100日後に死ぬ父。44日目。

 今日も父は杖をついている。昨日よりは足の痛みはないと言っているけれど、それでも杖がないと歩けない状態である。足が痛いからという理由で、父は仕事を休み、部屋で寝て過ごしていた。本当はゲームでもして過ごしたいと考えていたようだけれど、母が「ゲームするなら仕事をしなさい!」と怒るので、寝るしかなかったようだった。
 今回は本当に足が痛くて休んだけれど、父はわりと仮病を使って休むことが多い。僕が子供の頃は毎日遅くまで働いていたイメージがあるのだけれど、僕が高校生になったくらいから父は徐々にだらしなくなった。今が楽しければ良いと思っている感じで、先のことをまったく考えていない父を見ていると僕は少し不安になった。もちろん今を楽しむことは大切だけれど、父の場合は未来に対してまったく見向きもしていない印象がる。だから僕は父を見ていると、不安を通り越してイライラしてしまう時もある。

 夕ご飯が終わると、父は「取引先の人から飲みに誘われたら行ってくる」と言って出かけていった。僕と母は足が痛いのなら行かない方がいいと注意しても、やはり父はいうことを聞かなかった。仕事は休んだのに、飲みには行けるのである。久しぶりに飲みに行くので、父は明らかに嬉しそうに杖を片手に家を出ていった。

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