100日後に死ぬ父。66日目。

 仕事が忙しいこともあり、父は検査には来週行くと言った。僕と母は早く先生に紹介された病院に行かせたかったけれど、ここで父にぐちぐちと言うと逆効果になりそうなので、本人のペースに任せることにした。
 医者が父に対して、「この数値で立っていられるのが不思議」と言ったらしいけれど、本人的には特に体に異常は感じていないらしい。体重が急激に減ったこと以外、他に症状がないので、父はまだ焦っているようには見えない。
 けれど今日の父も珍しく早起きだった。本格的に糖尿病と診断されたことで、父も少しは意識しているようである。食事も急激に変えてしまうと可哀想とのことで、母はこれから徐々に糖尿病用のメニューへと変えていくとのことだった。
 風呂上がりの父の裸を見ると、確かにいつのまにかかなり痩せていた。特に足がお爺ちゃんみたいに細く、腕もよく見るとかなり細くなっていた。いまさらだけれど、子供の頃見ていた父と、今の父は明らかに別人のように見えた。
 父に腕相撲で勝ったのはたしか高校生の時だったと思う。あの時の僕よりも太い父の腕を思い出すと、何だか僕は悲しくなってきてしまった。

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