリア雑貨も積極的に取り入れた。

そのうち「マフィアの女みたいな部屋にしたい」
と思い立ち、寝室の壁に鞭を飾るなどした。

《どこのご家庭にもある鞭を壁面収納した図》

一見イカれた所業に見えるが、
これが実は結構理に適った英断だった。

色彩心理学によると、
白には清潔感を与える一方、人を神経質にしたり
完璧主義にさせるネガティブな効果がある。

私は元々強迫観念に駆られた完璧主義者なので、
白は私にとって恩恵を受けないどころか
むしろ悪影響を与える色だったと言える。

その白を排除して黒やダークブラウンの家具に
買い替えることで、家の中にいる間はだいぶ
落ち着けるようになった。

また、赤には元気ややる気を与える効果がある。
もともと元気な人だとイライラするらしいが、
私の場合は落ち込みやすい方だったので、
むしろちょうどよくポジティブな効果が働いた。

好きな家具に囲まれて過ごすようになってから、
家で過ごす時間が好きになったし、
家事も以前より頑張れるようになった。
壁に飾られた鞭を眺めて「カワイイ♡」と絶賛する時間も、今や貴重なリラックスタイムだ。

また、断捨離にも随分取り組んだ。
雑多でダサいキャラものタオルを捨てて
ホテル風のシンプルなタオルに統一したり、
使う機会のない客用布団を豪快に捨てたり、
昔の友達がくれた手紙なども無慈悲に捨てた。

『8割収納』を意識して物を捨てると、
少々物が増えても散らからずに済む。
部屋が片付いていると、イライラすることや
うんざりすることも減るから、精神に良い。

今や職場でも「三度の飯より断捨離が好き」と
言い張る断捨離の悪魔になってしまった。

私の部屋は私の城で、私はこの城の女王様
この王国の平和を守ることによって、
心の平穏も保たれるのだと今は思う。


そんな感じで、生活や考え方の数々を改革し、
徐々に『うつ抜け』に成功してきた。

うつ病になったのが20歳で、現在私は25歳。
実に4〜5年の戦いを経て、
強く邪悪に美しく生まれ変われたと思う。

色々ごちゃごちゃ書いたけど、
『うつ抜け』に大事なのは絶対焦らないこと

「〜すれば治る」という確実な方法はなくて、
いつかの未来に元気になった時、私みたいに
「あの時のあれがよかったのかもな」
とぼんやり思い返せたらそれで充分。

これはあくまで私の場合。
悪魔のうつ抜け大作戦でした。



ここまで読んでくれてありがとうございます。
♡してくれたら嬉しいです❤️🦇

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