100日後に死ぬ父。64日目。

 今朝の父は早起きだった。昨日は珍しく日付が変わる前には寝たらしく、夜遅くまでゲームをしていなかった。朝食もいつもと違って余裕をもってゆったりと食べて、八時には作業着に着替えて仕事場へと向かった。
 どうやら父は明日が診察という事で、少しでも体を健康的にしたいらしい。いまさら生活を改めても何も変化はないと思うけれど、父が自ら改善しようとしていることはかなりの進歩だった。
 僕が家に帰ると、仕事を終えた父がすでに夕ご飯の席に着き、新聞を読んでいた。明らかにいつもと違うルーティーンで動いている父を見ていると、こちらとしてはどこか気持ちが悪かった。ようやく父が診察を受けるので、母はいつもよりも父に優しくなっている気がした。これで父と母の喧嘩の原因が一つ減ったと思うと、僕としても一安心である。
 たぶん明日の検診で、何かしらの問題は出てくることはみんなが覚悟してた。これで何も問題がなかったら、診察をした医者がおかしい。
 珍しく朝から規則正しい生活をしたことで、父は機嫌が良さそうだった。たぶん自分が良い行いをしているような感覚なのかもしれない。けれど気分屋な父のことだから、検診が終わったらたぶん元の生活に戻りそうである。

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