見出し画像

100日後に死ぬ父。91日目。

 父の入院3日目。夕方に僕と母で父の病室に行った。
 入院中、父はとても暇そうだった。病室にはWi-Fi環境がないので、スマホで暇をつぶすことは出来ないらしい。僕は父に小説を読むことを進めたけれど、あまり乗り気ではなかった。やっぱり父は本を読むのがまだ苦手らしい。
 父が過去に入院していた時は、携帯ゲーム機で暇つぶしをしていたけれど、さすがに今は借金の反省中なので、そういった娯楽を父は自粛していた。だから暇だと呟いても、携帯ゲーム機を持ってきて欲しいとは言わなかった。
 今日は父の夕ご飯が終わるまで三人でそれとなく話して、僕と母は病室を出た。帰りにお弁当屋に寄り、母は天丼、僕はステーキ丼を買った。父が退院するまでの間、僕と母は食べたいものを食べるという作戦にした。父が家に居ない間に、父の前で食べずらいものを食べておくのである。父は隠れてお金を好き勝手使ったのだから、これくらいは許されていいはずだ。
 明日はマクドナルドで夕ご飯を買うことにした。体に悪いとは知っているけれど、それでも美味しいのだからしょうがない。父の入院中、僕と母は不健康を突き進むのである。
 
 父が入院したことは姉に話したけれど、母と相談して借金のことは黙っておくことにした。無駄に心配を掛けたくはなかったし、それによって父がさらに落ち込んでも面倒なので、とりあえず姉には秘密である。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?