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読書感想文【イシューからはじめよ】安宅和人著

こんにちはコウカワシンです。

今回は、安宅和人(あたか・かずと)さんの著書【イシューからはじめよ】から学んだことを書かせていただきます。

この本はズバリ!「短時間で圧倒的な生産性を上げるために無駄を極限まで削ぎ落すためのメソッド」です。

2010年に発刊されたかなり古い本ですが、いまだに売れ続けているビジネス書です。

「イシュー」とは何か?

「イシュー」は必ず答えが見つかるものである

本書の表紙には「イシューからはじめるとやるべきことは100分の1になる」と書かれています。

「イシュー」とは、「知的な生産活動の目的地」となるものです。

つまり「課題」ということですが、最初によい「イシュー」を立てないと、きちんと目的を果たせなかったり、要らぬ行動を取ってしまいます。

「イシュー」は、考えると必ず答えが出るものに限ります。

考えても答えが出ないものは、ただその場で悩んでいるのに等しく、悩んでいると気づいたらすぐに休むことが肝心です。

「なんちゃってイシュー」にご用心

「イシュー」だと思っていてもそれが本質的でないと何にもなりません。

それを本書では「なんちゃってイシュー」と言います。

例をあげると、あるビールメーカーが長期的に低迷していて立て直しを検討していたとします。

そこで「今の若者はビールをあまり飲まない。だから若者受けする商品をつくろう」とイシューを設定しても成果が出せる可能性は低いです。

まずは、ブランドの低迷原因をはっきりさせなければいけないはずです。

「若者ウケすれば売り上げが伸びるのか」とか、「ビールの市場規模はどれくらいか」とか「競合他社との争いに負けている」といったものが明確でない場合、たとえ新ブランドを立ち上げたところで成果は出ないのは誰の目から見ても明らかです。

「イシュー」ともいえる最終目的地を「ビールは若い人に人気がない。といっても現商品は中高年に刺さるものではない。これから増えるであろう中高年層をターゲットにした商品に仕上げれば売り上げ増が見込める」としたらどうでしょうか。

つまり別のイシューを立てるということですが、そもそもイシューというものは「白か黒か」といった答えが出せるものでなくては意味がないということです。

よい「イシュー」はこのように立てる

よい「イシュー」を立てるためにはそれなりの考え方があります。

それは、次のとおりです。

「イシュードリブン」⇒「仮説ドリブン①」⇒「仮説ドリブン②」⇒「アウトプットドリブン」⇒「メッセージドリブン」

イシュードリブン

イシュードリブンとは、今ほんとうに答えを出すべき問題=「イシュー」を見極めることです。

仮説ドリブン①

イシューを解けるところまで小さく砕き、それに基づいてストーリーの流れを整理します。

仮説ドリブン②

ストーリーを検証するために必要なアウトプットのイメージを描き、分析を設計します。

アウトプットドリブン

ストーリーの骨格を踏まえつつ、段取りをよく検証します。

メッセージドリブン

論拠と構造を磨きつつ、報告書や論文をまとめる


このようにして本当の問題を見極めていくのです。

「イシュー」を立てる上で気をつけることは?

よい「イシュー」を立てるために気をつけることは次のとおりです。

  • よい「イシュー」の3条件を押さえること

  • 「シンプル」なこと

  • 「悩んでいる」と気づいたらすぐにやめること

よい「イシュー」の3条件は、「本質的な選択肢である」「深い仮説がある」「答えを出せる」ことです。

この3つを押さえられていたら進むべき道筋もおのずと見えてきます。

なおかつ「シンプル」であることも重要です。

なぜならそれは「イシュー」を届けたい人のためです。

というのも、受け手側は専門知識はないにしても必ず理解してくれる存在であるという前提で考えるべきだからです。

つまり「受け手は賢いが無知」というのが基本の想定で、イシューがあいまいであればあるほど受け手側は気が散り理解度は落ちます。

結果、望む結果にはほど遠くなります。

そして「悩んでいる」と気づいたらすぐにやめましょう。

悩むということは、答えが出ないということです。それがイシューとなることはありません。

よい「イシュー」を立てるには何が必要か?

よい「イシュー」を立てるために次のことが必要です。

  • 考えるために必要な「一次情報」に触れること

  • 白、黒つけられる思考力

  • 常識を捨てられる柔軟性

「一次情報」というのは、誰のフィルターも通っていない情報のことです。

たとえば、販売の現場に出向いて店頭で顧客の声を聞いたり、商品を使っている顧客がどのように商品を使い分けているかを聞くことです。

その他にも、ものづくりの現場や研究現場、必要に応じて地方に出向き地域によっての違いや事象を自分自身で確認するのも大事です。

明確な答えを出すために白、黒つけられる思考力も必要ですし、これまでの常識を捨てられる柔軟性も重要です。

どのようにして「イシュー」を整えていくか?

「イシュー」を整えていくうえで重要なことが次のとおりです。

  • 「解く」前に「見極める」

  • ストーリーを絵コンテにする

  • まとめる

大ざっぱですが、大筋ではこんな感じです。

正しいイシューが設定されないと、労働量だけ増えて「解の質」は高まるものの欲しい成果、つまり「課題の質」になかなかたどり着けません。

これを本書ではただ走り回るだけの「犬の道」と表しています。

ですので、「解く」前に「見極める」のです。

ストーリーを絵コンテにするというのは、イシューが見え、それを検証するためのストーリーラインに沿って分析イメージを絵コンテにするということです。

つまり、具体的なデータのイメージをビジュアル化することで最終的なイシューを可視化するのです。

そして、イシュー、それを基にしたストーリーラインに沿って分析・検証が済んだら、そのメッセージを人に力強く伝わる形でまとめます。

「イシュードリブン」⇒「仮説ドリブン①」⇒「仮説ドリブン②」⇒「アウトプットドリブン」⇒「メッセージドリブン」といった一連の作業の中でこれらのことを強く意識すれば、よい「イシュー」の設定に大きく役立つでしょう。

細かい解説はぜひ本書を手に取って確認していただけたらと思います。

よい「イシュー」でやるべきことを絞ろう

「よい仕事がしたい」「プロジェクトで成果を出したい」ということはビジネスマンなら誰もが思うことです。

そんなときにやみくもに突っ走る人はいないと思いますが、よい「イシュー」を設定できないばかりに要らぬ作業をして成果達成に思わぬロスを生じていないでしょうか?

「なにごとも準備が大事」といいますが、それがよい「イシュー」の設定だと私は思います。

よい「イシュー」さえ設定できれば、やるべきことが明確になり、要らぬ作業を省けるどころかできる限り深いレベルにまで成果を追求することができます。

ビジネスマンとして充実感を感じるには、こういった本質的で迷いのない道筋を自ら立てるときではないでしょうか。

そのためにもこの【イシューからはじめよ】は、必ず読むべき一冊だと感じました。


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